糸島という地で挑戦を始めて31年目のサンセットグループ。今回はそんなサンセットグループのベーカリーレストラン「カレント」の連載第4章 最終回です。
この連載では、同社で働く4名のメンバーとグループ代表 林さんインタビューをお届けしています。
第四章となる今回は、サンセットグループの代表でいらっしゃる林さんにインタビューさせていただきました。31年前「カフェ」という名前も世にない頃から糸島にカフェをつくり、今日のサンセットグループの発展してきた物語をサンセットグループ代表の林さんに伺いました。
サンセットグループ代表 林 憲治さん
―林さんが1990年に「BEACH CAFÉ SUNSET」(サンセット)を立ち上げるまでの話を聞かせてください。ご出身は福岡でしたね。
両親の地元が糸島で、僕も3歳まで福岡市西区の今宿に住んでいました。それから父の転勤で関東や関西、東北へ。小学校には電車で通ってたんですけどね、朝から疲れた顔の大人ばかり。まだ子どもだった僕は朝一番に「今日は何があるかな」とワクワクしていたのに、どんよりした大人たちに囲まれて、将来に希望を感じることができなかった。高校を中退して飲食業などをフラフラ。20歳のときに父が亡くなり、家族で福岡に帰ってきました。
―感受性の強い子どもだったんですね。久々の福岡はいかがでしたか?
糸島に戻ってきて、改めて海の素晴らしさにすごく感動しました。海に通うためにサーフィンを始めたら、生まれて初めて魅力的な大人に出会ったんです。サーフショップのオーナーで、すごくイキイキと輝いていて、お店の営業時間でも波がよければ海に行っちゃって、もう、こっちが心配するくらい自由で(笑)。「ああ、自分の好きなことをやって生活ができるんだ」と衝撃的でしたね。
―人生のターニングポイントですね。
サーフィンにのめり込んで、自分の中にいろいろ物差しができました。例えば、悩んでもしょうがないとか、受け入れるとか、人と自然のバランスとか、自分が今どんな状態か波乗りに置き換えるとか。糸島の海と自然と人に出会って、サーフポイントの前で生活したいという夢が生まれて、それを実現したのがサンセット。31年前のことです。
―当時の糸島はどんな状況でしたか?
まだまだ田舎で、福岡の人とあまり交流がなかったと思います。糸島の人にとってきれいな海は当たり前で、もっともっと後になって外から来た人に「いいね」と言われるようになって、全国から注目されるようになりました。
―そんな場所にサンセットを作られたのですね。
周囲1、2kmくらい民家もないところで、大工さんと一緒に店を建てました。カフェという名前も当時はなかったと思います。
海が好きな人間が集まってくれる場所にしたくて、自分みたいにモヤモヤした気持ちを抱えた人間にも来てもらえればと。昼間にサーフィンをしたいがために夜中1時までお店を開いていたら、春や秋になると落ち込んだ人が来たりするんですよ。みんな何かを求めて海に来てるんだなあと思いました。自分も落ち込んだときに海を見てエネルギーをもらっていましたから。本当にいろんな人が来て、すごく面白かった。
▲サンセットカフェ立ち上げ当初
―地元の人が来ることも?
いやいや、地元の人は来なかった。セントバーナードを放し飼いにしていて、看板もなくて、かなり入りづらい店だったんですよ(笑)。それでも来ていたのは、サーファーと、余裕がある人と、余裕のない人かな。
―それでも人気店になりました。
自分で思っていた以上に、きれいな海や海好きが集まる世界を求めていた人がいたんでしょうね。最初のうちは本当に当たり前の店じゃなくて、「看板出さないの?うちにあるから持ってくるよ」と言ってもらったり、「メニュー作ってよ」と言われたりして、今はだいぶ普通の店になっています。
―そこから「Bakery Restaurant CURRENT」(カレント)、「鮨・和食 空-ku-」(クウ)と店を開かれた経緯を教えてください。
サンセットがある程度できあがってきたら、次にやりたいことができました。サンセットは地域との交流が全くない番外地ですが、僕にも子どもが生まれて、地域とのつながりも考えるように。糸島で地元の食材を使って、スローフード的な地産地消をコンセプトにしたレストランをしたいと思ったんです。ヨーロッパはおいしい食材があるところにおいしい店があるのに、糸島にはそんな店があまりなかったから。それでヨーロッパをイメージしたカレントを2007年にオープンしました。まあ当時はヨーロッパに行ったことがなかったですけど、イメージでね(笑)。
そのうち、海外に行けば行くほど、日本の和食や鮨が一番エキサイティングなんじゃないかと思い、2011年に空を作りました。
▲上:Bakery Restaurant CURRENT、下:鮨・和食 空-ku-(下は「ku」サイトより)
―1993年に始められたSunset Live(サンセット ライブ)は話題をよび、野外フェスの走りとなりました。
夏になると多くの人が海を訪れて、みんなきれいな海が好きなはずなのに汚してしまうことが悲しく、音楽を通してメッセージを伝えるために始めました。糸島に住んでいると、国定公園ですごく気持ちがよくて、特に人がいない時期は海がきれいなんですよ。こんなに素晴らしい環境をもっと多くの人に知ってほしいと思う一方で、大事に守らなければという使命感も自然と芽生えました。
最初にライブをしたときは、イメージしていたのとは全く違って、やっぱり人が来れば汚れてしまって…。「もう、こんなことできんばい!」と思ったけど、みんなは楽しかったみたいで、ぜひまたやってほしいと。本当に最初の4、5年ぐらいはライブが終わって半年間ぐらい「もう絶対にやりたくない」という感じでしたが(笑)、続けるうちにだんだんメッセージが伝わっていきました。
▲サンセットライブの写真(2021年は開催中止)
―今回はサンセットグループで人を募集されるということで、どんな人に来てほしいですか?
