【求人】特別連載後編「宿泊」と「体験」を介して、 本質的な地域文化の循環をつくる仕事(UNAラボラトリーズ・うなぎの寝床)

「地域文化」を探求し、そこにある土地と人、人と人との関わり合い、それらが生み出す「もの」の魅力を伝え、連続的な経済循環を生み出す仕組みづくりを実践し続けている会社があります。福岡県八女市に拠点をもつ、株式会社うなぎの寝床 。そして株式会社うなぎの寝床と株式会社リ・パブリックが共同出資して2019年に設立された、 株式会社UNAラボラトリーズです。

福岡市から南に約50キロ、福岡県南部に位置する八女福島地区は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている下町の風情が漂うエリアです。八女は、伝統工芸産業の集積地として九州最大の規模とされており、まちには多くの職人さんが暮らしています。

そのまち並みの一角。旧寺崎邸・旧丸林本家を改修した古民家が、「うなぎの寝床」です。「もの」と「ひと」を介して地域の流通を担い、交流を生み、風景をつなぐ役割として、アンテナショップを運営しています。そして、うなぎの寝床から徒歩7分。ほど近い場所に、旧塚本邸を改修した「Craft Inn 手 [té]」があります。こちらは株式会社UNAラボラトリーズが運営する、九州の手仕事を体験する宿です。引き戸を開けると1階は本屋になっており、木の温もりを感じる優しい空間が広がります。その奥にある部屋と2階が宿泊施設となっています。

(写真)Koichiro Fujimoto

コロナ禍という困難な社会変化の中にあっても、さらなる進化を連続しているうなぎの寝床。今年10周年を迎えるうなぎの寝床が今何を感じていてどんな在り方で行動を生み出しているのか?そして新しく設立したUNAラボラトリーズとはどんな会社なのか?宿についてはどんな経緯で創られて行ったのか?お話を聞いてみたいと思いました。

前回は前編として、うなぎの寝床の白水さんに地域文化商社とはいったい何か?どんな活動を行ない、何を生み出しているのか?これまでとこれからの展開、スタッフの募集についてお伺いしました。

今回後編では、白水さんとUNAラボラトリーズの田村あやさんに同社の設立の経緯、宿とこれからのこと、また移住者として宿の現場で働くスタッフの鹿島三枝さんには、関東から移住して八女で暮らし、働くことや実際の仕事内容についてお話を伺いました。また、再度白水さんにもご登場いただき、2社の連携のことと、これからのビジョンを伺いました。

 

九州の手仕事を体感する宿で、文化と風景をつなぐ

まずは株式会社UNAラボラトリーズ 共同代表の田村あやさんと白水さんに、会社設立の経緯と事業内容についてお伺いしました。

株式会社UNAラボラトリーズ  田村あやさん


どのような経緯で、UNAラボラトリーズ を設立することになったのでしょうか?

 白水:うなぎの寝床では、これまで「もの」を通して文化や背景を伝えてきましたが、地域資源である「こと」を掘り下げ、文化や人に触れて体感・交流するツーリズムによって得る体感価値の重要性を考えるようになりました。そこで、うなぎの寝床と株式会社リ・パブリックの合弁会社として2019年7月に、「UNA ラボラトリーズ」を設立。九州の文化を深く探究し、訪れる人と共に更なる魅力を生み出すトラベル・デザイン・ファームとして事業を展開しています。

同社では、九州の手仕事を体感する宿「Craft Inn 手 [té]」を運営するほか、クラフト体験ツアーの開催、九州の魅力を生み出すトラベルガイドTRAVEL UNA(トラベルユーナ)を出版するなどの事業を展開しています。

九州の魅力を生み出すトラベルガイドTRAVEL UNA(トラベルユーナ)

 

なぜ、宿の運営をはじめたのですか?

田村:ツーリズムを行う上でハブとなる場所の必要性を感じたこと。宿に滞在することで、手しごとの技が生み出す空間の魅力を、肌で体感することができると思ったからです。歴史的な町並みが残る八女福島の伝統的建築物を改修した、旧塚本邸と旧丸林本家蔵の2つの建物を改修した「Craft Inn 手 [té]」は、八女をはじめとした九州のクラフト文化を全身で感じていただける場所になっています。久留米絣、仏壇、提灯、和紙、木工、竹細工、陶器から、日本酒や八女茶まで。日本全国を見渡しても、ここまで多様なクラフトが一堂に会している土地はそうはないと思います。

Craft Inn [té]の特徴を教えてください。

田村:Craft Inn 手 [té]は、「九州の手仕事を体感する宿」というコンセプトで運営をしています。竹、藍、和紙をテーマにした3つの部屋があり、部屋ごとのテーマに合わせた家具や調度品に彩られた空間を設計しています。

