いま最も地域に溶け込みやすい仕掛けのある賃貸物件。八女里山賃貸のこと(前編)

マイルドに地域に溶け込める

ーー田舎暮らしというと、地元の方とのお付き合いをどうしたらいいのか気になるところですが、地区や自治会の出ごとなどに沖さんたち移住者はどう関わっているのでしょうか。

雅之さん:久木原地区に住んで3年目ですが、最初はまずどんな出ごとがあるのか教えてもらいました。その時は結構あるなと思ったんです(出ごとの一覧はこちら)。でも住んでみたら「始めは出られるものだけ出たらいいよ」と言ってくれて。それでも地元の方は喜んでくれました。
今度新しく住まわれる方には、出ごとに一人で行ってくださいということは基本的にありません。私たちや長屋のメンバーが一緒に行きますので、気軽な気持ちで出ごとにも参加してもらいたいと思います。

▲沖さん夫婦が「一番、楽しい出ごと!」と言っていたお正月の大鬼火(どんど焼き)。ご近所さんと立ち話をする機会は意外と少ないことから、道路掃除や神事などの出ごとは、ご近所さんとの貴重なおしゃべりの時間だそうです。

可奈さん:地元の方たちには長屋(里山さんと呼ばれることも)というグループで認識されています。長屋に集団で住んでいるからこそ、地元のみなさんとの関わり方はいい方向でマイルドになっています。
田舎の出ごとって、今の核家族化・サラリーマン化した時代じゃない時から続いているものもあります。だから平日の朝とか夕方とか、参加しにくい時間の出ごともあったりしますが、そういう時でも長屋の誰かは参加するようにしていて、そうすると「長屋から参加してるね」と地元の方が受け止めてくださって、ありがたいです。

諦めムードが開放的に!

沖さんご夫婦はじめ長屋のメンバーの方々がいるのは心強いですね。地元の方からもウェルカムな雰囲気を感じますが、実際はどうなのか、長屋建設時に自治会長だった西木さんにお話を伺いました。

西木さん
福岡市で約40年暮らし地元にUターンして9年目。80歳になるまでのあと10年の間に、地区のことを考えてくれる人を育てていきたいそう。久木原地区には4つの自治区があり、長屋があるのはその内の栗林という自治区。「栗という字を分解したら西木、この栗林に西木姓はいっぱいおるよ」とお話いただいた笑顔が印象的。

西木さん:長屋について最初の説明会は2017年の夏じゃったですね。4つの区の自治会長と、八女市地域振興課の方と、沖さんたちから話を聞いて初めて実態がわかったんです。それまでは色々噂がありましたよ。森林組合の寮ができるとか老人ホームだとか。そして説明会の後に4つの自治会に持ち帰ってそれぞれ総会を開いてね。

建設予定地となった栗林以外の3自治会は、栗林がOKなら反対はしないという立場でした。栗林ではやっぱり不安な声が強かったですね。ヨソモノがどれだけ馴染んでくれるのか、別のグループとして閉じてしまうようだと村の発展にもならないとか。だから何度も話し合いをして。いろいろありまして、まあ大変でしたな(笑)。

ーー消極的賛成や警戒心があったこの久木原地区で、どうして西木さんはそこまで熱意を持って説得に動いたのでしょうか?

西木さん:僕は40年くらい前のふるさとを知っているから、帰ってきてみたら人口も減って、ものすごくさびれてしまった印象でした。さらに強く感じたのは、地区の人たちの将来に対するあきらめ感でした。「どうせこの村は人口が減って住めなくなるんじゃないか」という諦め感から消極的だったんだよね。

地区をイキイキとさせたいが地元の諦め感が一番の阻害になっているんじゃないかな、という思いをずっと持っていたんです。そこにたまたま長屋の話がきたので、僕としてはいい話だと。きっと新しい人が入ってきやすくなるはずだし、若い人たちが入ってくれば、ここでなくても八女東部あたりに住んでもらえればうれしい。だからいろいろありましたが、なんとか説得を続けました。

ーー目指したい方向性が沖さんたちと同じだったということですね。最初は不安もあたかと思いますが、実際に長屋が動き出してからどんな変化があったのでしょうか?

西木さん:最初はどんな場所でも地元の人たちは警戒してしまうと思うんです。でもここ2年くらい経ってみると、そういう警戒心は溶けてきているよう感じます。長屋の隣にドクターヘリが砂埃を飛ばさず発着できるよう、みんなで芝生を植えたり、バーベキュー場をつくって一緒に焼肉したり。そういうことを通して雰囲気が少しずつ変わってきたような感じですね。

野菜ができたらおすそ分けしたり、そういう関係が少しずつできてきて、今の所まあいいんじゃないかな。不思議なもんでいろんな要因もあるんでしょうが、長屋の横の空家には昨年、大家族(11人)も引越してこられました。
いろんな意味でプラスになっているなと僕は思います。僕らの側からすると、地区のみんなが新しい人たちに慣れるきっかけが長屋が出来た事によって作られたと感じています。
それに長屋ができる前は4つの自治会同士の交流って、実は意外と少なかったんです。それが区全体で集まれるような機会が長屋が出来た事で作られ「ひさしぶりやね、どうしとんかい」という会話が出てきてよかったです。雰囲気的には少しずつ開放的な村になりつつあるんじゃないかな。

ーー長屋の誕生をきっかけにいい関係ができてきているのですね。物件やエリアもとても暮らしやすそうですが、一方で仕事についても気になるところですが、リモートワーク以外でこの場所ならではの仕事をするとしたらどんな可能性があるのでしょうか?

西木さん:暮らしの面では、農業でなんとか暮らせると思いますよ。地元で生活基盤を作ってくれるような人が来てくれれば一番いいなあ。高齢化して後継ぎもいないというケースも多いから、お米なんかもあと5年したらほとんどつくれなくなってしまうんではないでしょうか。誰かに継ぎたいナス農家もおるし。
だからたとえば、田んぼを5反か1町歩借りて無農薬米を作りながら複合経営するとかオススメですよ。新規就農者向けの市の補助もあるみたいですから。そして軌道に乗せながら長屋を出て、ここに家を建てて。また次の人が長屋に来てくれるという。そういう循環ができたら僕は一番うれしいです。まあ今からでしょうけどね。まだまだいろんなことをやらないといかんと思っています。


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肩肘張らず自分のペースで

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