【県外飛び出し企画】秘境!宮崎県椎葉村に残る歴史に触れる。(連載1/3)

この春(2018年)から宮崎県椎葉村ではじまるプロジェクトに、私たち福岡移住計画としても一部お手伝いさせていただきます。そのことに伴い椎葉村にお招きいただいたので、椎葉村の魅力を3本連載でお伝えしていきたいと思います。

皆さんは、宮崎県椎葉村をご存知だろうか。私たちは同じ九州圏ながら「宮崎の山の中にある村」という程度の認識しかなく、しかも長らく「しいばむら」だと思っていた。正しくは「しいばそん」。宮崎県では「村」を全て「そん」と読み、そんなふうに読むのは全国47都道府県で6県しかないのだそう。

宮崎県の北西部、九州中央山地に位置する椎葉村。村といっても約540㎢の広大な面積があり、福岡市約340㎢と比べると、実に1.5倍以上もの広さだ。そのおよそ96%を森林が占め、山深い地に2,700人ほどが暮らしている。
そんな椎葉村で、この春からおもしろい企画が始まるということで、1泊2日で椎葉村にお招きいただいた。そこで出会った椎葉村で暮らす人びとの姿や村の魅力、これからはじまる企画のことまで、全3回にわたってお届けしたい。

椎葉村へのアクセスは、福岡市から車で約3時間、熊本駅からは約2時間半ほど。1月の初め、その日は珍しく大雪が降り、しっかり雪化粧をした村に着いた。まずお会いしたのが、椎葉村役場地域振興課の椎葉豊さん。みんなに「豊さん」と呼ばれている。というのも、村の住人の3割ほどが椎葉さんで、「椎葉さーん」と呼びかければ3人に1人が振り返るから。それゆえ、この村では役場でもどこでも役職があっても、みんな下の名前で呼び合う。それが、椎葉特有のあたたかさや親密さにつながっているような気がする。

※椎葉村役場の椎葉豊さん(写真左)

「日本三大秘境」のひとつに数えられる椎葉村。山奥に伝わる平家の落人伝説を物語るのが、役場からほど近いところにある『鶴富屋敷』だ。今から800年以上前の1185年、壇ノ浦では平家と源氏の戦いが繰り広げられ、源氏が勝利。どうにか生きながらえた平家の一行は、険しい山を越えて椎葉村へとたどり着いた。しかし、源頼朝の命を受けた那須大八郎が、軍を率いて追ってきた。

※鶴富屋敷

大八郎がこの地で見たのは、農耕をしながら慎ましく暮らす平家落人の姿。そこで大八郎は幕府に「平家の残党は討ち果たした」とウソの報告をして、この地に屋敷を構えて暮らすことに。やがて平家の鶴富姫と恋に落ちるが、幕府から戻るよう命が下され、大八郎の子をお腹に宿した鶴富姫を残して帰京。鶴富姫は生まれた女の子を大切に育て、「那須」姓を名乗らせたという。
その悲哀の物語の舞台となったのが、この『鶴富屋敷』。現在の建物は今から300年ほど前に建てられたと推定され、国の重要文化財に指定されている。
隣接する『旅館 鶴富屋敷』に宿泊して特別料理を頼めば、なんと『鶴富屋敷』で夕食をいただくこともできる。地元の食材をふんだんに盛り込んだ夕食は、丹念に作られたものばかりで、どれもしみじみとおいしい。


椎葉村は、日本民俗学発祥の地でもある。民俗学の大家・柳田國男は明治41年の夏に椎葉村でフィールドワークを行い、翌年、日本民俗学の最初の出版物「後狩詞記(のちのかりことばのき)」を著した。当時、1週間滞在した村長の家は現存しており、庭には「日本民俗発祥の地」の碑が立っている。

役場から北へ車を走らせることおよそ20分、十根川の重要伝統的建造物群保全地区にたどり着く。椎葉型といわれる独特の建築様式の民家やどっしりとした石垣、馬屋、倉がのどかな山里の風景を醸している。国の重要伝統的建造物群保全地区に選定され、石垣を間近に見ながら散策できる。
近くの十根川神社の奥には、那須大八郎が手植えしたという「八村杉」がそびえ立つ。推定樹齢は800年、樹高は54.4mで国内2番目、幹周り19mで国内4番目という巨木は、国指定天然記念物。下から見上げてもカメラにはとうてい収まりきれない大きさで、神聖な空気感に包まれている。

※小さく写っているカップ酒と比べると太さがわかる。

細い道を車でさらに登ると、標高700mの山腹にあるのが大久保集落。その奥で堂々とした姿を見せる日本一の大ヒノキはまさに圧巻だ。こちらも樹齢800年で、樹高32m、幹周り9.3mの天然記念物。無数の枝や幹が複雑に絡み合いながら大空へとのびていく様は、雄大ながらもどことなく女性的な優しさをたたえている。聞けば、集落を開拓した女性の墓印の木として大切に奉られているということで、なるほどと納得した。


今回は雪のために行けなかったが、「大いちょう展望台」から見渡せる棚田、「桑の木原峠」などで見られる雲海、清らかな水が流れる滝など、椎葉村には大自然が織りなす絶景に出会えるスポットがいっぱい。ツリーハウスを体験できる「トム・ソーヤーの森」なんていう、冒険心をくすぐる遊び場もある。

次回は、この地で育まれてきた人びとの営みや、ここで暮らす人たちの声をお届けしたい。

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