【SALTな人vol.7】「建築×母」で道を切り開き、そして自ら生み出す人を増やしたい。

感動したオランダの公共サービス

ーー具体的にオランダではどのようなライフスタイルに触れられたんですか?日本との違いなど聞かせてください。

現地で公共空間の中に良質なデザインがすごくたくさんあることに感動したんです。もちろん公園の遊具などもそうですが、例えば役所に提出する転入届けにも驚きました。書類の様式が日本のエクセルで書いたような画一的なレイアウトではなく、グラフィックデザイナーさんの手で美しくデザインされたものでした。大事なところはボールド太字に、絶対見落としてほしくない箇所は赤色で目立つようになっていたりとか…。あまり熟読しないで良いような箇所は色がグレーかつ小さな文字で目立たくなってるとか。

とにかくパッと見て感覚的に理解できるような仕様になっていましたね。公園とか図書館の空間もゆったりしていて使いやすいデザインが多かったです。その姿をみて、社会生活において、例えば赤ちゃんからお年寄りまで、お金のある人・そうでない人など関係なく、どんな人でも分け隔てなく豊かな生活を送れて、社会に歓迎されているムードを感じました。


▲ロッテルダム市のまちなかの公園

ーー転入手続きのお話は面白い!日本で普通に生活していたら考えもつかないことですね。オランダにはいつ頃まで暮らしていたんですか?

娘が3歳になった2002年に帰国して東京で自分の事務所を立ち上げて子育てをしながら暮らしていました。東日本大震災があった2011年の頃から、東京だけにしか拠点がないのは生きていく上でリスクがあるなと感じるようになって。どこにでも行けるようにしておこうと思って少しずつ仕事のやり方を変えていきました。
当時は常時1~2名のスタッフと仕事をしていたんですが、リモートワークができるように、デジタルファックスを導入したり、建築のカタログも紙からデザイタルに切り替えしたりしました。1ヶ月くらい地方や海外にいっても仕事に支障がない状態を少しずつ作っていきましたね。

2012年には岡山の倉敷の歴史あるお宅をリノベーション設計するお仕事をいただいて、2012年と2013年の夏に1ヶ月ずつ、東京を離れて倉敷の古民家を借りて仕事をしました。その頃は地方移住を検討して色々な地域を見て回ったのですが、娘が中学に進学した時期だったので、なかなか移住まで踏み切るのが難しくて。
だったら夏の1ヶ月とか東京を離れるようなスタイルがいいかなと思ってそのときは移住するには至りませんでした。

▲滞在していた倉敷の古民家
→設計された建物「IDEA R LAB」はこちら(http://www.idea-r-lab.jp/

ーーそうだったんですね。その後どのタイミングで福岡への移住を決断されたんですか?

最初に福岡と繋がりができたのは、2016年に福岡地域戦略推進協議会(Fukuoka D.C.)がやられていた「イノベーションスタジオ福岡」に講師として呼んでいただいたことですね。
イノベーターを要請する塾のような場で、そこでアーティスト、起業家、行政関係者など様々な人とお話させていただいたんですが、みなさんノリがすごく良くて楽しかったんですよ。
それで福岡にもっと来る機会を増やしたいな、と思ったので「何か福岡で仕事ないかな?」と周りに相談したら「今度福岡市科学館がコンペをするから遠藤さん挑戦してみたら?」と提案されて。
一緒に組んでくれるチームを見つけて声をかけたら、見事にそこがコンペを通過することができて、福岡市科学館の空間デザインおよびアートディレクションを担当させていただくことになったんです。


