【ぼくらが連れて行きたい店vol.50(独り身編)】ドタキャンの夜にも「STAND BY ME」。 ヤケ酒もはかどる、立ち飲み屋、あり〼。

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
本コーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

※本コーナーの記念すべき50軒目ということで、2つの記事でご紹介します。2本目の記事はこちらからご覧ください。

寒い、寒すぎる…
去る、クリスマスイヴ。家族、友達、恋人…だれもがだれかと過ごす夜、私は急にぼっちになってしまった。そう、ドタキャンされたのです。

試しに数少ない友人に電話をしてみたけれど、案の定、予定が入っていると断られた。

「どうしようかなぁ…」半ベソで歩く大濠公園の風は冷たい。
例えるなら滝行。あーあ、もっとあったかい格好してくるんだった。
待ち合わせ場所だったスタバを振り返ると、なんだか遠くに霞んで見えた。

こんな悲しい夜は……、飲んで帰ろう。

私はポケットから携帯を取り出し、「大濠公園 立ち飲み」と検索した。
するとトップに出てきたのは『STAND BY ME』というゲストハウス。
「なにこれ、飲み潰れたら泊まれるじゃん!」私の好奇心がむくむくと音を立てんばかりに沸き上がった。

それに、今夜はイベントをやっているらしい。
その名も「友達つくらNight」…寂しい私になんてぴったりなんだ。
ここなら私を受け入れてくれそう!

暖簾のかかった大きなガラス戸を開くと、笑顔の素敵なお姉さんが駆け寄ってくれた。
「あの…一人なんですけど…」もじもじする私。
すると「全然大丈夫ですよ、カウンターにどうぞ!」と通してくれた。

お姉さんによると、立ち飲みは4枚1,000円の木札を買ってスタート。さらに福岡の名店とのコラボメニューやオリジナルレシピが約30種類!ドリンクは約20種類以上もあるそう。

中でも一番人気は、サクサクジューシーな『唐揚げ』。
熱々出来立てで提供されるので、お腹も心もいっぱいになっちゃう一品。
「うまぁ〜、お酒とも合う〜〜〜!」

▲『海鮮丼日の出』さんとのコラボ唐揚げ。

そうこうしているうちに、立ち飲みスタンドは超満員に…!

「いつもこんな感じなんですか?!」動揺しながらカウンター越しに聞いてみると
「今日は特別多いですよね」という声が後ろから。え?なにお客さん?

▲お客さんでいっぱいです

「あ、常連のA(匿名希望のため)です」と折り目正しいあいさつをくださるAさん、イベントのたびに手伝いがてら飲みにきているそう。今日はクリスマスイベントということで、鈴やトナカイのモチーフを形どった名札をハサミでチョキチョキ作成中…他のお客さんに配っています。

常連さんといえば、カウンターで私の横に並んでいるお姉さんもそんな雰囲気。ちょっと話しかけてみようかな…なんて考えていると、スタッフさんからナイスアシストが。

スタッフ:「Bさんも、なんだかんだイベントに毎回きてくれてますよね〜!」

Bさん:「そうね〜、イヴに一人は嫌だし」とお姉さん。

私:「そうなんです!私も!!さっきドタキャンされたばっかりで!!!」

Bさん:「わたしは違うけど…でも、なにがあったか聞いたげよっか?」

私:「お願いします!!!!」

超満員の立ち飲みスタンドで、初めましてのお姉さんとスタッフさんに愚痴り始めた私。
「それ、ひどいね〜」「そんな男は捨てちゃいなよ〜」なんてあいづちが気持ちいい…どうやらみなさんも私のような経験があるらしく…

