IT・クリエイティブ界隈の盛り上がりが注目を集める福岡市。福岡市へ進出する企業や福岡発で事業拡大していく企業も多く誕生し、さまざまなメディアでも取り上げられる一方で、人材不足は全国共通の課題でもあります。そこで年度内の特集シリーズとして、福岡市内のIT・クリエイティブ企業の求人情報を厳選してお届けします。
『ONE PIECE WORLD SEEKER』や『ドラゴンボールフュージョンズ』(発売元:株式会社バンダイナムコエンターテインメント)など、細部まで世界観を大事にしたゲーム作りが評価を集める、株式会社ガンバリオン。コンシューマー・スマートフォン共に開発ラインがあり、自社のスマートフォンゲームアプリ『修羅道(Shurado)』も100万ダウンロードを突破するなど、広い分野で話題作を世に送り出しているゲーム会社です。
現在は新プロジェクトに備え、プログラマー、プランナー、アーティスト(CGデザイナー)の3職種で人材を募集しているとのこと。広報担当の吉中淳美さんと、アーティストの川路奈々世さんにお話を伺いました。
「永く愛されるゲーム」、その理由。
――家庭用ゲームソフトからスマートフォンアプリまで、多くの人気作品を生み出されていますよね。その根底にある会社としての理念はどんなものでしょう?
吉中さん:はい。理念としては代表の思いが詰まった「永く愛されるゲームをつくる会社へ」という言葉があります。開発後何年経ってもまた遊びたくなるような、思い出に残るゲームを作りたい。これは設立から大事にしている思いです。
――永く愛されるゲームをつくる。そのために、開発現場ではどういったことを意識されていますか?
川路さん:そうですね……。細かいところまで原作や現実に即しながら作っていくことでしょうか。たとえば漫画が原作なら、すでに原作ファンの方もたくさんいらっしゃいます。だからゲームとして新しいフィールドを作る場合にも、原作の世界観をすごく大事にしながら、オリジナル要素を加えて新しいものを作っていくようにしています。
作っている過程でも、物とキャラクターの大きさなどに矛盾が出てくることがあるんです。「このキャラクター、この家には入れないよね」とか(笑)。そういうスケールの違いも、プレイヤーの違和感がなくなるように細部まで調整していますね。
――なるほど! 細部までこだわるその姿勢が、質の高いゲームを生み出しているんですね。
川路さん:原作も、現実のものをよく調べた上で設計しています。「なんとなく」で作らないことが、「永く愛されるゲーム」につながるのかもしれません。
新プロジェクトでともに挑戦を
――今回の人材募集の背景というのは?
吉中さん:いま当社では、複数の新プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトの内容はまだお話しすることはできませんが、現スタッフと一緒に切磋琢磨して、より面白いゲームを作るために新たなメンバーが必要です。
――新プロジェクト、気になります! 職種としてはプログラマー、プランナー、アーティストの3職種で募集されているとのことですが。アーティストというのはめずらしいですね。
吉中さん:「アーティスト」はCGデザイナーのことですね。世界標準では「アーティスト」が一般的ということで、社内の肩書が変わりました。
川路さん:デザイナー、アーティストの違いは、「デザイン=機能性」に対し、「アーティスト=見た目を彩る」という点です。業務内容からも役職名はアーティストとする方が適切であった為、このような変更が行われました。当社の考えるアーティストとはデザイン(機能)に対して彩を加える仕事ということです。
――役職名ひとつとっても、細部まで丁寧に考える姿勢を感じます。ここで、募集されている職種の仕事内容について伺っていきたいのですが。
吉中さん:はい。まずプランナーは、ゲームの設計図を描く仕事です。仕様書を作成して、ゲームバランスの調整や品質管理を行います。またプレイヤーの「楽しい」を追求し、遊び心あるしかけを考えるのもプランナーの仕事。現場からは、企画から完成まで一貫して携われるのが魅力だと聞いています。
プログラマーは、アーティストやサウンドエンジニアが制作したあらゆる素材を、プランナーの作った仕様書をもとに組み込んでいく仕事です。現場からは、自分がゲームの全体像を形作っていくことが実感できるパートだと聞いていますね。
――なるほど、それぞれのやりがいがありそうです。ちなみにプランナー以外の方が「企画」に携わることもできるんでしょうか?
吉中さん:ええ。年に1度、社内でゲーム企画の募集をしています。これは職種問わず、だれでも応募できますよ。
川路さん:『修羅道』はまさに、そこでアーティストの方の企画が通り、その方がディレクターになってリリースにいたったんです。
――そうなんですね! どの職種でも自分の企画を形にするチャンスがある。続いて、アーティストのお仕事についても伺えますか?
吉中さん:アーティストは、キャラクターや背景などあらゆる「ビジュアル」制作を行う仕事です。当社では2D、キャラクター、エンバイロメント(背景)、アニメーター(モーション)、VFX(エフェクト)、UI/UX、テクニカル(TA)と担当が細かくわかれていて。
――実際にアーティストとして働かれている川路さんは、どんなところにやりがいを感じていますか?
川路さん:そうですね。特に新しいゲームが出たときは、SNSで好意的な声を見つけたりするとすごく嬉しいです。新人のころ、原作にあった地形作りを任せてもらう機会があったんですが、それが大変で……。でも発売されたときにSNSで「ここ、原作のあの場所!」と言ってくださっている方がいて。“このステージ私が作った…!”と密かに喜びを噛みしめました(笑)。苦心した分、それが届いたときは達成感がありますね。
「人として」の成長を視野に
――新人のときに地形作りを任せてもらったというお話がありましたが、社風としてもチャレンジしやすい環境がありますか?
川路さん:そうですね。上役が部下の適性をよく見て、成長の機会をくれると感じています。私は新卒で2018年に入社したんですが、最初は長い研修があり、初めてのソフトも上司が熱心に教えてくれました。そこで土台を作ってからさっきの地形を任せてもらって。今はその延長線上で、徐々に大きい仕事をやらせてもらうようになっています。
――心強い。IT企業というと「走りながら学ぶ!」イメージが強かったのですが、研修やサポートがしっかりしているんですね。
吉中さん:そうですね。新人担当として先輩がそれぞれひとりずつつくので、困ったときにはすぐに相談できる環境です。また新卒の方は、社会人マナーを身につける社外研修にも行ってもらっていて。その背景には、技術だけでなくいろいろな経験をして「人として」成長してほしい、という社長の思いがありますね。