【F-LIFE SHIFT story vol.11】福岡から日本のソーシャルビジネス界を牽引!ビジネスレザーファクトリー社長が見た福岡。

「F-LIFE SHIFT story」は福岡に移住してきて暮らしや働き方、考え方などをシフトした人たち(先輩移住者)のストーリーを追った特集です。福岡に来て何が変わったのか、これから福岡で暮らしていきたい・変えていきたいという人たちの参考になればと思います。

今回お話を伺った原口さんは、大学進学を機に生まれ育った熊本県の田舎町を離れ上京。「貧しい人たちの役に立ちたい」、その志を達成することだけを考えて学生時代を過ごしていたのだといいます。そして現在、社会問題を解決するソーシャルビジネス“しか”やらない会社、株式会社ボーダレス・ジャパングループの1社、ビジネスレザーファクトリー株式会社の社長として日々奮闘しています。これまでの経験や、移住後の生活についてうかがいました。

はじめまして、福岡

−福岡に移住されたきかっけや経歴を教えてください。

私は熊本県の出身で東京の大学を卒業した後は、イギリスの大学院に進学し貧困と開発修士課程を修了。そして、ODAの実施機関であるJICA(国際協力機構)に入構しました。
九州出身ではあるのですがこれまで福岡とは縁がなく、ボーダレス・ジャパンに転職したことをきっかけに福岡に住み始めました。

−すごいキャリアを経て福岡に移住されたんですね。JICAではどのようなお仕事を担当されていたんですか?

日本政府から開発途上国の相手国政府に開発資金を貸す「円借款」案件というものを担当していました。私は中南米の担当だったので、中米地域に位置するニカラグアという国の水力発電のプロジェクトなどを担当していました。国創りというダイナミックスな仕事に携わらせていただいてすごくやり甲斐を感じていたので、無我夢中になって働いていました。4年ほど勤務した後、体調を崩してしまい志半ばで退職しました。すごく悔しかったのですが、実家の熊本に帰り、療養することになったんです。でも、それが自分と対峙するいい機会になりました。思い返せば東京で勤務していたころは仕事に追われる毎日で、立ち止まる時間がまったくなかったんです。でも、“こんなことで戦意喪失している場合じゃない!”と自分を奮い立たせ本当にやりたいことは何なのか真剣に考えました。

−その答えが「ソーシャルビジネス」だった、ということですか?

大学院在学中に、アフリカのマラウイという国を訪問し、援助機関が実施する産業振興のプロジェクトを視察したんです。その時に、経済活動によって、雇用が創出され国が発展するプロジェクトに、すごく可能性を感じたのを思い出したんです。一方で、それを援助するのではなく、持続性が高く、収益性の高い、先を見据えた事業をしたいと思いました。そう思ったのがボーダレス・ジャパンに転職した理由です。

場所に左右されない、強い思い

−以前からボーダレス・ジャパンのことは知っていたんですか?

いえ、全く知りませんでした(笑)。体調が落ち着いたころに最初に読んだ本が、偶然にもソーシャルビジネスの本だったんです。そのことで、マラウイでの出来事などを再び思い返しました。点と点とがようやく線になり“これだ!”と。日本でソーシャルビジネスをしている会社がないかと調べてたどりついたのが、ボーダレス・ジャパンだったんです。当時、新卒ではなく第二新卒、かつビジネス経験のない私に合う求人がなかったのですが、私のこれまでの経験や、これからやりたいことを綴った、熱い長文メールを送りました(笑)。それで今に至ります。

−現在はどのようなお仕事をされているのでしょう?

ビジネスレザーファクトリーは、ビジネスシーンに特化した本革アイテムを販売している会社です。製造はすべて、バングラデシュの自社工場で行っています。アジア最貧国といわれるバングラデシュで、貧しい家庭の人々が教育を受けていない、あるいは働いたことがないなどという理由で、働きたくても働けない人々が、働く場所をつくるためのソーシャルビジネスとして始まりました。私がビジネスレザーファクトリーに入った当時は、事業が急速に拡大している最中で、生産管理や品質管理のサポートとして、バングラデシュの自社工場で働くことからスタートしました。2014年創業当初は2人からスタートした工場ですが、2016年ごろには約300人、今では約500人までに増え、バングラデシュでも有数の革工場になるまで成長しました。現在は、ビジネスレザーファクトリーの代表という立場で事業に携わっていますが、私自身は、もともと「アフリカの貧困削減に貢献したい」という志を持っています。いつかビジネスレザーファクトリーの工場をロールモデルとして、アフリカでも事業を展開ししていけたらと考えています。


−本社は東京ですが、九州(福岡)勤務を希望されたんですか?

いえ、ボーダレス・ジャパンのオフィスが東京と福岡にあったのですが、もともと大学を出て東京で働いていたこともあり、採用が決まった時はなんとなく“東京勤務なのかな〜”と思っていたんですが、蓋を開けてみたらたまたま福岡だったんです。九州出身ではあるものの、福岡には住んだことがなかったのでイメージがわかなかったのですが、実際働いてみてわかったのは、住む場所は関係なく、何がやりたいのかが大事だということですね。

福岡だからこその環境

−社長ということで会社についても少しだけ伺いたいのですが、福岡を拠点に構えていることで、何かメリットはありますか?

福岡オフィスは商品の倉庫も兼ねているんですが、物量が多い私たちの事業としては、単純に家賃が安いっていうのはメリットですね。月に1度、バングラデシュから商品が大量に届くのですが、福岡オフィスで働くビジネスレザーファクトリーのスタッフ総出で運んでいるんですよ。それらの商品を全国の直営店舗に発送しています。

−“福岡らしさ”を感じるのはどういったところでしょうか?

実は福岡勤務ということが決定した時、福岡で働くことに対しては、特に抵抗はなかったものの、漠然と東京に比べて情報量などの点で不安も抱えていました。でも、その不安はすぐに払拭されましたね。インターネット販売であれば拠点はどこでも大丈夫ですし、店舗があっても出張ベースで対応できます。また、福岡には『福岡スタートアップカフェ』など、ベンチャー企業のコミュニティのハブになる場所が多く存在しているので、情報を得る場所や機会が多いと感じています。移住者や起業家にやさしい街だなと感じました。また弊社を含めたベンチャー企業(株式会社YAMAP株式会社ホープ株式会社グッドラックスリー)では、月1回ペースで経営者の方を招いて合同経営勉強会を開催しています。経営の著書では得られないような生身の情報が得られるので、すごく勉強になります。

−最後に、今後の夢を教えてください。

やっぱり、ビジネスレザーファクトリーの自社工場をアフリカにつくることですかね。でも、これは夢じゃないんですよ。「つくりたい」じゃなくて「つくる」んです…!バングラデシュのロールモデルとして、世界中の貧しい人々が、働きたくても働けずに苦しんでいる状態を、安全かつ安心できる職場環境で、安定的な収入を得ることでき、仕事にやりがいや誇りを持ちながら、明るく「働く」ことができる社会をつくっていきたいと思っています。「世界中の「働く」を明るく」。ビジネスレザーファクトリーの仲間達となら、それができるんじゃないかなと思っています。
私生活では、せっかく海や山などの自然が豊富な福岡にいるので、山登りやスキューバダイビングなど、アクティブなことにもチャレンジしてみたいですね。

【ビジネスレザーファクトリー】
https://business-leather.com
福岡県福岡市東区多の津4-14-1
〈店舗一覧〉
https://business-leather.com/shoplist/
〈採用情報〉
https://www.borderless-japan.com/recruit/career/

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