スタッフ:「わたしが昔付き合ってた男なんか、必ず遅刻してくる人だったよ」

私:「え!毎回ですか?」

スタッフ:「そうそう毎回、1時間とか平気で待たせるの…」

Bさん:「うわー!私も似たような経験ある…」

スタッフ:「ああいう人って、何にでもなんとかなるって楽観的に考えてますよね」

Bさん:「わかる〜!変に余裕な感じ出してくるし」

私:「あー!そうやって“自分は落ち着きある大人な男ですよ感”出す人もいた…」

Bさん:「バレバレなやつね(笑)」

スタッフ:「きっとそういう人って仕事でもルーズで、周りからの信頼なくしてますよね。将来考えたらいろいろ不安!」

私:「でも……」

スタッフ・Bさん:「でも??」

私:「そういうところがちょっと可愛かったり…」

スタッフ・Bさん:「いやいやー」

Bさん:「そうやって甘やかすから調子乗るのさー」

スタッフ:「可愛いと感じるのは、彼氏さんに“天然なところ”があると思ってません?」

Bさん:「天然とルーズはちょっと違うよね」

スタッフ:「天然な方は、他のところでも抜けているところがあってそれ自体に全く気づいていないけど、今回のケースは単に時間にルーズなだけですよね」

私:「たしかに、他で抜けてるなーって思ったことがない。むしろ抜けているというより、明らかにガサツな面が目立つ」

スタッフ:「あー、アウトですね」

Bさん:「大事に想ってくれる人は、特別な日なんかは一番に考えてくれるよね」

スタッフ:「やっぱり大事にしてほしいですよねー。お客さんで海外のカップルの方も来ますが、もうレディーファーストが素敵です。あれくらい想ってほしいですねー」

……そこからも話は続き、「約束守らないルーズ男は最低、仕事もできない」というところで話が落ち着いた。

その時「やぁ〜Bちゃんじゃないの!」ご機嫌なスーツの男性が現れた。こちらも常連さんで近所にお住まいなんだとか。
「案外、宿泊の方よりご近所さんが多いんですね」と驚く私に「今年はラグビーワールドカップがあったから、海外からの人も多かったよね」とCさん。お詳しい!STAND BY MEをいかに愛しているかが分かります。

話が盛り上がるうちに夜も深まってきました。
時刻は12時を過ぎたところ…あ、もう終電行っちゃったじゃん。

スタッフさんに「今日、泊まってもいいですか?」と聞いてみると、サクッと予約状況をチェックしてきてくれた。「ドミトリータイプで良ければ空いてますよ」と。

ん? ドミトリーとは? 不安げな顔をしている私に「ドミトリーって相部屋なんですけど、女性専用が空いてますからご安心ください」とニッコリ。遠慮なくお泊まりすることにしました。

翌朝。朝食もいただけるとのことで、またまた立ち飲みスタンドへ。
祭りの後の静けさなのか、朝はまったり過ごせる雰囲気。

そして来ました、朝食。具沢山の豚汁に、ほくほく白ごはんと明太子に冷奴とシンプルな和定食です。ご飯のお供は生卵、納豆、ポテサラ、ソーセージの4種類から選べます。
飲んだ翌朝にしっかり朝ご飯食べると、なんだか体の奥の方に染みわたる感じがします…。

食事を終えてほっこりしたところで、そろそろ帰ろう。
「とっても楽しかったので、また来ますね!急な宿泊も受け入れてくださってありがとうございました」と声をかけると「こちらこそ、ありがとうございます!またお越しくださいね」とお姉さん。ガラス戸をくぐると、今朝は快晴!いいお天気です。
気分も晴れやかに家路につく私でした。

(追伸)彼氏へ
あなたのいないクリスマスは最高に楽しかったです。いろいろ聞いてくれるお姉さんができたので、もういつでもドタキャンしてください。
(写真:小金丸和晃)

【STAND BY ME】
https://stand-by-me.jp/
福岡県福岡市中央区大手門1-3-22
TEL:092-791-1974
チェックイン:16時〜23時
チェックアウト:10時

<TACHI-NOMI>
朝食:7時〜10時
ちょい飲み:11時30分〜17時
ランチタイム:11時30分〜14時30分
立ち飲み:17時〜24時

"暮らしのこと"の関連記事

keyboard_arrow_up