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イベント ひと 告知

【福岡よかとこビジネスプランコンテスト開催企画】脱東京。水郷・柳川に見つけた仕事と暮らしのあり方/柳川市地域おこし協力隊・阿部さんへのインタビュー

2016.8.16  

柳川で仕事をつくっていく

皆さんは、「柳川」と聴いて、どんな街をイメージをされるだろう?水郷、川下り、城下町、有明海に向けて広がる広大な農地・・・「THE・歴史と伝統の街」といったところだろうか。
実際、柳川と言えば福岡県の中でも有名な観光地の1つであり、『御花』や『北原白秋生家』など、世間的に言われる「観光資源」が豊富な街だ。そして地方都市に多い現象、すなわち「高齢化率が全国平均よりも高い」「中心市街地の空洞化が進んでいる」が当たり前に存在する、そんな街でもある。

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今回は柳川の中心市街地、空き物件が軒を連ねる商店街の中にオープンしたコラボレーションスペース『KATARO base32』をコーディネートしている柳川市地域おこし協力隊・阿部さんに会いに行ってきた。連日の猛暑日にも関わらず、暑さに負けないジワジワとした阿部さんの熱いトーク。どうぞご覧ください。

―失礼ですが、50代で地域おこし協力隊の業務に就かれる方って異色だと思います。どのような経緯で今のお仕事に就かれたのですか?

「そうですね・・・前職の話からさせていただきますと、東京にある中高一貫校で29年間教鞭をとっていまして、国語教師をしていました。趣味がバンドで、ベースを弾いてまして、学校ではマーチングバンドの指導もしていました。全国大会にも何度か行ったんです。まぁ忙しいなりに充実している毎日だったと思います。そんな時に、東日本大震災と福島原発事故が起きました。その時、東京にいながら感じたのは大変な“閉塞感”でした。東京は、食料もエネルギーも地方へ依存して成立している街で、人の生き方も、“人と比べる”“人を引きずり落とす”という事が当たり前のような雰囲気だな・・・と。一方で、全国津々浦々の街を旅していて、漠然と“地方を元気にする仕事”というものに興味も覚え始めていまして。もう“脱東京”の時なのかなと。そこで、前職を辞めました。自分が70まで何がしか世の為になる仕事をしようと考えた場合、“今からだったら、あと20年働ける!”と思ったからです」

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「主に九州・四国にターゲットを絞って就職活動もしながら、以前からやりたいと思っていた『旧東海道踏破』にチャレンジしました。その旅の途中で見えてきた風景は、『疲弊した昔の城下町』でした。車で郊外のバイパスに行かなければ買い物が出来ない。かつての中心市街地には空き物件ばかりで人が残っていない・・・。それで、“やっぱり地方の街づくりの仕事をしたい!”と思い、柳川市の地域起こし協力隊の募集に応募したんです。当時51歳でした。面接は旅の途中だったのでスカイプで受けました。その時に、『こんな歳でもいいですか?』というお話をさせていただいたんですが、ご縁をいただきました、ありがたいことに。このご縁がなかったら、柳川には来ていなかったと思います」

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-なるほど東日本大震災が阿部さんにとっての大きな転機だったんですね。それにしても前職が教師だったとは、意外です。現在は、どんな業務に就いていらしゃるのですか?

「今は、地域おこし協力隊として大きく分けて2つの業務を担当しています。1つは、滞在型観光プログラムの造成です。これは、僕が教師だった事も影響があると思いますが、修学旅行など子どもたちの体験を受け入れられる母体・・・農漁家民泊受入れの協力母体を作りたいと思っています。いわゆる収穫などわかりやすい『農業体験』ではなくて、草取りなどの農家さんや漁家さんの普段の仕事を経験させたい。子どもにとってはものすごい思い出になり、地域にとっては子どもたちから元気、活気を貰える。農家・漁家にとってはやる気の掘り起こし、更に本業の見直しになる。三方良しだと思うんです。これを、柳川だけ、ではなくて、例えば交通アクセスを考えると、筑後・八女だって長崎だっていいんです、そういうところと連携して受け入れられる土壌を作っていきたいと思っています」

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「もう1つは、DIYリノベを活用した街づくりです。今日、こちらにいらっしゃる時にご覧になったと思うんですが、この通りも空き物件が多かったでしょう。昭和の隆盛だった頃で時代が止まってしまっているんです。商店街なんだから、商売しなければ『街の資産』を食いつぶすことになってしまう。そうしたもう使われていない空き物件にDIY等で手を入れて、風を吹き込みたいんです。この『KATARO base32』(以下、KATARO)はその第1号です。昨年、大学生やボランティアでDIYをしている方々に協力をしてもらいながらリノベーションをしました。コミュニティを結ぶためのレンタルスペースとして打ち出しています。特に飲食が集まりやすいので、シェアカフェも導入しました。つい先月、シェアカフェの第1期メンバーが埋まったところです。他にも・・・今日はついさっきまでワークショップがあったんですが、女子会・ママ会、ライブ・・・色々な形で使ってもらっています。あとは・・・シェアカフェに集まったメンバーについては上限2年と設定しているんですが、1人1人よりも集約することで発信力UPにつながるし、ここにいる間に『作る』能力だけでなく、『売る』能力や『発信する』能力を身につけて貰いたいと思っています」

