【その後のストーリー】夢もある、そして母として。飛び込んだ先に見えてきた世界。

「その後のストーリー」は福岡移住計画で掲載させていただいた求人情報がきっかけで、その職に就いた方の、その後の物語を紹介するコーナーです。

自分の気持ちに正直に、ワクワクする方へ進むこと

3年前に紹介したこちらの求人記事(メンバー募集)を見て、「えいっ!」とうきはの山辺にあるシェアカフェ「コトコト舎」へ応募し、ベーグル屋『SASABAGeL』として活動を始めた笹部さん。手ごねで作るベーグルは、モチモチで噛めば噛むほど癖になる食感。いつしか色々なイベントでも人気の的になっていました。
そんな彼女が「コトコト舎」を卒業されて、この秋から新たに屋号を『こみせ』に改め、ベーグルと雑貨を扱う自宅ショップを筑前町にオープンしました。青空広がる秋晴れの日、「コトコト舎」入舎から卒業、そして『こみせ』オープンまでのお話をうかがいしました。

一生懸命走っていたら。

―以前から交流がありましたが、今日は改めてライターとしてお話をきかせてもらえればと思います。どうぞ宜しくお願いします。「コトコト舎」に申し込んだのは、2年半前の春でしたね?

そうです。もともと、佐賀出身で、若い頃に結婚して2人出産して、パートで働いていました。子どもたちがまだ小さくてパートにも行っていなかった頃にベーグル作りが趣味になって、ずっと焼き続けていたんです。
「いつかベーグル屋さんになりたい!」という想いが強くなっていた頃に、移住計画に掲載されていた「コトコト舎」の募集記事を見つけました。当時、子どもたちは小学5年生と6年生。翌年だと、小学生・中学生に分かれてしまうタイミング。もしもベーグル屋さんになったら、子ども2人に留守番をさせてしまう事も増えるかもしれない。「2人揃って同じ時刻に下校出来る小学生のうちがチャンス!チャレンジするなら、今のタイミングしかない!」と思ったのです。それまではファーストフード店でパートとして働いていて、スタートトレーナーというちょっと指導的なポジションにも就ていました。けれど、そのお店の中でパートとして出来る事には限りもあったし、自分が本当に好きなことはベーグルを焼くことだから、自分の気持ちに正直に動いてみようと思いました。「もしも駄目だったらまた何か新しく仕事を見つければ良い・やってみよう!」って。

―コトコト舎に入って、オープンが5月でしたね。その頃を思い返すと、どんな気持ちですか?

とにかくわからない事だらけだったので、1から10まで教えてもらいながらです。レジもそうだし、色々な資材とかもそうですね。最初は50個作るのがやっと。要領が悪くて、徹夜するぐらい手が掛かってました。重さもきっちり計っていなくて、本当に「よくあれでベーグル屋さんを始めよう!」と思ったなぁって。今考えたら、ちょっとこわいぐらい(笑)。一生懸命と言うか、本当にバタバタしまくりでしたね。

▲はじめた頃は、50個でもいっぱいいっぱいになっていた。

それでも、やっぱりお客さんが会いに来てくれたり、ベーグルを美味しいって言ってもらえたら、本当に楽しくて面白くなって。8月には1番最初のイベントにも出店して、1年経った頃には1ヶ月に8,9回はイベントに出るようになっていました。
でも、自宅からコトコト舎までは片道40分かかるので、オープン前に心配していた通り、子どもたちに留守番してもらう時も多かったですね。子どもたちは「楽しそうだね」「頑張ってね」って応援してくれましたけど、「もしも子どもたちだけが家にいる時に何かあったらどうしよう!」って心配ももちろんありました。でも、子どもたちが寂しく感じる時もあったかもしれないけれど、「大人になってからでもやりたい事はやれるとよ!」「大人だからって縛られず、諦めなくていいとよ!」って言えるお母さんでありたくて。

とは言っても、「お声がけいただいている全てに出たい、あれもこれも持っていきたい」になってしまうと難しいところもあってですね。母親であるというところは、この時期だからこそ大事にしたいと思っているし、ベーグルのレベルもある程度キープしたいと思っているので、今は一応「100個」っていう数を目安にしています。

―色々なところからお声がかかり、イベント出店が増えた頃から「自分のお店を作れるだろうか?」と模索されたんでしょうか?

はい。毎日忙しくて充実もしていたんですけど、やっぱり子どものこと、家庭のことを考える瞬間があって、いつまでもこのペースは続けられないなと思いました。なので、お店を具体的に考え始めたのは、「コトコト舎」での営業と並行です。最初は自宅兼ショップというのは頭に無くて、「家から通うのに負担にならないところにテナントを借りて・・・」と考えていました。けれど、少しずつ気持ちが変わって。自分が長い時間を過ごしていく場所になる、だったら自分好みを目指したい。テナント物件だと、改装費に加えて家賃が必要になる。だったら「家賃分がかからない自宅で」となりました。「今まで自分用には大きな買い物もしてこなかったし、人生に1度は大きなチャレンジしたっていいじゃない。失敗したらまた勤めに出ればどうにかなる。やりたいこと、やろう!」って思いました。子どもたちは賛成してくれて、夫は「パートで働いていた頃と同じくらい収入があればいいんじゃない?」と、ゆるやかに賛成してくれました。

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働くことの向こうがわ

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