【ぼくらが連れて行きたい店vol.45】大牟田で130年続く和菓子屋さんが思う和菓子の力とこれからの未来。(菊水堂)

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
本コーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

福岡県大牟田市。この地域に大好きなお饅頭があります。その名も「カステラ饅頭」。駅周辺の和菓子屋さんではそれぞれのお店のカステラ饅頭を楽しむことができます。焼きたてのカステラ饅頭はサクサクのクッキーのような生地とあつあつのトロッとしたあんこ。時間が経つとこのあんこの水分がだんだん皮に移り、しっとりとしたお饅頭の出来上がり。

ほっこりする甘さで優しさ溢れるお饅頭。このカステラ饅頭の魅力をもっと多くの人に知ってほしい!今回はカステラ饅頭発祥のお店『菊水堂』5代目の森史朗さんにお話を伺いました。

ーまず簡単に森さんの経歴を教えてください。

実は小学校の先生になりたくて、教育学部の出身なんです。大学に入って1ヶ月で私の父である4代目が急死しまして。親戚一同「大学なんて行っている場合じゃない、すぐに戻って継ぎなさい」と言われたのですが、うちの母が「せっかく外に出たんだし、4年間は自分が頑張るから」と言ってくれて。大学を卒業して、全然お菓子のこと知らなかったので1年間だけ製菓学校に通い、それからお店に帰ってきましたね。

ーそうだったのですね。もともとお店のこと(お菓子)は好きだったのでしょうか?

そうですね、小さい頃から甘いものは好きでした。だけど、全然菓子屋になるつもりはなかったし、父も全然継げって言わなかった。いつかは継がなきゃいけないのかなとは思ってましたけど。初代と2代目が兄弟で、それから下に降りていったので私で5代目なんですけど、世代でいうと4代目になります。

ーそんな菊水堂さんの歴史や「カステラ饅頭」についてお聞かせください。

はい。明治18年に大牟田市で創業しました。場所はここじゃなかったんですが…今のお店のある場所は創業当時は海だったんじゃないかな(笑)。初代の菊太郎が、たまたま長崎に行った時にカステラに出会い、砂糖の甘さ、卵の風味の良さに魅了されたんです。じゃあそれを饅頭で再現できないかと作ったのがお店の名物「カステラ饅頭」だったんです。

「カステラ饅頭」の由来は卵、小麦粉、砂糖、はちみつ、同じ原料を使ってお饅頭を作ったことに由来します。カステラ饅頭の特徴は香りがいいことですね。それから、大牟田でお饅頭屋さんを開こうということになり、もともと旅館(水商売)の息子だったことから、『菊水堂』と名付けたと聞いています。

ー「カステラ饅頭」はそんな風に生まれたんですね!森さんが和菓子を作るときに大事にされていることはありますか?

常に一定のものを作るようにしてますね。「カステラ饅頭」は25度以上を超えると表面がまだらになってくるんですよ。夏場は暑いし安定的にできないので、作りたくなくて、本当にやめてた時期もあるんだけど、「何を考えてるんだ!」ってお客さんに怒られてしまいました(笑)。

特に「カステラ饅頭」は湿度が大事です。修行中の師匠に教わったのですが、「洋菓子は空気、和菓子は水だ」って。洋菓子はいかに空気を入れてふんわりさせるか。和菓子は天気や気温を気にしながら、水加減を調整していますね。

ーカステラ饅頭以外に菊水堂さんで人気の和菓子は何でしょうか?

「大蛇山饅頭」かな。このお饅頭のモチーフ『大蛇山』は大牟田の伝統的お祭りなんですよ。
それの目玉をかたどったお饅頭で、中身は小豆あんと白あんです。

ーふわふわもちもちの食感はまるで蒸しパン!大好きです!

大牟田には「草木饅頭」という名産品があって、あの小ささと食べやすさ、そして茶色の饅頭は全部「草木饅頭」って言われるくらい浸透してるんです。「カステラ饅頭」も美味しんだけど、やっぱり重たいイメージがあります。なので、この「大蛇山饅頭」は「草木饅頭」と区別がつくように、皮を厚くしたり生地に味噌を練り込んだりして工夫して作りました。

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大牟田に和菓子屋が多いのは?

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