【ぼくらの会社見学vol.05(前編)】“みんな家族のよう”明太子の広まりはそこから。(ふくや)

―明太子といえば福岡を代表する名物ですが、いつ頃からそうなったのでしょう?

1975年に山陽新幹線が全線開通したことからメーカーが増えて、そこからでしょうね。それまでは、まだ珍しいお土産という感覚だったようです。場所が福岡だったというのも大きいと思います。支店経済で交流人口が多いエリアなので、出張のお土産で東京や大阪などに持って帰ることでうまく広まったのでしょう。

―今、明太子メーカーは何社くらいあるのでしょう?

メーカーは140社くらいだと思います。わりと簡単に作ることができるので、小さな会社も多い。次から次にメーカーが出てくるのですが、味付けも売るマーケットもそれぞれが違うところを埋めていった結果、きれいに住みわけができている。だから同じ業界でも、いい関係ができています。

―そのマーケットの違いとはどういったものでしょうか?

例えば、『かねふく』さんは魚市場を通じたスーパーなどの卸売中心、『やまや』さんは百貨店、『鳴海屋』さんはいち早く東京に行かれて、『福さ屋』さんは博多駅構内がメインというような感じです。当社はずっと自社でしか販売しないスタイルを貫き、中洲と薬院の2店舗、あとは現金書留での通信販売のみでした。ですから、祖父が亡くなった頃、売上高では業界3位くらいだったと思います。
自社販売にこだわった理由の一つは、品質を保つため。流通を通すと、どこでどんな管理をされて誰に売れたかわからない。今は冷凍・冷蔵の物流が整備されていますが、当時はそこに不安がありました。もう一つの理由は、卸を通すと価格が上がるからです。当時は大卸・仲卸・二次卸というように卸が何重にもなっていて、1,000円の商品がお客さまに届くときには2,000円3,000円になってしまう。それを避けたかった。お客さまにいい品物を適当な価格で届けるために、手間はかかるけど、自社で販売するという選択したわけです。ただ、5年前に一部、卸売を始めました。宅配便の送料が上がってしまったため、お客さまが割高に買わずにすむための方法として、信頼できるパートナーに売ってもらうことにしました。

―明太子メーカーが増えても、ふくやさんの明太子が愛され続けているのはなぜだと思われますか?

当社の明太子は味付けがシンプルなんです。非常に鮮度が高く、魚卵の臭みが出ない原料を仕入れていて、実は明太子メーカーではおそらく唯一アルコール類を使っていません。他社は昆布やゆずで漬けたり長時間漬けたりとさまざまなタイプがありますが、レシピに酒、みりんやアルコール類が入っていることがほとんどです。私たちは唐辛子の風味を殺さないためにもアルコールを入れずに作っています。だから、シンプルで飽きがこないのだと思います。

―それはふくやさん独自の製法にコツがあるのですか?

いえ、原料の良さに尽きます。高いランクの原料を厳選して仕入れています。その分、もちろん高い価格で買うので原価が上がり、卸せるほど粗利が出なかったというのも直接販売にした理由の一つですね。常に品質にこだわりつつ、お客さまにリーズナブルに届けたいという想いでやってきました。その想いが伝わって、ありがたいことにお客様に購入いただいているのではないかとも思っています。

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