【Mekurutoな人vol.4】この場所と人々に、楽しいことを仕掛けていく。

2018年1月、福岡県久留米市に民間初のシェアオフィスとして誕生した『Mekuruto』。このシェアオフィスは、私たち「福岡移住計画」と「久留米移住計画」が連携運営しています。
オープンしてから1年6ヵ月、『Mekuruto』にはどのような方々が入居し、日々空間を共有しているのでしょうか。シリーズ「Mekurutoな人」では、利用者の視点から『Mekuruto』という場のリアルについてお話を伺います。

今回のインタビューは、Webサイト制作やシステム構築などを手がける株式会社クローバーソフト代表の杉山美鈴(すぎやま みすず)さん。2人のお子さんを育てながら、会社経営から地域のコミュニティ運営まで幅広く活動される杉山さんに、『Mekuruto』の印象やその活用方法についてお話を伺いました。

映画で観た女ハッカーに憧れて

前回の渡辺さん、柴田さんに続き『Mekuruto』で働く方々を紹介していますが、今回は杉山さんにお話を伺います。まずは自己紹介と、お仕事内容についてお聞かせいただけますか?

出身は鹿児島県の長島という島です。大学から福岡に出てきて、もう20年以上になりますね。今は久留米の隣町、佐賀県のみやき町というところに、子ども2人と私の3人で暮らしています。仕事はWeb制作やシステム構築などで、2009年にフリーランスとして独立、2015年に法人化して、4期目になります。

ーWeb制作やシステム構築は専門性の高いお仕事かと思いますが、どのような経緯で始められたのでしょう?

そもそもは学生時代に、映画『ザ・インターネット』を観て、女ハッカーが事件を解決する姿がかっこいい、と憧れたのがきっかけです(笑)。それでパソコンを買い、パソコン教室でアルバイトをしながら、技術を勉強していきました。その流れで、卒業後はシステム系の会社に就職して。企業のIT研修室で講師をする仕事を、8年ほどしていました。

ー8年ほどそこで働かれて、次に動かれた背景というのは……?

結婚して、子どもを産んだんです。一度は育休から復帰して、もとの会社で働いていたんですが、縁あって、佐賀のみやき町に家を建てることになり。長距離通勤は難しいかなと考えていたところに、次女を妊娠し、退職して専業主婦になりました。
産後しばらくして、また働こうかなと考え始めたころ、友人から在宅でできるプログラミングの仕事をもらったんです。そこからフリーランスとして自宅で働き始め、徐々に仕事が広がり、7年後に法人化して今にいたります。

人と会い、つながる場

ーご自宅で仕事をされていたとのことですが、シェアオフィスを利用しようと思った背景はどういったものでしょう?

実は今も、メインは自宅で働いています。ただ、活動するにあたって自宅を公表したくなかったので、以前からオフィスを別に借りていたんです。最初は久留米市が運営しているインキュベート施設に、1年ほど入っていました。環境的には便利でよかったのですが、市への報告作業などを大変に感じるようになり、次の場所を探して。
次はアパートの一室を借り、そこも2年ほど使っていました。ただ、自宅でもできる仕事なので、徐々に行く意味が感じられなくなってきて……。どうしようかなと考えていたときに、知人のおきなさんから「今度シェアオフィスを作るよ」と話を聞いて。作られていく過程を見ていて、楽しそうだなと思い、『Mekuruto』のオープンと同時に入居しました。

ー実際入られて、『Mekuruto』はどうですか?

楽しいですね! でもわたし……あんまり来ないんですよ、ここ(笑)。

ーそうなんですね。どのくらいの頻度で来られますか?

多くて1週間に1回くらいですが、2週間来ないときもありますね。私の場合、仕事は自宅が一番集中できるんです。自宅だと家事をしながらできるので、いろいろと都合がいいんですね。
ただ、それだけだと本当に引きこもりになって、どんどん日本語が出てこなくなるんですよ……。そこに危機感があるので、たまに外に出るようにしています。『Mekuruto』は、打ち合わせをしたり、知人と話したり、事務作業をしたりする場所として使っています。空間がお洒落なので、みんな打ち合わせに来たがるんです。

ーみなさんが打ち合わせに来たがる、というのはいいですね。ちなみに、『Mekuruto』へのアクセスや周辺環境はどういった印象でしょう?

JR久留米駅から徒歩5分以内なので、県外からのアクセスはとてもいいですよね。わたしも週に1度、博多に行くのですが、新幹線ですぐに行けますし、熊本にも20〜30分で行けたりします。お店などは西鉄久留米駅周辺の方が多い印象ですが、働く拠点としてはいいかなと思います。

次々とイベントを起こせる場

ーところで「自宅が一番集中できる」とおっしゃる杉山さんが『Mekuruto』を利用され続けているのには、他にも何か理由があったりするのでしょうか?

そうですね……。普段はあまり来ないのですが、土日に『Mekuruto』でイベントを主催する、という利用方法では、もしかすると一番使っているかもしれません。わたし、イベントを開くのが好きなんですよ。

ーそうなんですね! 例えば、どんなイベントを主催されているんでしょう?

例えば月に1度、『CoderDojo久留米』という、子どもたちにボランティアでプログラミングを教える活動をしています。『CoderDojo』は世界的なコミュニティなんですが、その久留米版という形で運営していて。活動自体は『Mekuruto』ができる前からやっているので、もう2年以上になりますね。最初は自分の娘2人を含め、参加者4人からのスタートでしたが、今では15人くらい集まることもあります。

ー今は『Mekuruto』で毎月1回、開催されているのですね。

そうですね。時にはこうやってインスタレーション作品(写真参照)の展示があったりもするので、子どもたちにその作品を見せたいなと思ったりもして。子どもたちには、いろいろな刺激を与えたいと思っているんです。

▲ 取材時に展示されていた、ビデオテープを使ったインスタレーション作品

ー場所に変化があるのは、子どもたちも楽しいかもしれないですね。ちなみに、他のイベントなども企画されているのでしょうか?

はい、先日は『アクティブ・ブック・ダイアローグ』という新しい形の読書会を、本の著者さんをお呼びして開催しました。他にも、“こんなことがしてみたいな”と思ったらすぐに『Mekuruto』の運営陣に相談できるので、イベントを気軽に開けるのは嬉しいですね。今も、新しい勉強会について考え中ですよ。

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