『福岡移住不動産vol.50』海と山に囲まれた長屋型住宅での共生生活(福岡市西区今宿東)

曲線がもたらす、暖かな光と柔らかな空間

自分が住んでいる住宅に取材撮影に入るということで、少しヘンな感じがしましたが、物件を売却されるオーナーさんの住戸へ向かいます。

集合エントランスを入り、セキュリティエリア内の通路へ入ると、それまでとは違って少しひんやりし、澄んだ山の空気を感じます。私がこの住宅で好きなポイントの1つです。

黄色と緑のコントラストで構成された各戸の玄関先を通って今回ご紹介する住戸へ向かおうとすると、それぞれの玄関先にも各戸の特徴が見られ、季節の花木をキレイに飾られている家や、かわいく装飾されている家、玄関先でフクロウがお出迎えしてくれる家もあり、通路を歩いているだけでも面白い物件です。

今回売却されるオーナーさんの家に辿り着き、インターホンを鳴らすと、オーナーご夫婦の奥さんが出迎えてくれました。いつもキレイにされており、とても品があって、優しい印象です。オーナーさんは60代と70代のご夫婦2人暮らし。物件が完成した当初に物件を見て、即決で購入され、それから約30年の間、サンテラス今宿で暮らしてこられました。

サンテラス今宿の住戸はいくつかの間取りタイプに分かれますが、今回紹介する物件は一番の特殊住戸ということもあり、早速、家の中を案内してもらいました。

玄関スペースは決して広くはないですが、白を基調とした清潔感のある印象。そのまま中へ進むと、部屋の中に挿し込む明るい光と曲線を描いた窓面が特徴的な、リビングダイニングが広がります。曲線だからか、部屋全体がやわらかで、あたたかな印象を受けます。

オーナーである奥さまの趣味である陶器をはじめとした、こだわりのインテリアが各所に飾られており、暮らしを楽しまれていることが伺えます。

撮影のこの日はあいにくの天気で、眺望はいまいちでしたが、それでも南から西にかけて、長垂山の山裾から今宿の街並みまでを見渡せました。

「らせん階段」の魔法

続いて、家の2階部分を案内いただこうとすると、曲線を描いた扇形のリビングと合わせてもう1つの特徴である螺旋(らせん)階段が目に飛び込んできます。螺旋階段というだけでテンションが上がるのは私だけでしょうか。大人もテンションがあがる螺旋階段、子どもが階段を上り下りして楽しんでいる姿が目に浮かびます。

壁面には絵画が飾られており、まるで美術館かのよう。そして、階段の上部は天井の高さが一段と高くなっており、丸くくりぬかれた天窓から、柔らかな光が差し込んでいました。窓面がなく暗くなりがちな階段スペースではありますが、とても気持ちがよかったです。

楽しかったり、気持ちがいいだけでなく、螺旋階段がリビングや廊下の外側に設けられているため、居住空間の中に階段が目に入ったり、邪魔になることもなく、空間をスッキリさせてくれる効果もあり、まるで魔法のような効果が見られます。

2階には、リビングの上階にあたる部分に、同じ形状の洋室が設けられていました。現在は、個人で設計事務所を営まれているオーナーご主人の仕事スペースとして利用されていました。光が入り過ぎるということで、カーテンをされていましたが、なんとも贅沢なお部屋です。仕事スペースとしてだけでなく、ご家族連れの場合、子ども部屋などにしても楽しいかと思います。

魅力的な立地だからこその売却理由

一通り物件を見させてもらったところで、コーヒーを出していただき、美味しくいただきながら、売却理由を聞いてみました。

「夫婦2人ということもあり、高齢になってきた中で、坂道がきつかったり、より生活利便施設が近くにある場所へ移り住んだ方がいいと考えたんです。」

とのことで、やはり緑が豊かであったり、高台で見晴らしがいい物件であったりする分、難しい点も多いことが伺えます。さらに加えて、

「物件を買った当初から終の棲家として考えきたこともあり、この家やサンテラスでの生活は好きだから離れたくはなかったんだけどね。」

と、オーナーさんの言葉からには寂しさも感じられました。やはり高齢の方にはややハードルが高い物件だと思いますが、自然環境と同じように、物件も生き物であり、常に動きがあって循環していくものなんだと改めて感じた瞬間でした。

 

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1年前に移住してきた住人さんへのインタビュー

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