写真:八代写真事務所

ーー福岡での最初のお仕事が「福岡市科学館」の設計だったのですね。遠藤さんの手がけた作品としてとても印象に残っています。

はい。その仕事が決まったおかげで福岡にちょくちょく通うようになりました。
月に2~3回ほど東京と福岡を往復する生活の中で、毎回化粧品を持ってきたりするのが面倒くさいし、部屋を借りてもそこまでコスト変わらないかな? という気持ちが芽生えて、まずは部屋を借りてみたんです。これが2018年4月のことです。
それから一ヶ月もしないうちに、東京の自宅が東京オリンピックに向けて建て替えるという話が大家さんからありまして。周りも画一化されたマンションがどんどんできる計画だとお聞きして、こんなところにいてもしょうがないなと思ったんですよね。
ご縁や色々なタイミングが重なって、思い切って住所も会社も福岡に移すことにしたんです。それが2018年9月ですね。

ーー福岡に移住された後、なぜシェアオフィスでお仕事をしようと思ったのでしょうか。 SALTに入居されたきっかけも教えていただけますか。

基本は一人で仕事に集中することが好きなんですが、ソーシャルなつながりもないと居心地が悪いですよね。ありがたいことに、お友達の何人かから「うちのオフィス使っていいよ」というお話もあったんですが、できれば「どのコミュニティにも属さない自分」というのを楽しみたいなと思って、いい距離感で一人になれるシェアオフィスを探しました。しばらくは福岡のコワーキングスペースのドロップインをあちこち利用したり、カフェで仕事をしたりしていましたね。

そんななか知り合いが教えてくれたのが、SALTの提携施設でもあるシェアオフィス 、『DIAGONAL RUN FUKUOKA(ダイアゴナルランフクオカ)以下:DRF』だったんです。見学にいったら大人の落ち着いた空間で、オフィスからの眺めも良いし、気に入って2018年の秋に入居を決めました。

以前住んでいた東京の自宅は森が見渡せる場所でした。長年そういった環境で仕事をしてきたので、景色が見渡せること、清々しい場所であるというのが仕事場を一つの選ぶ指針ですね。
ただ、残念なことにDRFは土日利用ができないのでどうしようかなと思ったときに、提携施設のSALTが土日祝だけのホリデー会員をやっていることを知って。それで週末は気分転換にSALTに通おうと思ってSALTのホリデー会員になりました。

現在は福岡市南区に自宅があるんですが、十数キロの道のりをクロスバイクに乗ってきたり、一駅前で電車を降りて散歩がてらSALTに通っています。


ーー十数キロも!!遠藤さんは以前SALTのイベントにもご出演いただいた、福岡県朝倉発の自転車ライフスタイルブランド「Bike is Life」の山田コーチとも一緒に走られたりしていますもんね。遠藤さんにとってSALTはどういった場所でしょうか? SALTのある地域の印象はいかがですか?

SALT周辺の街にはリラックスした人が多いですよね。海が素晴らしく、波の音を聞きながら過ごすのは本当に豊かな時間で、ここにいるみんなもその流れの中でゆったりした空気感を作り出しているなと感じます。

SUPや水上スキーなどのレジャーを楽しんでいる人をSALTの窓から眺めながら仕事するのが意外に面白くて気に入っています。
目の前に広がる海と島、色や景色が移りゆく情景はクリエイターやアーティストなど芸術的な感覚にはとても良い刺激です。

ーーこれまでSALTで仕事をしていてよかったことがあれば教えてください。

わたしは土日祝日利用のみのホリデー会員、かつ毎週通えているわけではないので、そこまで他の会員さんとお話する機会を持てていないのが現状です。
ただFacebookのメンバーページに気軽に書き込みできるので、お互い情報交換したりして、コミュニティに参加している実感はありますね。

提携施設のDRFの女性メンバー同士が仲が良くて、SALTのコミュニティマネージャーの野上さんも含め数人で飲んだり、山登りにいったりしてますよ。お互いほど良い距離感で心地よい関係を築けています。
それに、SALTにはキッチンがあって食器類も充実しているのもいいですよね。わたしはお弁当箱のまま食べるのがちょっと味気なくて嫌で。SALTだと少しカレーを温めてお皿に移して食べたり、オレンジをカットしてお皿にもったりできる。キッチンと食器があるから、ランチタイムを自分なりに楽しめる点も気に入っています。

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