本屋で街を活性化。ブックスキューブリック店主・大井さんが考える「本屋の在り方」。

ー2008年には2号店となる箱崎店をオープンされましたが、カフェを併設したのは時代の流れを感じたからでしょうか?

けやき通り店をオープンした2001年にはすでに出版不況は始まっていました。そんな中でも順調に売上を延ばしてはいたんですが、これから下がっていくことは免れられないだろうと…。だからカフェの併設を考えました。というのも、イベントを開催する空間がほしかったんです。イベント時以外はカフェとして利用していただくことで利益が出ますし、街の活性化にもつながりますよね。

ーイベント(カフェ)×本屋というアイデアはどのようにして思いついたんでしょうか?

イベントの企画・運営会社に勤務していた経験と、人が集まってくる場所をつくりたいという思い、その両方を組み合わせてこのカタチになりました。

ー今でこそ、本を売るだけではないさまざまなカタチの本屋が話題になっていますが、10年前から取り組まれていたんですね。

今、ネット通販の普及もあって本屋だけではなく小売全体が厳しい時代なんですよ。そんな中で、しっかり地域に根付いて発展していくには方法はひとつしかないと思っています。「お客さんといかに深く付き合えるか」ということ。1度訪れたお客さんが、絶対浮気をしないような努力が必要なんです。そのひとつとしてイベントが挙げられるのですが、イベントの後に必ず開催している“懇親会”もポイントです。毎回懇親会を行う書店なんてほかにないですからね(笑)。お客さんに精神的な価値を返せるような仕組みを、これからももっと盛り込んでいきたいと思っています。

ー電子書籍などが登場する中、イベントの実施は実店舗ならではの大きな意味合いになりますね。

電子書籍ももう頭打ち状態だと思うんですよ。画面の質感をいくら紙に近づけたとしてもやっぱり実際本を手にしている感覚とは、まったく別物です。しかも本の場合は、購入した時のシチュエーション、表紙のデザインや質感、匂い…そういったさまざまな要素が五感を刺激し、記憶として残りますよね。デジタルだとスーッと流れて、結果何も覚えていなかったりするんです。

ー実店舗はそういった体験や記憶を提供する場でもあるんですね。最後に、大井さんが考える本の魅力を教えてください。

古今東西人の知恵がつまっていますし、いくらでも参考になります。その果実を受け取るのか、横目で見ながら素通りするのか…どちらの人生を選ぶかなんですよね。本を読むことで視野が広がり、今まで受け入れられなかったことがふと「なんだ、簡単じゃん」って思えたりするんです。自分自身もそういう経験がありますし、ぜひみなさんもそういう出会いをしてほしいと思います。

【ブックスキューブリック けやき通り店】
http://bookskubrick.jp/keyaki
福岡県福岡市中央区赤坂2-1-12 ネオグランデ赤坂1F
TEL:092-711-1180
営業時間:11:00〜20:00
定休日:毎週月曜日(祝日の場合営業)

【ブックスキューブリック 箱崎店】
http://bookskubrick.jp/hakozaki
福岡県福岡市東区箱崎1-5-14 ベルニード箱崎1F
TEL:092-645-0630
営業時間:10:30〜20:00
定休日:毎週月曜日(祝日の場合営業)

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