東京一極集中に風穴を開ける
――では、いよいよ福岡での採用についてです。「100人採用」の背景には、やはりIT業界の人手不足がある、ということですか。
そうですね、デジタルクリエイターは現在でも足りていませんが、今後のニーズの高まりからさらに不足してくると考えられます。その一方で、高いスキルを要求される仕事や、テクノロジードリブン(新しい技術をきっかけにして登場する新たなビジネス・サービス・製品など)な仕事を発注する企業は、東京に一極集中している傾向にあります。
つまり、地方では高度なスキルや新しいテクノロジーを要求される機会が少なく、デジタルクリエイターとしての能力を磨くのが難しい状態にあるのです。
――誰もが地元を離れて、東京でデジタルクリエイターを目指すわけにはいかないですしね。
故郷への愛着もあるでしょうし、家庭の事情がある人もいるでしょう。逆にいえば、本来ならば高いスキルを持つデジタルクリエイターになれる人材が、地方に埋もれてしまう可能性もあります。
そこでメンバーズグループでは、仙台、神戸、北九州に「ウェブガーデン」という地方制作拠点を作り、ここで地域での雇用創出・人材育成に力を入れています。
福岡なら、必ず成功できる
――福岡は、これまで展開してきた仙台などと比べて、どんなロケーションだと思われますか。
まず、人材が豊富にいます。専門学校や高専、大学など、デジタルクリエイターを目指すための基礎的な教育を受けている若い人がたくさんいる。若い人のデジタルリテラシーが非常に高く、大きなポテンシャルを感じます。
もちろん、街としての魅力も非常に高いですね。空港へのアクセスがよく、都市機能がコンパクトにまとまっている。それに海や山などの自然もあるし、食べ物もおいしい。福岡出身者は「福岡大好き!」という人が多いですが、納得です。
デジタルクリエイターの仕事という面でみると、案件の数としてはかなりあります。しかし、スキルが必要な「エンジニアとして楽しい仕事」はどうしても東京には及ばないですね。
人材という面からみると、少し人材の流動性が低いようにも思えます。育成に力を入れる企業よりも、即戦力が欲しいという企業が多い。これは、ベンチャーが比較的多いことが原因かもしれません。
率直にいうと、「福岡でダメだったら、どこの街でもダメだろう」と考えています。それくらい条件がいい。福岡での採用の成功には、自信を持っています。
――では最後に、志望される方や転職、移住を考えていてもいま一歩踏み切れない方へ、メッセージをお願いします。
テクノロジーの分野は、日進月歩でどんどん進歩しています。私たちも、若いエンジニアから学ぶことはたくさんあります。3年後にはどんな技術が出てきて、生活にどんな影響を与えているか想像もつかない。そんな最先端の技術や情報に直接触れることができる「デジタルクリエイターとしての喜び」を、ぜひ体感してください。
連載1本目となる今回は、メンバーズグループの事業と福岡での採用戦略についてお話を伺いました。次回は、フルリモートワークでのエンジニアリングを実現しているメンバーズエッジについてお届けしたいと思います。