奥八女で暮らす。5つのライフシフト・ストーリー(後編)

<立花エリア>「やっぱり農家になりたい!」を叶え6次化農家へ。チャンスにぶつかる歩き方

小山瑠惟さん

小山瑠惟(るい)さん。『おやまファーム』代表。熊本県立農業大学校を卒業後『JAかみましき』で営農指導員として勤務後、立花に移住して知人農場で修行後、新規就農。現在は就農2年目で、レタスやゴーヤのほかキウイやシャインマスカットなども生産している。農業・農家民宿・食を通して八女の里山暮らしや食の愉しみを伝える『母の膳推進協議会』のメンバー。

ご縁を大切に、チャンスをつかまえ、飛び込んでいく

小山さん:うちは非農家の家庭だったので、自分が農家になれるとは思っていませんでした。それでも農業に興味があったので、就職はJAにしたんです。そこで働いているうちに、たまたまここの地区で農業をしていた農業大学校の同級生友達から「農地を貸せるよ」と誘ってもらえて。「これは何回もないチャンスだ!若いうちにチャレンジしよう!」と思って、それで立花に移住しました。

移住前は八女や立花といっても特にイメージはなくて「友達が住んでいるところ」くらいのイメージでした。移住してからちょっとずつ知り始めたという感じで。まず最初は、その友達のお父さんのところで2年間ほど農業の修行をさせてもらうことができました。新規就農するときには、そこで「お前もシャインマスカットつくりたかったらどう?」と畑も用意してもらえて。みなさんすごくアットホームで、よくしていただいています。そのうちに地区の人たちとも接するようになってきて。『母の膳推進協議会』の加代さんたちとも一緒に活動をさせてもらうようになりました。

中島加代さん

中島加代(かよ)さん。農家民宿『大道谷の里』の女将で、特産品を使った商品開発を行う『山の神工房』を運営。農林水産省『農林漁家民宿おかあさん100選』に選ばれた食の達人。八女市指定文化財『旧大内邸』保存会の田中真木さん、食アメニティコンテストで農林水産省農村振興局長賞を受賞し『ふみちゃんの味噌汁屋さん』を営む後藤富美子さんと共に、70代女性3人で『母の膳推進協議会』を立ち上げる。

中島さん:『母の膳推進協議会』は農水省の助成事業なのですが、農水省の方からは「最高齢グループだ」と言われました(笑)。小山さんにお会いしたのは『母の膳推進協議会』の立ち上げ1年前くらいで、当時はまだ新規就農前で修行中でしたね。それから小山さんなど若い方たちもお誘いして、今は20代から70代までの幅広いメンバーで運営しています。

実は以前はこのあたりでも、ヨソモノが新規就農というのはハードルが高かったんですよ。ウェルカムではないというか。でもやはり高齢化でどうしても自分たちだけではやれないということで、若い人たちが来たら歓迎するムードに変わってきました。地域の草刈りだったり、若い方たちのおかげで地域が成り立っているとも感じます。

プロフェッショナルだらけの土地で、素直に、ガンガン成長する

小山瑠惟さん

中島さん:立花はずっと農業が盛えていますが、時代に合わせてうまく変化し続けているんですね。たとえばかつて主力はミカンで、それをキウイに切り替えたり。それからキウイが突然二束三文になった時にもすぐに農協が冷蔵庫を整備したので、他所がキウイをやめても立花には残って、高値で計画出荷できるようになったんです。そんなキウイも下火になるだろうというので、今度は小山さんたち若い方にシャインマスカットを教えているんです。地域を衰退させないという気概が、土台にあるんですね。

ここは立花の中でも白木(しらき)という地域で、その中でも『桐葉(きりば)』という地区なんですね。以前、熊本大学の先生が調査研究をしたことがあって「桐葉は特に先進的だ」というような結果をまとめたんですよ。最近は若い方の移住者が桐葉で増えてきているのですが、そういう背景もあるのかもしれません。

小山さんたちは素直で、人の話をよく聞くから、みんな教えたくなっちゃうんですよね。質問も多いから、教えがいもあるし。

小山瑠惟さん

小山さん:いろんな生産者さんに指導を仰げる、ありがたい環境です。参考書に載っていないことや実践的なことまで教えてくださるので、すごくやりやすいと思います。

生産面は農大でも勉強して基礎はあったのですが、今『母の膳推進協議会』でやっているような食のイベントは初めてなのでとても新鮮です。生産物は主にJAに出荷してお金をもらっているのですが、他のいろんな可能性が見えてきたと感じています。若手メンバーの中には海外での生活経験があって英語が得意な人もいるんですよ。

八女の里山おだいどこ

大道谷の里

挑戦者のまちで楽しむ、マルチなチャレンジ

今チャレンジしているのは、ゴーヤのパウダー加工です。立花はゴーヤの生産も盛んなのですが中には出荷できないものもあって、そういう農作物を有効活用できる加工品をつくれたらいいなと思います。これもそういう加工に取り組んでいた方から、お誘いを受けて引き継がさせてもらったんです。あとは自分の農地の拡大と、母の膳のイベントと。その3本柱に今は集中して頑張っているところです。それでも生産・加工・サービスと多岐にわたるのでものすごくやりがいがあります。

中島加代さん

中島さん:若い方に力になってもらって、一緒にやっていきたいなと思います。私たちの世代は40代だったころにも、農家民泊とかいろいろ新しいことに挑戦してきていて、今もまだ企んでいるところですよ(笑)年をとるとできないことも増えてくるし、地域の労力も不足してくるでしょう?だから旅行ついでにお手伝いしてくれる人とか、ここで農業を生業にしたい人とかを受け入れるための法人を立ち上げようかなーとか。決して、落ち込みたくない。そういうところなんですよ(笑)

山の神工房

中島加代さん

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