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―シェアカフェメンバーになった方々、あるいはKATAROに関わっていらっしゃる方々が第2、第3のスペースをこの商店街の中に構えていったら、この通りの雰囲気も変わりますね。

「えぇ、そうですね。とは言え、やはり物件あっての話なので、そこをつなげる役割を果たしていけたらと思っています。人と人が出会うことで科学変化が起きるというのが僕の考えで、『変わる勇気』を持つ街は変われると思っています。その為にも、もっとこの街の人たちと話せる関係性を築いていかないといけません。嬉しい事に、KATAROに関わってくれている加賀田君という青年がいるんですが、彼が、今度、江戸時代の蔵に洋菓子店を出すことになりました。その蔵のリノベーションをこの夏から秋に掛けて行います。11月には、お店をOPENさせたいと思っています。店名ももう決まっていて、『Le Rond-Point(ル・ロンポワン)』と言うんですよ。僕自身はフロントマンタイプでは無いので、こうした流れを生み出していく『黒子』的な役割を担いたい。この黒子の仕事を、きちんとビジネスベースにしなければと思っています」

ビジネスプランコンテストに参加して

―阿部さんは昨年度のビジネスコンテスト(以下、ビジコン)に出場し、最終プレゼンまで進まれたそうですが、今手掛けておられる2つの事業についてプレゼンされたのですか?プレゼンに臨んだ事で、何か変わりましたか?

「そうですね。まさに今手掛けている2つの事業について、プレゼンしました。よそ者ゆえに気づいた事を事業として発表しました。ビジコンにチャレンジして何が良かったかというと、漠然としていた夢の輪郭がクリアになって、ピントがあってきたという事でしょうか。人間は漠然と考えているとズルズルとしてしまうでしょう。それが、締切がある事によって何が何でもやらなければ、となった。特に事業計画書や資金計画書を書き起こせた事はとても良かったと思っています。それと、ビジコンにチャレンジした他の方々のアイデアから刺激をいただけた事、同じ目標に向かって共に励む同志、仲間が出来た事でしょうか。彼らからもらう刺激は、今後の起業に向けても良いモチベーションになると思います」

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-最後に、阿部さんにとっての「柳川という地方の街での暮らし方」を教えていただけますか?

「今住んでいる部屋から、外を眺めるんです。『あぁ、鳥の声が聞こえる』とか、『花が咲いた』ってなるんですよ。東京でそんな時間を持つ事は無かったなぁ。人と比べない、自分と対話しながら前へ進める良さがあると思います。あくせくと無理し過ぎずにね、等身大の生き方が出来る。けれど地元ではないから、違うアンテナを持ってこの街を見つめる事が出来る。僕たちには、東京にこだわらない暮らしのあり方があると思います」

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「よそ者の視点を持って、街の課題を抽出し、その課題を一緒に考える、解決への道筋をつけて行くんです。」
昨年のビジコン*へチャレンジした事で、その課題や抽出方法が更に明確になった阿部さん。阿部さんのお話をうかがって、また今年はどんな方々がビジコンへチャレンジするのか興味が湧いた。そして今後、阿部さんが、柳川にどんな流れを生み出していくのか・・・再訪が楽しみだ。

*【福岡よかとこビジネスプランコンテスト】

福岡県が主催となって、県内各地の地域資源を活かした新しいビジネスを創出するためのビジネスプランコンテストです。このコンテストは、地域資源と福岡県内において創業を希望する方のアイデアやノウハウを掛け合わせ、地域経済の活性化を図ることを目的に実施するものです。

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応募された方は、市町村、商工会議所・商工会、金融機関等地域の支援機関のサポートを受けながらビジネスプランをブラッシュアップし、創業の準備をすることができます。
また、県内27市町村から独自にテーマを定めた賞が授与されます 。
http://fukuoka-yokatoko.biz

上記の『福岡よかとこビジネスプランコンテスト』に先駆けた東京イベントが9月3日(土)に開催され、阿部さんも登壇されます!

【東京イベント】

《概要》
独自の「地域発ビジネス」を展開する起業家2人が、起業の経緯や福岡県の魅力・可能性を語ります。
さらに福岡県の地域資源から具体的なビジネスを発想するアイデアソンを行います。

▽詳しいタイムスケジュールや内容、お申込みはこちらから
http://fukuoka-yokatoko.biz/tokyo-event/

日時:28年9月3日(土)13:00〜17:20
場所:東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル 北館
定員:50名(定員に達し次第締切り)
申込み期限:8月31日(水)

福岡での仕事づくりに関心のある方は是非ご参加ください。


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高木 亜希子
千葉県出身。
うきは市浮羽町で自然卵の養鶏を営む【ゆむたファーム】の嫁。また【あきこ商店】として筑後地方の食に関わるヒト・モノ・コトを伝える活動をしている。