例えば、竹の部屋では職人さんに特注で編んでもらったランプシェードやテーブル、やわらかな曲線が印象的な椅子などをご用意。八女は竹林が多く、竹細工職人さんが何人かいらっしゃいます。そんな八女の文化を全身で感じていただけたらと考えました。また、提灯づくりも盛んな地域であることから、各部屋には提灯をモチーフとした照明なども使用しています。滞在中に、工芸品に触れ、体感してもらうことができる空間づくりを意識しています。

(写真)Koichiro Fujimoto

もうひとつの特徴として、宿泊期間中に手仕事の現場を訪れ見学したり、体験したりできる「クラフト体験ツアー」を提供しています。宿泊者の半数近くがツアーに参加して下さっています。なので、体験一体型の宿泊施設をイメージしていただけると良いかと思います。

(写真)Koichiro Fujimoto 

宿泊するだけでない、手仕事を体感する宿であることがわかりました。

田村:「うなぎの寝床」が地域商社として、今年で10年を迎えます。これまで、九州、筑後のアンテナショップとして地域文化を伝えてきました。「もの」を売るだけではなく、その商品の背景にある歴史や文化を伝える役割を担ってきましたが、また違った角度から地域文化を伝える活動がしたいという思いから、Craft Inn 手 [té]を始めました。ここで、ご宿泊いただくことで、細切れの体験ではなく、衣・食・住の体験を空間ごと感じてもらえると嬉しいです。

(上記の写真)Koichiro Fujimoto 

ものを購入して終わりではなく、肌で感じる体感やぬくもりなどが大切ということですね?

 田村:はい。特に、建物は手仕事の集大成だと思っています。八女市は、国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されていて、歴史的なまち並みが広がり、江戸時代から昭和初期の町屋が多く残っています。ここも、古民家を改修して使用しているのですが、これらは多くの人々が守ってきた景観です。その空間で味わう、食事や八女茶には大きな意味があると思います。

(写真)Koichiro Fujimoto

以前は東京の広告代理店で働いていたと伺いました。今の仕事を選んだきっかけを教えてください。

田村:私は神奈川県の出身で、東京の広告代理店に勤務していましたが、8年ほど前に福岡県に移住してきました。福岡市内は、とても住みやすく良い環境である一方で、文化的な要素が物足りないと感じていました。そんな中で、東京で思い描いていた文化と、九州で感じられる文化には大きな違いがあるのではないか? と考えるようになりました。

与えられた文化を楽しむのではなく、相互関係の中にある文化を探り、楽しむ環境が九州にはあるのではないか…? と感じたのです。広告の仕事はとても楽しかったのですが、これまでとは違う切り口で文化に触れ、人生の半ばを過ごすことが出来たらと思い、今の仕事をはじめることになりました。

文化と言っても一括りでは表現できないものがありますね。仕事の苦労はありますか?

田村:古民家の修復については、過去を復元することが良いのか、現代の生活スタイルに合わせて再構築すべきなのかは、意見のすり合わせが必要でした。また、古民家は蓋を開けてみないとわからないと言われますが、当初の予定より大規模な修復を要しました。手を加えている最中にも、目に見えて劣化が進んでいくことも苦労した点でした。
しかし、そうしたこともこれまでは見る側だけだったのでわからなかったわけですがが、実際に運営する側となりこうした苦労と工夫の先に文化が継承されていくという実感も持てるようになりました。そこは実際にやってみないとわからないことだったかと思います。

―(ここから白水さんと田村あやさんに2社だからこそできることや今後のビジョンをお聞きしました。 グループ企業として、関係性を持つことで得るメリットはありますか?

 白水:「うなぎの寝床」は、プロダクトアウトの考え方が大きかったことに気づきました。田村さんは、もっと概念的なことを考えており、私と見ている層が違うことを知ったからです。そういった気づきが、一緒に取り組むことの意味であり、面白い点です。今は、うなぎの寝床から宿泊・クラフト体験につなげる方法を模索しており、これからの課題であると感じています。

田村:「もの」に興味を持って宿泊されるお客さまもいますが、さまざまな文脈でご来店くださいます。「うなぎの寝床」ではプロダクト視点を重視した商品を取り扱っていますが、Craft Inn 手[té]では、人との繋がりや関係性(職人の魅力)を重視した商品を選択する傾向があると思います。なので、取り扱う商品が、微妙に違ってくるところも面白いところです。お互いの考え方を知ることで、より地域文化の深掘りができるのではないでしょうか。

