天神から20分ほど、そこに広がるのは豊かな自然と生活利便に優れた環境
今回ご紹介するのは、福岡市西区今宿にある、長垂山の山裾に位置する何とも形容しがたいフォルムと黄色い外壁色が特徴的なサンテラス今宿という集合住宅です。
コンパクトシティである福岡に慣れ親しんだ方にとっては、「郊外」「福岡市の端っこ」のようなイメージもあるようですが、一方で天神から約20分の距離でありながら、海や山の自然豊かな環境がすぐそばに広がっており、隣駅である九大学研都市駅の開発に伴い、近くには生活利便施設も整っている、という見方も出来ることから、近年人気が高まっているエリアの1つです。
福岡移住計画を運営する(株)SALTによる海の前のワークスペース『SALT』があるのも、この今宿エリア。駅から徒歩5分で海の前に出られる、このアクセスの良さは、コンパクトシティ福岡を象徴するような立地ポテンシャルです。
歴史と自然が織りなす今宿の魅力
歴史的な観点からこのエリアを見てみると、所説はあるものの、今宿は「新しく開かれた(=今)、宿場町」という意味で名付けられたという説が濃厚のようです。江戸時代に福岡城と唐津城(₌佐賀)を結ぶ唐津街道の宿場町として栄えた今宿。当時、今宿は新しく開かれた宿場町として発展したようです。当時の旅人も目の前に広がるこのオーシャンビューを見て旅の疲れを癒したんだと思うと感慨深く、また400年前からこの場所が持つ役割や力は変わらないことが伺えます。
今回ご紹介する物件は、今宿エリアの中でも駅の南東部に位置する今宿東エリアに位置します。このエリアのすぐ北側には、今宿を代表する地域資源と言っても過言ではない、長垂海浜公園があります。目の前に広がる海を前に、散歩する夫婦や子どもを連れて遊ぶ親子の姿、海沿いで語らう学生など、思い思いに過ごす姿が日々見られます。
福岡市西区今宿東(google map)
https://maps.app.goo.gl/fZqncjpzA4rzLdRu9
そして、今回ご紹介する物件は、この記事を書かせていただいている私自身も住んでいる集合住宅ということで、住人としての実感や、はじめて物件を訪れた際の印象なども交えながら、ご紹介させていただければと思います。
ヘビのような、背骨のような黄色い物件
今宿駅から歩いて10分ほど、今宿東エリアを南北に流れる七寺川を渡ると、目線の先に長垂山の山裾に黄色い変わったデザインの建物が見えてきます。こちらが、今回ご紹介する集合住宅『サンテラス今宿』です。地元の方々もこちらの住宅を「黄色い物件」と呼んでいます。
黄色い外壁が目を引くユニークなデザインの建物です。建築家の井本重美さんによりデザインされたこの物件は、上から見ると背骨やヘビのような形状をしています。この曲線美と等間隔で前面に突出した部分が特徴的で、物件を目の前にして建物をまじまじと見ても、各住戸がどのような造りになっているのか想像もつかないことでしょう。
サンテラス今宿の歴史と現在
31年前に長垂山の山裾に誕生したこの物件は、鉄筋コンクリート造の2階建て住宅で、2階建ての住戸が22戸が連なってます。独特な構造は、1階建てのマンションというか、戸建が連なっているというか、私のなかでは長屋型住宅というのが1番しっくりきています。敷地内には山林や公園もあり、住宅地でありながら、山の中で暮らしているような、住人にはそんな暮らしが約束されています。
建物完成当初、サンテラス今宿は当時30代・40代だった方々が購入され、その方々がいまでは60代・70代の高齢者となり、いまも大半を占めています。しかし、山裾ということもあり勾配のきつい地形のため、高齢者にはやや不便な面もあります。そのため、最近では物件を離れる人も出てきて、その度に若いファミリーが移り住んできています。
現在では、0歳の赤ちゃんから80代まで、多様な年齢層の住人が共存しています。私の家庭は子どもが小さいこともあり、日々多くのおじいちゃん・おばあちゃんに子の成長を温かく見守ってもらっています。
住宅が完成した当初から、どういうワケか住人に建築・設計関連の仕事をされている方が多く、自主管理の物件ということもありますが、何か改修が必要になると、皆さんが専門知識を活かして自ら計画を立て作業される光景が広がり、移り住んできた当初は私もとても驚きました。
また、住人の多くはお互いに協力し合いながら、生活を楽しんでいることも特徴の1つです。定期的な掃除や懇親会、季節行事として餅つきや門松づくりなども行われます。山では栗や野いちご、みょうが、シソなど、自然の恵みを享受することができ、四季折々の変化を身近に感じることができます。
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