≪成約済≫『福岡移住不動産vol.37』【志賀島】漁師まちの中古戸建て コンバージョン&リノベという店舗物件購入の新しい選択肢

今年1月に公開していた志賀島の物件は本サイトへのお問合せにより買主が決定し、今回、第二弾が情報が公開となりました!前回物件記事はコチラ

福岡市では、2016年より農山漁村地域の活性化を目的に、土地利用規制緩和を行っており、これまで開発が規制されていた一部エリアでの新規ビジネスが可能になりました。このような背景のもと、今回ご紹介する物件は福岡市東区志賀島にあるとある民家。住宅として利用されていた建物を購入して、この土地の自然と温かな島民たちとともに島を盛り上げる事業をはじめる人を募集します。

本物件は前述した内容の「福岡市農山漁村活性化プロジェクト」に基づいて購入者を募集するものです。前回の記事ではおもにプロジェクトの内容や島の特徴などに触れましたが、今回の記事では島で暮らす人たちから聞いた話に焦点をあて、読者に島での暮らしをより具体的にイメージしてもらえるような内容となっています。

志賀島の3つの地域

古代、万葉集の時代から歴史をつなぐ志賀島には大きく分けて3つの地域があります。南側の志賀(しか)地区・農業が盛んな勝間(かつま)地区、そして本物件の位置する西側の弘(ひろ)地区です。弘地区は志賀地区と同じく古くから続く漁師まちで、この地区は島内でも海に沈む夕景が特に魅力的なエリアです。今回の取材では地元で生まれ育った人から移住して開業した人まで、それぞれの立場からみた島のお話を聞くことができました。島の概要をお伝えした前回の記事に引き続き、島で暮らす人々にフォーカスした記事をあわせてお読みいただくことで読者のみなさまにもあらたな志賀島像がみえてくると思います。

本物件は弘地区の密集した住宅街の中にある築46年の戸建て物件です。玄関前の道路は細く車1台通るのがやっとくらいの幅です。



物件裏側には車1台ほどの駐車スペースがあり金印街道に面しています。そして写真からもわかるように隣接する民家とはかなり密接しています。前回の記事同様、今回ご紹介する物件も地域の振興に寄与する事業を展開していただく店舗のオーナーさんを募集するものですので、ご購入後は全面的な改修をおこなっていただくことになります。

島で生業をつくり、暮らしていくこと

弘地区にはここでしか手に入れることのできない「弘わかめ」という特産品があります。
志賀島のわかめは玄界灘の荒波にもまれて肉厚で歯ごたえがいいのが特徴です。毎年2月中旬ごろに収穫される天然わかめをひとつずつ湯通しして塩蔵状態にしたものを「弘わかめ」といい、この地域でしか販売されていない貴重なわかめです。この弘わかめを直売している『SHOPヒロ』が物件より徒歩1分の場所にあります。たずねてみるとそこは志賀島で生まれ育った女性たちが切り盛りするアットホームなお店でした。そして取材当日はお目当ての「弘わかめ」はまだ販売されていなかったため写真はさざえと殻付きカキとなりました。こちらも人気の商品のようですよ。


お店の女性たちから話をうかがうと、弘地区に古くから住む人たちの生業はほとんどが漁師とのこと。近年では高齢化が進み最も若い世代が50代だとか。お店のスタッフの女性たちはみなさん島生まれの島育ちだそうですが、そんな彼女たちからみても漁師の気質は基本的に荒っぽく、土地柄は排他的だと感じておられるようでした。これから移住してこられる人たちは、それ相応の覚悟が必要だと感じながら次なる取材スポットへ向かいました。

島とのちょうどいい距離感

次に訪れたのは志賀地区にあるスパイスカレーのお店『MEGANE CURRY』さん。オープンしたのは3年前で、当時より好きなことを生業としてマイペースに暮らしていくことを望んでいる店主の安達さんは、当初、糸島への移住を考えられていたそう。開業についても特に急いでいたわけではなく物件を検索していたところ、たまたま目にした志賀島の物件を見学して直感的に決めたそうです。

店内はおしゃれで落ち着いた雰囲気でした。カレー店というよりはカフェみたいです。物件購入当時はまだ前の居住者の私物が散乱し、建物も古びてみえたはずなのに、どうしてこの場所だと直感できたのでしょうか。理由を聞いてみると、この空間のキャパや周りの環境、物件に足を踏み入れた時になんとなくしっくりくる感じがあり、ここで暮らしていく自分たちの姿がすんなりイメージできたから、ということでした。相性の良い物件との出会いとは本当に突然にやってくるものです。

お店をオープンして3年目を迎え、最近では地元の人も足を運んでくれるようになったそうです。安達さんは特に地元に対して媚びることもなく、無理に溶け込もうともしません。ごくマイペースに、地域と程よい距離を保って生活しています。そういう姿勢でいられる島の寛大さが安達さんにとっては心地がいいようです。

これから志賀島にできてほしいお店を尋ねてみると、「飲み屋」と「パン屋」とのお答えでした。たしかに、島をめぐってみてパン屋さんは見当たりませんでした。毎日焼き立てのパンが食べられるようになったらいいかもしれませんね。

▲MEGANE CURRYを経営するおふたり

まとめ

今回の取材では地元の人、移住してきた人の何人かに話をうかがいましたが、みなさんそれぞれちがった島の印象をお持ちでした。排他的に感じる人もいれば、寛容な島だと受け止めている人もいます。そしてそれぞれの話を聞きながら感じたのは、地に足のついた落ち着きと島への愛情でした。
慣れない土地へ移住をして起業する、そのこと自体かなりエネルギーのいることですし、よほどの覚悟や情熱が必要だと通常は思います。おそらくそれは間違いではないのだけれど、でもこの寛大な島ではもう少しリラックスした姿勢で踏み込んでみるのがよいのかもしれません。

地域活性化のための事業を始めようと考える方はその時点で地域との密接な関りを強く意識していることと思います。ですが、歴史ある集落によそ者として入り込んでいくには、受け入れる側、入り込んでいく側の絶妙なバランス感覚がもとめられます。難しいことのように思われますが、この島で比較的長く移住者として営みを続けている人たちは、地域を盛り上げるんだと過度に気負いすることなく、地元と距離があってもさほど気にもせず暮らしていました。そんな彼らの姿は取材をした私たちにとっても新鮮に映りました。
その土地を訪れた時に肌で感じた感触、現地の人たちと会話をしたときの印象、物件とのフィーリングなど、目に見える条件ではなく五感で感じることが、土地や物件えらびには重要なポイントのようです。

地図

物件概要

 

種別 中古戸建・売買
価格 390万円
所在地 福岡市東区志賀島1272
交通 西鉄バス「志賀島局前」停 徒歩1分(約50m)
種類 居宅
土地面積 公簿141.78㎡(坪)
建物延床面積 98.01㎡(1階71.28㎡、2階26.73㎡)
総戸数 1戸
建物構造 木造2階建て
都市計画 市街化調整区域
特記事項 住宅利用は不可のため用途変更が必要(買主負担)2019年6月に規制緩和予定
その他法令上の制限 土地利用規制緩和区域(地域の活性化に資する飲食店や宿泊施設が立地可能) 指定既存集落
接道状況 公道 接道状況:北側道路幅1.7~2.5m 接道約6.7m、南側道路幅7.4m 接道約5.0m
建ぺい率 70%
容積率 200%
地目 宅地
築年月 1973年以前(築46年以上)
駐車場 1台
インフラ 上下水道(福岡市) ガス(プロパン) 電気(九州電力) インターネット(引き込みなし)

(テキスト:野上梓)

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