【私たちなりの取り組み】集まれないシェアオフィスでの新たな取り組みと、その先に見ているもの。

2020年4月16日、新型コロナウイルスの拡大に伴い、全都道府県を対象に緊急事態宣言が発令されました。「移住」に伴う移動や運営するシェアオフィスでコミュニティ創出のため人の集う場をつくってきた私たちにとって、現状の政策はまさに逆方向を向いています。しかしそんな状況の中でも(外出を制限しながら)私たちなりにできることを日々取り組んでいこうと考えています。この記事ではそんな【私たちなりの取り組み】についてのご紹介とそこから得たものについてお届けいたします。

「福岡移住計画」では福岡市内にて2つのシェアオフィス『SALT』と『HOOD天神』を運営しています。

新型コロナウイルスの影響で状況が変化する中、「“人の集まり”で成り立つシェアオフィスって今どうなっているの?」と思う方も少なくないはず。フリーライターとしてコワーキングスペースをよく利用していた私もそのひとりです。

そんな中、「福岡移住計画」の編集さんと雑談混じりにやりとりをしていたら「この情勢下、私たちのシェアオフィスでもいろいろと新しい取り組みを始めていて……」とのこと。「きっと同じように模索している同業の方もいると思うので、参考になるかわからないですが、シェアの意味も込めて、よかったら記事にまとめていただけないですか?」という声をいただきました。

さっそく、オンラインで取材を行うことに。今回お話を伺ったのは、「福岡移住計画」のシェアオフィスでコミュニティマネージャーとして働く3人—―、全体統括の脇山理子さん、『SALT』担当の斎藤真木さん、そして『HOOD天神』担当の野上梓さんです。

(左上:脇山、右上:窪田*移住計画、左下:野上、右下:斎藤)

日頃から人との関係性を大事に育んできた『SALT』と『HOOD天神』。この外出自粛の状況下で、“人の集い”を運営する立場のコミュニティマネージャーは何を考え、どんな取り組みをしているのでしょう……? 今回はわたくし、ライター小中の立場から話を聞きました。

オンラインで、何ができるだろう?

――さっそくですが、新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続いていますね。『SALT』や『HOOD天神』にはどんな影響がでていますか?

脇山さん:日々、見える景色がどんどん変わっていますね。最初に影響を感じたのは、3月の上旬ごろ。人が集まる場は危険だと言われ始め、私たちも3月のイベントをすべて中止にしました。4月に入り緊急事態宣言が出ると、どちらの拠点でもほぼ会員さんが来られなくなって。またドロップインなど、会員さん以外のご利用を停止しています。

――コミュニティマネージャーはまさに「人の集まり」を扱うお仕事かと思うのですが。場に「集まれない」空気が高まる中、皆さんはどんなことを思っていましたか?

野上さん:私は、パニックになるほどの危機感はなかったですね。もともとコミュニティを大切に作ってきたので、「コミュニケーションは対面でなくとも、オンラインなど別の方法でやっていけるのではないか」と考えていました。

斎藤さん:そうですね。ただ個人的には『SALT』のキッチンで休憩中に「コーヒー飲む?」って会話が自然と生まれる、あの光景がしばらく見られなくなるな……と寂しい気持ちがありました。

脇山さん:そういう寂しさはありつつ。でも野上が言っていたように、これまで作ってきたコミュニティの中で「じゃあこの状況で、できることはなんだろう?」という前向きな気持ちで悩みました。

――これまで育んできたコミュニティがすでにある。でもその上で、平常時とはやり方を変えていかなきゃいけない。そこからどう考えを進めていったのでしょう?

野上さん:この変化の中、脇山が早い段階で言っていたんです。「これを変革のチャンスだと思って、新しいコンテンツを作ろうよ」って。

斎藤さん:そう。それにちょうど今年『SALT』が5周年で、この4月にはフロアが拡充されるタイミングだったんです。そこで「一段階アップデートしていこう!」というのを、前々から話し合ってきたので。そんな中にこの情勢が重なって、「やるしかない!」という気持ちが加速した感じもありました。

▲SALTのフロアマップ

ライブ配信にチャレンジ

――もともと「次なるチャレンジ」を始めるタイミングでもあったんですね。その中で新しく始まった具体的な取り組みについて教えてください。

脇山さん:はい。今は「オンラインコワーキング」をキーワードに、できることからトライしています。これまで運営していたリアルな「働く空間」を、オンラインでも実現するにはどうしたらいいだろうと試行錯誤していて。

たとえばFacebookの会員限定ページでは、『SALT』の風景を終日、ライブ配信中です。その中で決まった時刻には10分間、コミュニティマネージャーが登場して雑談をするようにしていて。さらに4月後半からは、夕方の18時〜18時半にトークショー「おつまみライブ」の配信も始めました。これは福岡移住計画のメンバー中心に日替わりでパーソナリティをたてて、テーマを決めてトークをするものです。

――10分の雑談や「おつまみライブ」では、例えばどんなことを話すんでしょう?

野上さん:雑談の方は仕事合間の休憩時間という位置づけなので、とりとめのない話です。最近のニュースとか、今日何食べたとか……(笑)。

脇山さん:夕方の「おつまみライブ」のテーマは、仕事・趣味を問わず、日替わりで担当者の好きなように決めてもらっています。この前は不動産事業の担当が「これからの不動産の話をしよう」というテーマで話して、反応も盛り上がっていましたよ。一方で今日(※取材当日)のテーマは「おすすめのキャンプ道具」です。


――色とりどりでおもしろそうですね。ところで終日のライブ配信や、「おつまみライブ」をまずやってみよう、と考えた背景は何でしょう?

脇山さん:私もそうなんですが、在宅で仕事をしているとメリハリに悩むことがありますよね。そんなとき、「いつでも自由に入ってきてもらえる場所」があるといいなと思ってまずライブ配信を始めました。10分間の雑談は、『SALT』のキッチンで生まれていたような自然な会話を、どうやったらオンライン上でも実現できるかなと考え、試しているものです。

また「おつまみライブ」を始めたのも、在宅ワーク中に仕事終わりの“区切り”があるといいなと感じていたから。ただ、どれも「最適」とは限らないので、検証しながら、どんどん更新していければと思っています。


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「あり続ける」ことの意味

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