【ママとこどもの良い暮らし】いつまでもこの街で、ずっと。親子で過ごせる姪浜の本格カフェダイニング(コピルストア)

「ママとこどもの良い暮らし」は、“「子連れでお出かけ」をもっと楽しく!”するために活動する『ママリボン』と福岡移住計画の共同企画です。子連れママ&パパたちも福岡の街に自然に溶け込んで、みんなで多様性をもっと楽しんでいくためには?子連れでも過ごしやすいお店などを紹介しながら、暮らしやすい街の姿を連載で探っていきます。

今回は、福岡市西区姪浜のカフェダイニング『コピルストア』をご紹介します。2017年4月、姪浜駅からほど近い場所にオープン。すでに街の皆さんの癒しの場所として人気のお店。近くには公園や幼稚園があり、あちこちから聞こえるこどもたちの声に癒される中、突如現れる古民家。それが『コピルストア』です。


「コピル」とは、ルーマニア語で“こども”という意味。その名の通り、小さいこども連れのパパやママもゆっくりくつろげる工夫がいっぱいの店内。今回は5歳の息子さんのパパでもある、オーナーの奥野陽城さんにお話を伺いました。

−店内はアンティーク調でオシャレ。でも、ちゃんと椅子が大きくて子連れには有難いです!

陽城さん:1年経って、0歳の赤ちゃんも連れて来られるっていうのを口コミで広げて頂いて、たくさん来てもらえるようになってきました。たまに1人の時間を過ごしたいお母さまもいらっしゃいますし。最初にイメージした感じで、だんだん広がってきているな~というのは感じますね。

ちょっと息抜きできる場所になれれば

−奥様とお二人で切り盛りされていますが、どういういきさつでお店を開くことになったんですか?

陽城さん:元々知り合ったのは学生の頃で、お互いバックパッカー。マレーシアで知り合ったんです。バックパッカーしていたぐらいなんで、ふたりとも気ままに生きていたんですけど、僕が飲食業界に就職したのもあって、いつかは二人でお店したいねっていう話はずっとしていました。

−子連れでも気兼ねなく過ごせるお店にしたいと思ったのはどうしてですか?

陽城さん:やっぱり、こどもが産まれたことが大きかったですね。こどもが産まれる前は、夫婦ふたりで休みの日は気になるお店に行って、お酒も楽しんで美味しいモノいっぱい食べて…っていう生活をしていたんですけど、こどもができるとそれが出来なくなって…。夜出かけられる機会なんて、ほとんど無いじゃないですか。でも、親だってたまには贅沢したいし息抜きもしたい。こどもが産まれて、当たり前ですけど自分中心じゃなくなって“こどもにとってどうか?”っていうのが全ての判断基準になった。これまでの常識が全く通じない相手といつも一緒にいるわけですから、疲れることもあります。だから、ちょっとでも親にとっての息抜きになる場所になれればいいなと思っています。

※“大きくなったら新幹線の運転手さんになる!”という琉世くんは、新幹線が大好き。お客さんともすぐ友達になるコピルストアの看板ボーイ。

−お店には、小さな赤ちゃん連れでも安心して利用できる“キッズルーム”が。1部屋まるごと使ったスペースには、おもちゃがたくさん!“お客さんが持って来てくれるんですよ”と話すのは、奥様の貴子さん。

貴子さん:最初からキッズスペースありきの店作りを考えていたので、こういう形になりました。最初は遊ぶだけのスペースだったんですけど、ある時5カ月の赤ちゃん連れのお母さんが5組いらっしゃって、“食事もいいですか?”という話になったんです。そこから食事もできるようにテーブルを置いて…。今は、口コミで広げて頂いて、予約の電話でも最初に“キッズルーム空いてますか?”って聞かれることが多くなりました。

※食事もできるキッズルーム。クローズ中は琉世くんの遊び場に。


貴子さん:乳児連れだと、やっぱりなかなか出かけにくいですよね。でも、ストレスは結構たまる時期でもあって。自分のことを思い出しても、全然出かけなかったですし…。やっぱり行ける場所って限られていて、毎回同じところにばかり行くようになるから、こどもを安心して連れて来られて、しかも、食べ物も安心…っていう場所になればいいなっていうのは思っていましたね。

基準は“家族”。料理にはとことん手をかける。

−そうは言っても、実際に飲食店で子連れを歓迎するのは簡単では無いはず。そんな疑問を投げかけると、ご主人の陽城さんからは、さらりとこんな答えが返ってきました。

陽城さん:商売の効率だけを考えると、他のやり方がいいんでしょうけど、ただまぁ自分が独立してお店を開くのは、お金を稼ぐためっていうよりは、自分の人生観を表現するっていう意味合いが強いので、こんな感じになりましたかね。

−コピルストアは、とにかくお料理が美味しい!こんなに本格的な洋食を、子連れで気兼ねなく楽しめるなんて夢みたいです。

陽城さん:手はとことんかけるようにしています。お店をオープンする前に修行させてもらったお店がとにかく全て手作りっていう所で、すごくいいなぁって思っていたんです。大変だったんですけどね。でもせっかく教わったし、僕もそれを実践していきたいなと思っています。

−名物の『蟹クリームコロッケ』は、もうびっくりするくらい美味しかったです。繊細で上品で、しみじみ美味しい…。感動しました!