 2社のこれからのビジョンについて教えてください。

白水:「購買」だけでなく、手しごとの現場を訪れ、つくり手と対話し、一緒に体験することで、地域文化を自分達の文化として認識してくれるといいなと思います。また、海外の方にも、日本の独特の文化を伝えるカルチャーツーリズムとして提供していきたいです。コンセプトモデルが確立できれば、他の地方へ海外へと展開してくつもりです。

田村:これから起こる多くの経験を通して、迎える私たち側も変化を続けていかなければなりません。また、極端な表現になりますが、お客さまとは地域文化を一緒に支え合い、喜びを分かち合う仲間のような関係になれたら嬉しく思います。

現在は八女を中心とした活動をしていますが、フィールドを広げていきたいと考えています。八女には素晴らしいものがたくさんありますが、他の地域にもそれぞれの魅力がある。その視点を、常に忘れずに持っていたいと思います。

 

 

小さな経験の積み重ねと楽しむ気持ちが移住生活を豊かにする

現場スタッフ 鹿島三枝さん

続いて、Craft Inn 手 [té]で働くスタッフ 鹿島三枝さんに現場での仕事内容ややりがいなどについてお話を伺いました。

 移住した当時の状況を教えてください。

鹿島:私は、2010年3月に千葉から移住してきました。移住当時は、楽しさと田舎暮らしの大変さの間で必死でした。それでも、楽しまないと損!という気持ちで、前向きにものごとを考えるようにしました。すると、面倒に思えることも少し見方を変えるだけで、まったく違う側面が見えきました。都会にいるときは、自分のことだけを考えていれば良かった。でも、田舎ではご近所との付き合いが必要で、「いいお節介」を焼いてくれるんです。はじめは、土地にある当たり前のルールが分からずに、怒鳴られることもありました。理不尽なこともありましたが、「分からないので教えてください」と素直に伝えることで、教えてくれますし、少しずつ可愛がってくれるようになりました。地域で生活するには、そうした小さな経験の積み重ねが大切だと感じます。

 この仕事をはじめたきっかけは?

鹿島:以前に働いていたアルバイト先の店主から、紹介を受けたのがきっかけです。「うなぎの寝床」のことは以前から知っていたので、宿の運営や手仕事に関わる業務に携わることに、とても興味が湧きました。

 

 移住して豊かさを感じることはありますか?

鹿島:自然がとても豊かで、車で20-30分ほど走れば蛍を見ることができます。また、福岡第3の都市・久留米市にも程近く、日常生活に困ることがありません。田舎の心地よさと、都会の便利さの両方を得ることが出来ています。職人工房が点在しているだけでなく、工業や農業も盛んで、全体的なバランスが整っています。それから、食べ物が美味しいことも利点です。フルーツもたくさん手に入りますし、いちごはご近所さんからいただけるので買わなくなりました。東京では考えられませんよね。子育ても、車の移動がメインで窮屈さがなくとてもラクですね。

宿の近くにある古い建築を改修したスペースでワークショップに参加するなど、移住ライフを充実させる鹿島さん

実際に働いてみて、いかがでしたか?

鹿島:細かい性格なので、宿の清掃や管理は性に合っていると思います。一緒に働くスタッフとも、コミュニケーションが盛んで、フォローし合いながら日々成長しています。社内の風通しはよく、新人スタッフでも誰でも、お互いに言い合える環境なのも嬉しいところです。スタッフの年齢も、20代から50代まで幅広く活躍しています。

月一回行うミーティングでは、さらに良いものへと昇華させるための意見交換を続けています。ですから、いつまでも絶対的な完成形はなく、常に“にょろ にょろ”と うなぎのように揺れ動きながら変化を続けています。

 

これまで経験した接客業と、おもてなしの仕方や接客方法で違うことはありますか?

 鹿島:当館を選んでお越しくださったお客さまには、心から地域文化や工芸品などに興味がある人も沢山いらっしゃいます。ですから、私たちもその気持ちにお応えできる接客が大切だと考えます。まずは、要となる工芸品を丁寧に紹介し、お客様に伝えることから始めていますが、知れば知るほど奥が深く、勉強し続けなければいけないことに気付かされます。

ですから、私自身もクラフト体験ツアーに参加してみたり、現場を訪れ職人さんに話を伺いながら、日々勉強をし続けています。知識を得るたびに、身近なものを知らなかったことを恥じると同時に、誰かに伝えたい!という衝動に駆られています。

(写真)Koichiro Fujimoto

あとがき


今回、2週にわたって、特別連載としてうなぎの寝床の今をお伝えしてきた。白水さんが、コロナの直前の頃に次の展開をいろいろと考えているんですということを、少し会話した記憶がある。今回は、この話をした時の構想が白水さんの中である程度形になった結果と結晶を見せて頂いたような気持ちである。ここまで形にすることのすごさを改めて感じている。

