動き出したばかりの「福岡映画部」がつくるコミュニティと映画業界の未来。

カルチャーに寛容な福岡の地で、昨年の冬に始動し始めたばかりの『福岡映画部』という団体があります。立ち上がって間もないながら、SNSで流れてくる情報を見ると何やらすでに賑わいをみせているようです。どのようなコミュニティなのか代表の石渡さんにお話を伺ってきました。

−まずは石渡さんご自身のことについてお聞かせください。ご出身やこれまでの経歴など。

出身は北九州市の若松区ですが、10年くらい前から福岡市内に住んでいます。前職はベンチャー企業で広告やアプリの営業をしていました。
ほんといい会社で、3年半勤め、リーダー職まで経験させてもらったんですが、次のキャリアを考え、会社を辞めるか迷っていた時にたまたま映画を観たんです。
いままでは観たらそれで終わりだったんですけど、その後に観た映画の評論をラジオで聴いてみると、映画ってこんな見方があるんだとか、自分が観た後に感じていた感想と、評論で学んだあとの映画の感想が変わってきたんです。“私が観てきた映画って、これまで思っていたものとは違うのかもしれないな”って感じて勉強し始めたのが2015年くらいです。そこからもっと映画自体を本格的に勉強したいなと思って、会社を辞めた後、フリーランスの営業代行をしたり、バイトをしたりしながら本やラジオ等で映画を勉強し、今に至るという感じです。

−たまたま観た映画で映画の面白さに出会ったんですね。ではもともと映画好きというわけではなかったのですね?

映画はもともと全然わからなかったです(笑)。映画館にも年に1回行くか行かないかで。でも今はたくさん映画を観ています。去年も250本観ました。映画って「人生の教科書」とか言われたりしますけど、映画そのものから学ぶことって多い気がします。その上で評論を聞いたり、映画の本を読んだり、福岡でやっているおもしろそうな映画のイベントに足を運んだりして映画のことを勉強しています。思いつく限りのことをやっていくようになりました。

−映画の魅力にはまり、「福岡映画部」を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?

“映画についてもっと知りたい、映画の楽しみ方を広げていきたい、それを人と共有したい”っていう思いからはじまりました。
今はSNSがあって当然の時代で、情報が多く選択肢も多すぎる。その中で身近な人の情報って特別だと思うんです。それって「自分の手の届く範囲にいる人たちと価値観を共有できてる」ってことだから。その人が面白いって言うなら観てみようってなりますよね。いろんな人に喋ってもらえて、映画の面白さを広げていくようなプラットフォームがあったら、楽しみ方も視野も広がると思ったんです。スタートは映画好きで集まって飲もうかみたいな感じで始まりましたが、ゆくゆくは映画部を活性化していって映画業界を盛り上げる一端を担えたらいいなって思っています。今はいろんな人が協力してくれて、ゲストを呼んで喋る場(イベント)を作るような感じになっています。

−共通のものでつながるっていいですよね。自分の価値観を認めてもらえる感覚もあって。

そうですね。以前、インスタグラムで映画のレビューを書いていたんですが、そうしたらちょこちょこSNS上で交流してくれた人がいたんです。実際に会ったことは無くSNS上での繋がりではあったものの“仲良くなれる気がする”って感じがあったんです。でもその人とぐっと距離が近づくのってやっぱり対面で会ったときだと思うんですよね。
同じ価値観で仲良くできそうな人と実際に会ってみると、そこで出来た関係性って友達とは違う、同士のような、仲間のような繋がりになると思っています。そこで出来たコミュニティは強く、何か起こりそうなワクワク感があるんです。私自身、そこの部分も楽しんでいます。

−「福岡映画部」にはどのような人たち集まってきますか?