そうですね、夢や希望を持てなかった僕でも、好きなことをやって生活できて、人に必要とされるような仕事を続けることができています。だから、すでにやりたいことがある人でもいいし、ここで働いて自分の夢を見つけようという人でもいいですね。糸島には素晴らしい自然があり、面白い人がいっぱい集まってきているので、その中で人との競争ではなく、自分なりの楽しい生き方を実践してほしいと思います。
―林さんは採用に関わられているのですか?
いやいや、もう全部現場に任せています。だいたい僕も人からああだこうだ言われるのが好きじゃないから、できるだけ口出ししないようにしてます。正直、グループみたいに集うのもあまり得意なタイプじゃないし(笑)、本当にゆるくて、経営の数字も任せています。ただ、掃除ができていないとかお客様目線で良くないところは伝えますし、「こんなのがおいしいね」とか「こんなのいいよね」みたいなことは言います。
―サンセットグループを経て糸島で独立開業される人も多いと聞きました。
糸島界隈でも20人ぐらいはお店を出してますね。僕自身も独立したいって思ってたから、独立心がある人間は心強い。
―スタッフが独立するときに「行かないで」とは思わずに、応援されるのですか?
いやあ、「行かないで!」と思いますよ。でも、それはもうしょうがないですよね、そこが一番辛いところですけど…。実は辛いですね、やっぱり、はい。
でも、すごく面白いやつが出てくることで、僕の存在価値も出てくるのかなと。僕も先輩を見て育ちましたし。本当にすごいやつがいっぱいいますよ。卒業してもみんな仲が良くて、同窓会に呼ばれることもあります。本当は去年サンセットがオープン30周年で、自分も60歳になったから、みんなで集まる予定だったけど、コロナで延期になりました。
―コロナで飲食店は打撃を受けたのでは?
正直、飲食店は最悪でしたよ。でも、僕はネガティブに考えない方で、逆に今まではピンチがチャンスになってきたから、ピンチはピンチなりに楽しめるのかもしれません。
去年からサンセットライブができないから、今、人生の中で一番サーフィンができてます。それは超楽しい。「ライブができなくて残念ですね」と言われるけど、残念でありながら、サーフィン的には充実してて、なんとも複雑な(笑)。
―サンセットのオープンから31年経ち、やってきて良かったと思われますか?
そうですね、みんなにこういう世界があると感じてもらえるから。昔からサンセットは「癒しというより刺激になる場所」「自分も頑張ろうって思える」と言われます。
ただ、僕は本当に好きなことしかしてない。サーフィンが好きで、食べることが好きで、自然が好きで、体を動かすことが好きで、音楽が好きで、そして人も好きなんですよね。
▲林さんのライド写真
―仕事をしていて、どんなときにやりがいを感じますか?
「わー、すごいね」「おいしいね」「かっこいいね」「きれいだね」などと人が感動してくれたり、楽しんだりする姿を見られるのが一番うれしいですね。その感動を生み出したいがために、いろいろ仕掛けをしているという感じ。振り返ってみると、やっぱり自分が糸島で感動したことが原点になってますね。
―今後の構想があれば聞かせてください。
いやあ、僕はあんまり深く考えなくて、いつも自然に導かれていく感じなんですよ。それはサーフィンもそう、波なんていうのは。人生はサーフィンそのものですね。
サーフィンがしたいと思いながらやっていると、いろいろな出会いがありました。このきつい坂を登って行ったら何があるんだろうって、人よりも寄り道してる。みんなきついとやめちゃうけど、自分はそういうきついところに行ってみたくなりますもん、ホント子どもですわ(笑)。
―好奇心がエネルギーなんですね。最後に、ここで働くことを検討している人にメッセージをお願いします。
僕は糸島に来て人生が劇的に変わったので、そういうチャンスになればいいなと思っています。そんなに大げさなことでなくても、糸島の大らかさに包まれて、ステップアップしたり楽しく働いたりしませんか。
サンセットグループを卒業し、独立して活躍する人。様々な経験を経て、もう一度グループに貢献しようと戻る人。様々な繋がりが今のサンセットグループやカレントを作っているのだと感じました。
そんなカレントでは、現在一緒に働く仲間を募集しています。興味のある方はぜひお問い合わせください!
店舗名 | Bakery Restaurant CURRENT(運営:SUNSET 風土 COMPANY 合同会社) |
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募集期間 | 決まり次第終了 |
募集職種 | 1. キッチン(洋食、イタリアン) 経験3年以上 年齢不問 2.キッチン 調理経験者(3年未満も可) ※採用人数は1,2とも各一名ずつ |
採用人数 | 若干名 |
雇用形態 | 1は正社員 試用期間1ヶ月 2.は正社員またはアルバイト 試用期間1ヶ月 |
勤務地 | ベーカリーレストラン カレント 福岡県糸島市志摩野北2290 |
勤務時間 | 7:00~20:00(シフト制) |
給与 | 月給20万1500円〜(試用期間有・経験能力考慮) ※2.のアルバイトの場合は 試用期間時給880円スタート 技術により翌月より昇給有り |
福利厚生 | ・社保完備 ・制服貸与 ・まかない付き ・交通費一部支給 ・有給休暇 |
休日休暇 | ・月8日(毎週水曜・第一火曜) ・有給休暇 |
仕事内容 | キッチンでの調理 |
応募資格 | 【歓迎するスキル・経験】 飲食店での接客 |
選考プロセス | STEP-1.当サイトへのお申込み STEP-2.面接(履歴書(写真付)・職務経歴書を持参) |
備考 |