地域文化をいかに、主体性とプレゼンスをもって人や社会に伝えていくか。モノを集めて販売するといことから始まったうなぎの寝床は、にょろりにょろりと変化に変化を続け、遂に、旅行・宿・出版までたどり着いていた。白水さんやスタッフさん達のあくなき探求心と情熱がここまでの事業を支え実現してきたのだろうと思うし、ここに来るまでの苦労は想像を絶する道のりでもあったのだろうと思う。

今回、パートナーの田村あやさんのお話もお聞きする中で、あらためてモノから広がるストーリー、そしてさらには体験と宿と時間軸で文化を伝えていくことのすばらしさと同時に難しさも感じることができた。誰にでもできることではない。これほど優秀でやわらかい雰囲気を持った田村あやさんはじめ、移住してスタッフとなった鹿島さんのような、ヨソモノ視点を持ちながらも、地域を尊敬できる方が参加されることで、さらに事業の深みを増していく道筋が見えるように思う。地域文化を担うということは、これまでは、つくりてと問屋という関係に主に集約されてきたが、うなぎの寝床のように、それを分解して再編集したり、その価値をどうやったら伝えていけるかを探索するチームがこれからは必要なのだと思う。これからもうなぎの寝床がつくる地域文化商社の未来を見てみたい。

(聞き手:須賀大介 文:小高朋子 写真:小金丸和晃)

企業名 株式会社UNAラボラトリーズ
募集期間 決まり次第終了
募集職種 1. 朝食パート
2. 客室清掃パート
3. 客室清掃パート
4. マネージャー補佐
採用人数 若干名
雇用形態 パート・アルバイト
勤務地 Craft Inn 手 [té] (八女市本町120番地1, 267番地)
勤務時間 1. 朝食パート 7:00頃 – 9:00頃(朝食時間によって30分程度変動)
2. 客室清掃パート 9:00頃 – 13:00頃(ご宿泊状況によって30分程度変動)
3. フロントパート 14:00頃 – 19:00頃(ご宿泊状況によって30分程度変動)
4. マネージャー補佐 7:00頃-19:00の間で変動シフト制(稼働状況をあわせてご相談)
給与 時給900円~(試用期間3ヶ月)(試用期間時給900円)
福利厚生 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金
通勤手当あり(車・バイク利用は、自家用車管理規定・支給要件あり)
3. フロントパートのみ一部制服貸与
休日休暇 シフト制

◇ 夏季休暇 ◇ 年末年始休暇

仕事内容 1. 朝食パート 朝食業務全般(朝食の盛り付け、客室へのサーブ、後片付け)
2. 客室清掃パート 客室清掃業務全般(客室清掃、次回のお部屋準備、洗い物等)
3. フロントパート フロント業務全般(チェックインに伴うご案内業務)
4. マネージャー補佐 ①②③の業務全般および施設運営にかかるマネージャーの補佐業務
応募資格 エクセル・ワード・メールを使える方。
性別、年齢問いません。初心者歓迎 ・1日3H〜、週1〜、朝食のみ、土日のみ出勤なども可能
※スタッフは20代から50代まで幅広く在籍しています。
※宿泊状況によるシフトのため不定期な出勤になります。ご希望の労働条件等ありましたらご相談ください。
選考プロセス STEP-1.当サイトへのお申込み

STEP-2.書類選考

STEP-3.面接

備考

 

 

企業名 株式会社うなぎの寝床
募集期間 決まり次第終了
募集職種 1. ららぽーと福岡店 店舗担当者(社員)
2.アクロス福岡の新匠ギャラリー 店舗責任者(社員)
3.アクロス福岡の新匠ギャラリー 店舗担当者(社員)
4. うなぎの寝床八女店舗:旧丸林本家、旧寺崎邸、うなぎBOOKSスタッフ(パートタイム)
5. ららぽーと福岡店 スタッフ(パートタイム)
6.アクロス福岡の新匠ギャラリー スタッフ(パートタイム)→2022年秋 勤務開始予定
採用人数 若干名
雇用形態 正社員、パート・アルバイト
勤務地 上記店舗により決定
勤務時間 上記勤務内容により相談
給与 経験やスキルを考慮して相談
福利厚生 雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金

交通費支給あり

服装自由

休日休暇 シフト制

◇ 夏季休暇 ◇ 年末年始休暇

仕事内容 ・地域文化を伝える商品販売と管理
・新規開設予定店舗での販売
・情報発信業務など
応募資格 エクセル・ワード・メールを使える方
選考プロセス STEP-1.当サイトへのお申込み

STEP-2.書類選考

STEP-3.面接

備考 さらに詳細は、うなぎの寝床のホームぺージ求人情報もご覧ください。

 

 

 

 

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