【ぼくらが連れて行きたい店vol.36】五感でもてなし、街のハブとなるコーヒースタンド(STEREO COFFEE)

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
本コーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

2015年12月。大名のカフェ・レストラン『STEREO』の姉妹店としてオープンして以来、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続けている『STEREO COFFEE』。一歩足を踏み入れるとコーヒーの香りと、2台のJBLスピーカーから流れる心地よい音が広がるイートインスペース、そして2階にはギャラリー「AND」が併設され、コーヒーの味だけではなく、心地よい空間演出で人々を魅了しています。
「みなさんの日常の一部になるようなお店がつくりたかった」と語る、オーナーの児玉さん、店長のカーネルさんにお店のスタートからコンセプトまでお話を伺ってきました。

閑古鳥が鳴いていた日々

−今も店内がすごく賑わっていますが、オープン当初はどんな様子だったのでしょうか?

カーネルさん:当時は隣にある『桜十字病院』と、隣接する『梅山鉄平食堂』さんくらいしか目立つお店はありませんでした。なので1日10人お客様がいらっしゃるかどうかくらいでした。正直、今の状況は想像つかなかったですね。

※店長のカーネルさん(愛称名)

児玉さん:2015年の12月オープンでしたが、月の予算をクリアできるようになったのは2016年の8月でした。特別何かをしたというわけではないですが、認知度が徐々に上がっていった結果だと思います。

—ここは駅からも距離がありますが、どうしてこの場所にオープンされたのでしょうか?

児玉さん:カフェ・レストラン『STEREO』の次は、どんなお店をやろう…と考えていた時に“コーヒー”というキーワードが出てきたんです。でも、ただコーヒーをやるだけじゃ面白くないから、プラスαで何かできないだろうか…と模索していたんですが、この物件を見た瞬間に頭に思い描いていたふわっとしていたものが、すごく具体的に見えたんです。

※代表の児玉さん

カーネルさん:当時、この物件は築30年のボロボロの民家でしたが、ひと目惚れでしたね!“ぼくたちがやりたいことはここでしかできない!”って確信しました。だから正直、駅からの距離がどうこうとかはまったく考えてなかったですね(笑)。

—ではもともとギャラリーをやろうという構想ではなかったんですね。

児玉さん:ギャラリーというよりは、コーヒーだけではなく“いい空間”も提供したいという思いがあったので、ふらっと立ち寄ったらコーヒーがあって、いい音楽があって、プラスαでカルチャーがあったら面白いかなって思ったんです。

—カーネルさんは、児玉さんからお誘いを受けてオープニングメンバーとして参画されたんですよね。

カーネルさん:当時は一旦コーヒーから離れた仕事をしていたんですが“面白そう!”と思ってすぐにメンバーに加わることを決めました。それから、オープニングメンバーの3人で「ポートランドに行こう」と児玉がいうので、冗談かな〜と思っていたら本当に連れて行ってくれたんですよ!

—それは研修で、ですか?

カーネルさん:そうです。ポートランドは独自のカフェ文化が築き上げられていて、個性的なお店もたくさんあるんです。その中でも特に影響を受けたのが『GOOD COFFEE』。ポートランドのコーヒーショップの多くが自家焙煎なんですが、ここは様々なポートランドのコーヒーショップの豆をセレクトして提供しているお店なんです。その中立的な立場で、コーヒーを伝えるお店のコンセプトにすごく共感しました。

児玉さん:今となっては『STEREO COFFEE』のトレードマークにもなっているネオンサインですが。実はこれもポートランドでヒントを得て取り入れたんです。ポートランドは街にネオンサイン専門店があるくらいネオンサインで溢れた街で。これを、福岡のカフェが取り入れたら面白いんじゃないかと思って設置しました。

—ポートランドにはヒントがたくさん転がっていたんですね。

カーネルさん:『STEREO COTFFEE』でも、常時2〜3種類の豆を味わえるようになっています。そのほか、シーズンごとのドリンクや、イベントに応じて豆を変えたりしています。

『STEREO COFFEE』という空間づくり

—イベントごとにというのは面白いですね。

カーネルさん:2階の展示スペースで行われている展示は、独立したものとは考えておらず、コーヒーを取り巻く空間の一部だと捉えているんです。だからイベントによってドリンクを考えたり豆を変えたりすることも、演出のひとつなんです。

児玉さん:ふらっと立ち寄ったら、コーヒーも味わえる、いい音楽も味わえる、2階にいけば何かしら面白いものと触れ合える。訪れる方の生活の一部としてスッと溶け込むような心地よい空間にしたいと思っているんです。

—展示の内容やイベントはどのように考えているんですか?

カーネルさん:年単位で考えているんですが、全体的な流れを踏まえつつ、自分自身が“面白い”と感じるかどうかを大切にしています。その上で、作家さんの作品や人柄がお店にフィットするかどうかを見極めています。実際に展示をお願いすることになったら、直接会いにうかがうのも仕事のひとつ。つくっている現場を肌で感じて、お客様にも感じたことをそのまま伝えられるようにしています。

※取材時はイベント「online magazine pop up shop」が開催。

—わざわざ会いに行かれているんですね!

カーネルさん:そうなんです。伝えるという作業は『STEREO COFFEE』が大切にしていることのひとつです。例えばコーヒーひとつとっても、ロースターさんたちの想いをしっかり汲み取って、それをお客様へしっかり伝えられるように準備していますし、展示においてもそれは同じです。作家さんがその場にいらっしゃらない時でも、作品の良さや込められた想いを伝えられる、それがぼくたちの使命でもありますね。

人と人がつながるよろこび

—伝えることで、人とモノをつなげ、間接的に人と人とをつなげているような感じがしますね。

カーネルさん:まさに、ここは人と人がつながる場所だと思っていて。空間を提供し、イベントを開催することで、職業の垣根を超えてさまざまな人たちが集う場所になっていますし、つながる場所になっています。実際ぼく自身も、児玉に誘ってもらったことで今の自分がいます。人とつながることの面白さを肌で感じているので、そういう場所をみなさんにも提供したいと思っているんです。

—オープンして約2年半が経ちましたが、やりたいことはほぼカタチになって来た感じでしょうか?

児玉さん:全て完璧に、というわけではないですが、そうですね。ようやくベースは整った、っていう感じでしょうか。

—これから挑戦してみたいことなどはありますか?

カーネルさん:実はイベントや展示まわりを任せてもらえるようになったのが今年に入ってからなので、これからインプットする機会を増やして、どんどん面白い企画を発信していきたいと思っています。日本各地に行って、福岡初上陸の作家さんたちを呼び込んで…人と人とのパイプのような存在になれれば!

児玉さん:やりたいことは山ほどあります…!まだ言えないのでお楽しみに(笑)。

取材中もひっきりなしにお客様が訪れ、イートインスペースでゆったりと過ごされている姿が印象的でした。約2週間ごとに企画が入れ替わる展示スペースでは、福岡県内にとどまらず日本全国の作家さんたちの展示が行われているので、コーヒーとともにカルチャーに触れて、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょう。そして、コーヒー豆や展示内容について、ぜひ店員さんたちに質問してみてくださいね。

【STEREO COFFEE】
http://stereo.jpn.com/coffee/
福岡県福岡市中央区渡辺通3丁目8-3
TEL:092-231-8854
営業時間:8:00-22:00
定休日:不定休

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