陽城さん:蟹クリームコロッケをメインで押しているお店ってそんなに無いですもんね。わざわざメニューに書かれていたら“なんでかな?”って気になりますしね(笑)。
家で揚げ物するっていっても、蟹クリームコロッケってまず作らないじゃないですか。こどもがいたら洋食屋さんに行く機会もなかなか無いし…。だから、あったら食べたくなるんじゃないかなと思って。

※名物の『蟹クリームコロッケ』。ランチには、サラダ・スープ・自家製パン・デザート・飲み物がつく。

−狙い通り、食べたくなりました(笑)!こんなに美味しい料理を楽しめて、気兼ねなくこどもを連れて行けるお店って少ないんですよね~。

陽城さん:そうなんですよね。自分もそうだったんです。ファミレスとかうどん屋さんばっかりになっちゃって…。たまに居酒屋に行っても煙草の匂いが気になったりとか。うちは夜も営業していて、もちろんお子さま連れ大歓迎なので、たまにお酒でも飲みたいなっていうお母さんたちが集まって来られますよ。どんどん利用してもらって息抜きしてもらいたいですね。

−メニューを考える時に大切にしていることは何ですか?

陽城さん:自分のこどもに食べさせられるかな?っていうのが基準ですかね。だから店で出すものは出来る限り手作りしていますよ。ドレッシングも野菜と卵と油で作りますし、パンも自家製です。

−ランチセットで最初に出して頂いた『ホウレンソウの冷製スープ』も衝撃的な美味しさでした!

陽城さん:やっぱり、最初に飲んで頂くものなので、“あ、いいな”って思ってもらいたくて。しっかりと手をかけて素材の味が活きているスープを作って飲んで頂けば、きっと記憶に残りますよね。とりあえず出しとく…っていうのはやりたくないんです。

※ランチのサラダには、豆や芋なども入って色んな味と食感が楽しめる。最初に出されるスープも旬の野菜で。

料理人としての原点は、お母さんの味噌汁

−奥野さんは大学卒業後、福岡の飲食店に就職。以後、数々の人気店の料理長や責任者を経験し、独立したとか。そもそも料理人を目指したのはいつからですか?

陽城さん:中学を卒業して料理人になろうかなって思っていたくらいなんで、もうこどもの頃からですかね。ちっちゃい頃、手伝いの延長で日曜日に家族の朝食を作ったりしていましたよ。見よう見まねで味噌汁を作って、家族が“おいしいね、おいしいね”って食べてくれるその感じが嬉しかったのかなぁ。でも、自分で作った味噌汁を飲んでみて、いつも母親が作るのとは違う…っていうのは分かるんで、それが悔しかった記憶もありますね。会社に入ってからは、居酒屋・イタリアン・韓国料理…色々な店の運営に関わって勉強させてもらいました。会社の方針として、独立者をどんどん出していこうっていうのがあったので、店舗の運営をある程度任せてもらえて、経営者の目線っていうのも勉強させてもらいました。

−色々なジャンルの店舗運営を経験した奥野さん。『コピルストア』のデザイン・内装は全て自分たちで作り上げたとか。

陽城さん:内装業者さんが先輩だったので、“あそこ黒板やったらもっと面白いんやない?”とか話しながら、図面も無くその場その場で決めながら作りました。内装や店に入った時の感じ、料理にしても、もう完全に職業病で、常に視線が女性目線というか(笑)。どうしたら女性が喜ぶか?っていうのが染みついているんですよね。だから自分の感覚で作り上げたらこんな感じになりました。


※2階の椅子席もご夫婦の好きなアンティーク調で、落ち着いた雰囲気。

変わらず、この街にあり続けたい。

−これからどんなお店・場所になっていきたいですか?

陽城さん:基本的には変わらないでいたいんです。この街にいつでもこどもを連れて行けるお店があるよっていうのが、10年20年って続けばいいなと思っています。料理をずっとやっていて思うのは、ちゃんとしたことをしていたらお客さんは分かってくれるということ。お店のことも、ちゃんとしたことをぶれないでやっていれば、もっともっと分かってもらえるんじゃないかって、まぁ信じて毎日一生懸命やりようっす(笑)!

奥野さんが作る食事は、サラダからコーヒーにいたるまで、とことん丁寧で心がこもっていて、もう美味しくて美味しくて…。それでいて、お子さま連れ大歓迎!なんて言ってくれるものだから、すっかりもうコピルファンです(笑)。訪ねた一人の人として、大人もこどもも、当たり前に笑顔で迎えてくれる。ご主人も奥様も琉世くんも、ありのままで自然体。自由で優しくて、ここにいると、いつの間にか背負っていた重荷が少しずつ消えてなくなる気持ちになれます。この街に生まれてくれてありがとう。ずっと、ここにいてください。

【コピルストア】
福岡県福岡市西区姪浜4-3-3
TEL:092-407-2232
営業時間:11:30-15:00 / 18:00~22:00
定休日:日曜(不定休あり)
駐車場:無し
最寄り駅:姪浜駅から徒歩10分

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