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【ぼくらが連れて行きたい店vol.04】「新鮮な魚を、良心的な価格で」 気さくに話しかけてくれる名物大将が迎える海鮮居酒屋 (魚好亭)

2016.8.15  

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
このコーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。


話しかけてきてくれる名物大将

博多駅の博多口から5分ほど歩き、飲食店の連なる小道に入ったところに海鮮居酒屋『魚好亭』はあります。提供している海鮮料理は新鮮で美味しく、価格も良心的です。例えば、1番人気の「イカの活き造り」は1200円から。天ぷらも70円から100円まで。さらに職人さんの握ったお寿司も一貫90円から150円までです。お店は14年目を迎え、仕事帰りの会社員の方でいつも埋まっています。活気ある店内でお客さんに明るく話しかけ、その日のお勧めを説明しているのは今年70歳になる大将の北川善治さん。気さくな人柄でお店の名物大将となっている善治さんに、長く親しまれる秘訣についてお話いただきました。

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—日頃からよく『魚好亭』さんにはイカを食べに伺っていますが、こんなに美味しいのに手頃な価格で会計時には毎回驚きます。

善治さん:「自分で魚を仕入れに行っとるから安いんよ。業者さんにお願いすると、ちょっとずつ費用が上乗せされる。商売やからね、それはしょうがねぇ。旨いものを安く出さないと。儲けようと高値で出したら、お客さんも『やられた』って思ってもう来なくなる」

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—魚はどこの港から仕入れていますか?

善治さん:「福岡で1番大きい港の鐘崎港を中心に、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、山口。まあ西日本はどこでも行っとる。もうトラックで地球30周分は走ってるようなものやからね」

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—30周!それはすごいというか大変ですね!今のお店を出されるまでは何をされていたのですか?

善治さん:「ここの店舗は2店舗目で、その前は1店舗目の小倉店に立っとったけど、この商売を始める前はディスコやダンスホールの運営をしよった。一か八かの商売やし、流行りものはいつまでも続かんやろうなとはずっと思ってて。40歳の頃に、食いもん屋の方がええと気がついた。俺は幼い頃、電気水道ガスも何もないような家庭で育ってきて、食べ物のありがたみをひしひしと感じとったんよ。やっぱり人間誰でも、夕方になったら腹が減る。旨いものを安く食おうて思うやろ。
それに昔から趣味でヨットをやっててな。ヨット仲間とよく釣りにも出かけて、いろんな港に行ってて漁師とのつながりもあった。そういったところからノウハウも学んで海鮮の店をやれたんよ」

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—小倉店から考えると30年もされていますが、今後どのようなお店にしたいというイメージはありますか?

善治さん:「今まで通り旨いものを安く出し続けることよ。もうそれしかない。とは言えもう俺も今年で70歳。よくやってあと4、5年が限度よ。最近はだいぶ体力も落ちた。飲み過ぎて転んで頭も打ってな。で思いついたのが、今も頭に巻いてるこの捩り鉢巻き。ヘルメットかぶって仕事できんからな。これだけ厚さがあったら衝撃吸収になる、俺にとってはバンパー代わりよ(笑)。
定年が来て退職金もらえるわけでもねえけど、俺にはこっちの商売の方がええ。あと4、5年体力的にはきついけどこれからが頑張りどころよ」

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善治さんのお話を聞き終えたところで、息子さんの善雄さんが仕入れから戻って来られました。今年の5月に以前勤めていた職場を辞め、お店を手伝うようになったそうです。その経緯について少し聞いてみました。

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善雄さん:「最近まで整骨院で働いていたんです。自分で整骨院を立ち上げようかなって年齢でもあったんですけど、起業しちゃうとこのお店も手伝えなくなるなって。2年ほど将来についてゆっくり考えながら働いてたんですが、患者さんも自分の親と同世代の方が多いんですよ。そんな世代の話を聞いてたら、自分の人生と親の人生をリンクさせて過ごすのもいいなって思い、退職して父の店を継いでいく決心をしました。ゆくゆくは父には社長から顧問に上がってもらって、楽してもらいたいです。ただ父に会いにお店に来てるお客さんもいるし、父自身も接客するのは好きだから、お店にはずっと立っててもらいたいですね」

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—そこで、体力的な負担の大きい仕入れ業務を善雄さんが手伝われているのですね。

善雄さん:「はい、仕入れだけでも僕がやれば父もだいぶ楽になるので。今朝も8時からトラックを運転して長崎の平戸漁港に行って、これからまた鐘崎漁港に行くんです。かなりハードな毎日ですが、こういうことを今まで父がしてたって考えたら改めて尊敬しますね」

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今日はお酒が入っていないからいつもの顔じゃなかったという大将の善治さん(善雄さん談)。是非夜に会いに行ってみてください。きっと面白い話と食事&お酒が楽しめますよ。

【魚好亭】
《博多店》
福岡県福岡市博多区博多駅前2-17-15
TEL:092-474-0326
営業時間:11:30〜14:00 ※ランチ
     17:00〜24:00(L.O.23:30)
定休日:年始

《小倉店》
福岡県北九州市小倉北区紺屋町5-24 北川ビル1F
TEL:093-531-1303
営業時間:17:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日:不定休

《味処・いきつき》
福岡県福岡市博多区博多駅前2-16-4
TEL:092-473-0590
営業時間:17:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日:日曜祝日

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栗山遼
熊本生まれ福岡育ち。
2016年4月に「働き方を変えた人たち」を特集したリトルプレス『HOWLAND』を創刊する。
ライターとしての活動の他に、イベントのディレクションや企業のブランディングにも携わっている。