いろんな人がいますね。映画祭やってますとか、映画作ってますとか、カメラマンやってますとか映画側の人もそうですし、多いのは映画について喋る場が欲しかったっていう人が「SNSで気になってたんだよね~」って感じで来てくれたりしますね。
職業や年齢が違っても、不思議なことに喋っていない人がいないんです。口下手な人でも喋りだしが映画の話だと話やすいんだと思います。みんな「自分のおすすめ映画はこれで、理由は・・」とか言いたいんですよね。しかも、それを聞いている側の人たちもそれに反応したくなるんです。映画の話をしていると必然的に自分の価値観を喋ることになるので、映画を媒介にして価値観を共有すると喋りやすいですよね。それも映画の楽しさの一つかもしれないです。

−楽しそうなコミュニティですね。でも私、映画は好きなんですけど、詳しくは無くて・・・。こんな素人が参加しても大丈夫ですか?

もちろんです。映画好きの度合いもいっぱいあって、たくさん映画を観ていることが偉いのかって言うとそんなこともないです。
映画を観た後、頭からずっと魔法の世界が抜けないとか、怖いとか、それって映画をめちゃくちゃ楽しんでいる状態なんですよね。魔法の世界から抜けられないのもそこにどっぷり浸かっちゃっているからだし、ホラーが怖いのはお化けを信じるほどにその映画のことを感じ取れているからなんですよね。それが浅かろうが深かろうが、受け取ったままに感じ取っているっていうのが、その人にとってのその映画に対する答えだと思います。
演出方法とか時代背景を知っていたら、また違った世界が広がるんですけど、それは後から少しずつ知っていくことで、それを知らなければ知らないだけ楽しみがあります。例えば私なんかは、レビュー等で評判の良い映画を実際に観るたびに「あ~観てしまった!知ってしまった!」ってなります(笑)。なので全てを知らない楽しみ方もあるので、純粋に映画を楽しんでほしいですね。

−知らないからこその楽しみもいいですね。とても楽しそうなコミュニティですが、大変なことはありましたか?

そうですね。映画部のイベントを開催している当日って、そのイベントだけで言うと最終日にあたるわけです。だからそれを作っていくまでの課程って、イベント運営の経験がない私は必要以上に苦しんでいるんです(笑)。
自分の中にあるほんの少ししかないイベントを作るためのスキルと、それを助けてくれる人たちの力をお借りしながら、自分の中身をすべて出すような感覚。この道のりがすごく大変です。
でも映画部は映画が好きな人が集まっているので、その気持ちを高めて、映画部自体までを応援してくれる人が熱く集まれば、何かが起こるんじゃないかと思っています。その“何か”がまだよくわからないですけど。それが楽しくてやっています。
今後は上映会も、もっとトークイベントもやっていきたいですし、呼んでみたい人とか、こんなこともやれるんじゃないかって話してみたい人もいっぱいいるので、そういう人たちとコンタクトを取ってたくさん福岡の映画の可能性について話してみたいです。

−福岡映画部の今後の動きが楽しみですね。

まだまだ勉強することがたくさんあるんですけど、今は日本や福岡の映画界に対して知りたいことがたくさんある状態です。なのでコミュニティをつくって一緒に成長し映画産業に貢献したいです。
今は映画館に誰も行かなくなって、配給会社にお金が入らない、そして制作会社にもお金が入らず、結局良い映画って作れなくなる危機感があります。面白いことをやれる人はいっぱいいて、考えもいっぱいあると思うんですよ。そこにお金を用意して映画を作ってもらう方法って、今まで通り制作会社にスポンサーがついて、テレビのような運営しか方法がないのかなっていう疑問が純粋にあって、もっとやりようがないかなって。クラウドファンディングもあるけど、個人からの出資って限界があると思うので、だからそのあたりを映画部のコミュニティで解決できるものを見つけられたらいいなって思っています。
良い映画をたくさん観たくて、いい映画をたくさん作ってもらいたいから、映画館に人が行くようになり、いい映画作りの背中を押せるような環境づくりのきっかけが作れたら、こんな嬉しい映画な人生他に無いんじゃないかな、なんて感じています。笑

映画を観るだけでなく、他者を巻き込むことでさらに映画の面白さにハマっていく。
その動きがもっと大きなものになれば、きっと面白いことが生まれてくると思います。今後の福岡映画界がとっても面白くなりそうな予感がしました。

【福岡映画部】
https://www.facebook.com/fukuokaeigabu/

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