こどもから学ぶところだらけ
−20年前、同じ大手門に、国内外の質の良いブランドを厳選したレディス・メンズが揃うセレクトショップ『ambiente(アンビエンテ)』をオープンされた浦田さん。その数年後に『ciel et soleil』をオープンされました。どうして“こども服”だったんですか?
一番のきっかけはやっぱり、自分のこどもができたことですね。単純に、可愛いじゃないですか、こども服って。それに何ていうか…夢がありますよね〜。そう思わせてくれる、いいブランドに出会えたことも大きかったです。当時、“デニムアンドダンガリー”と“ポニーグラウンド”っていうブランドがあって、最初はその2つのブランドから始めたんです。本当に可愛くてね。このブランドがあったから始められた部分も大きかったです。
こどもって、いつも一生懸命でいいなぁって思うんです。大人になるにつれて知恵がついてどんどん一生懸命にやらなくなるし、楽しようとしてしまう…。でもこどもは、例えばあそこまで行こうって思うと、一生懸命走っていくじゃないですか。そういうところを見ていても、改めてこどもから学ぶことが多いですね〜。
すぐ大きくなっちゃうから、いい服を着せるって勿体無い部分もあるかもしれないけど、でもね〜やっぱり…着せたいんですよね(笑)。全身高級な服ってわけにはいかないけど、感性豊かで一生懸命な時期にこそ、少しでもいいものを着せてあげたいなって思っちゃうんです。こども自身にも、何となくそういうのって伝わると思うし、備わっていくんじゃないかな。
洋服が、大好きだ!
−浦田さんがそもそも洋服に興味を持ち始めたのはいつ頃からですか?
中学くらいから好きでしたね。友達や先輩を見ながら、かっこいいなって思って真似したのが始めかな。僕、地元は長崎なんですけど、先輩がお店を出されていて、高校時代は友達とよく行っていました。今はスマホから幾らでも情報が入るけど、当時は無かったから、とにかく先輩の真似をして、ひたすらお店に通ってね…。“今日はそれじゃなくてこっちの方が絶対かっこいいよ”なんて言われて。家に帰ったら鏡の前で、一人ファッションショーでした(笑)。
▲この日も、お気に入りのストールで。奥さまや息子さんも一緒に使っているそう。
−中学生の頃から持ち続けた“洋服が大好き”という気持ちは今も変わらないんですね。
僕、靴下1枚買う時でも、“これに何を合わせよう? パンツと靴は?”って考えるんです。もう、ほとんど病気ですね(笑)。でもね〜、最高に楽しいんです。その気持ちはずっと変わりません。むしろ高まっているかもしれませんね。50代半ばになった今、いろいろな経験をして、若い頃の何倍もファッションを楽しめています。洋服って、自分の気分が上がるものなんですよね。それは大人もこどもも同じなんじゃないかな。
▲優しく迎えてくれるスタッフさんたちは、こどもたちからも大人気。
大切なものを、きちんと大切にしたい。
−日々を過ごすなかで、浦田さんが大切にしていることは何ですか?
僕の好きな言葉が“Less is more.(レスイズモア)”。“ものを少なくして豊かになろう”っていう意味です。物が多すぎると、良い物も良く見えないでしょ。1つ1つが、良く見えるようにしていたいんです。ロンドンに行った時にバッジを買ったらこの言葉が書いてあって。友人から言葉の意味を教えてもらって、いい言葉だなぁって。だからね、お店も毎月1日は大掃除なんですよ。棚も外して壁や天井まで拭きあげてね。
▲姉妹店の壁にも飾られている、大切な言葉
▲毎日開店前には1時間かけて掃除するとか。クッションのふかふかさにはいつも驚かされます!
その言葉を洋服にあてはめると、本当にいいものを買って、着て、触って、感じてもらって、長く着て欲しいなぁって思っています。日々暮らしていると物ってどんどん増えるし、それは物に限ったことでは無いかもしれないですね。どこかで断捨離していかないと、本質が見えなくなる。大事にしたいなぁと思う言葉です。
初めての子育てにパンパンだった心を、お店の名前のまんま、空のように清々しく太陽のようにポカポカ照らしてくれた場所。洋服を買うだけなのに、そこはもう、私と息子の “居場所”の一つになりました。大切に作られ、大切に売られる洋服たち。買う時から着る日まで、ウキウキして過ごした日々もひっくるめて、とっておきの宝物です。“すべりだいのおみせで、おねえさんとあそぶ”としきりに言う息子と一緒に、また、会いに行きます。
【ciel et soleil】
https://cieletsoleil-online.stores.jp/
福岡県福岡市中央区大手門1-5-17
TEL:092-737-3317
営業時間:11:00am-7:00pm
定休日:水曜、第1・第3木曜