【ぼくらが連れて行きたい店vol.30】目指すは誰かの「自慢」のお店。(PLASE.STORE)

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
本コーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

「ぼくらが連れて行きたいシリーズ」では初となる飲食店以外の紹介が始まります。移住に関わらず、その地域で暮らしていくためには“コミュニティ”というキーワードは非常に重要だと考えています。ただ商品を紹介するだけでは伝わらない“店主(人)”の人柄や想いを紹介することで会いに行きたくなるコミュニティの入り口を記事を通してつくれればと思います。
初回を飾るのはぜひ会いに行ってほしい「PLASE.STORE(プレイズストア)」さんです。

朝8時。自然光が差し込む大きな窓、コーヒーの香り漂う店内には選び抜かれた文房具がずらり。西鉄高宮駅から徒歩5分、大楠エリアののどかな住宅街に佇む「PLASE.STORE(プレイズストア)」は文房具のお店です。

※大楠店

カラフルでポップな印象のアイテムが揃う鳥飼店と、シンプルながらデザイン性の高いアイテムが揃う大楠店。趣の違う2店舗は随所にこだわりを感じる素敵なお店ながら、お店を始めたきっかけは「逃げて逃げた結果」なのだと店主の高山さんは照れ笑い。いったいどんな経緯をたどってきたのでしょうか。

−逃げた結果がお店だった、とのことですが、どのようなきっかけでお店を始められたんですか?

「お店を始める前、百貨店内にあるインテリアショップに勤めていたんですが、当時の上司が理不尽なことですぐ怒る人で。フロアの端から端まで響く声で怒鳴られたこともあります(笑)。その人のもとで働き続けられないから辞めたいと伝えても辞めさせてもらえなかったので、じゃあなんて言ったら辞められるのか考えて“あ、お店を始めよう”って(笑)」

−それはまた予想外のきっかけですね…!

「ちょうどその頃、インテリアショップで働くかたわら、プロダクトデザイナーになりたくて、カメラマンの方とシェアする形で桜坂に事務所を借りていたんです。場所はあるしお店をやろうと、トントン拍子でインテリアショップを辞めて、ロンドン、オランダ、スウェーデンに買い付けに行きました。買い付けといっても右も左もわからないので、普通のお店や蚤の市で商品を買うくらいで大したものは買ってこれませんでした。その時にオランダから送った荷物を送った箱はどうしても捨てられなくて、まだお店に置いてあります」

−思い出の箱ですね。

「全然荷物が届かなくて不安になるくらいだったので、いろんな意味で思い出深いです(笑)。買い付けから戻り、事務所を使って雑貨・キッチン用品・ベビー用品など幅広く取り扱うお店を始めました。オートロックマンションの一室ということでなかなかお客さんが来なかったんですが、某雑誌の編集の方がどこからか聞きつけて取材に来てくれたんです。そして原稿があがってきた時に、なぜか『文房具専門店』と紹介されていて。普段の僕なら、いやいや専門店じゃないし、ってなるところなのですが、その時はなぜかそっちの方がいいかも、珍しく人の言うことを聞いてみよう、という気になったんですよね」

−取材当時、商品に占める文房具の割合はどのくらいだったんですか?

「多分6〜7割あったんでしょうね。すでに潜在的には文房具屋をやりたいと思っていたんだと思います。お店を始めるにあたり、東京や福岡のいろいろなお店の方に、初めましてながら「仕入れの仕方を教えてください」と相談しに行っていました。中でも銀座で文房具屋をされていた方には、本当にたくさんのことを教えてもらいましたね。その方が僕の実質の師匠です」

−いきなり海外に買い付けに行ったり、初めましての方に相談してみたり、その行動力が羨ましいです。2011年に桜坂でお店を始めて、2012年に鳥飼に移転オープンされたとのことですが、なぜ鳥飼を選ばれたのでしょうか?

「実は、鳥飼には縁もゆかりもないんです。路面店が可能で、カメラマンさんとシェアできるよう2階建ての物件で、天神まで自転車で行けて家賃の安いところ… そんな当時の条件にすべて当てはまったのが、たまたま鳥飼の物件だったんです。でも、不思議な話、コーヒーの飲めない僕が初めて飲めたコーヒーが『トモノウコーヒー』だったのですが、鳥飼の物件の並びに『トモノウコーヒー』の店舗があって。たまたまだけどたまたまじゃなかったというか、運命めいたものを感じましたね」

−いまも大楠店ではトモノウコーヒーの提供や、トモノウさんによるコーヒーの淹れ方のワークショップも開催されていますもんね。そこから大楠店を出すまではどんな経緯があったのでしょうか?

「鳥飼店は500円以内で買える小さいものがたくさんある、キヨスクのようなお店なんです。さまざまな人が待っているバス停のような、文房具を通して老若男女、知らない人同士が繋がるようなイメージで、“STATIONARY WONDER STOP(文房具のバス停)”をコンセプトにしています。5坪という小さなスペースなのでお客さまとの距離が近いんですが、当時はそれがだんだんストレスになってしまって。鳥飼店ができてから1~2年で、広いお店がつくりたいと考え始めていました。それまでは毎朝8時オープンでしたが、月曜のみ8時、それ以外は12時オープンに変更して、朝の空いた時間を使ってスタバで次のお店の構想をずっと考えていました。広くて、緑が見えて、文房具が実際に使える空間をって。そんな時とあるイベントに出店して、隣で出店されていた『うーぱんベーカリー』の方に、“うちの移転先の隣が空いてるよ”と教えてもらったんです。興味本位で見に来たら構想していた通りの物件で、ここでやりたい!とすぐに決めました」

−そうして趣の違う2店舗ができたんですね。

「大楠店は、僕が朝スタバで過ごしていたようなことができるお店にしたかったんです。出勤前でも立ち寄れるように朝早い時間から開いていて、コーヒーが飲めて、足りない文房具があればその場で買えて。そこにある文房具が間違いのないものばかりだったら、迷う必要もない。次はそんなお店にしたいなといつも考えていました」

−最近は雑誌や絵本の取り扱いも始められて、またお店の幅が広がったように感じます。

「文房具屋だからこうじゃないと、という考えはあまりなくて、基本的に自分のやりたいと思ったことをやっています。これまでも店頭に置いている私物の本をレジに持ってこられる方が多くて、その度に商品じゃないですと言うのが申し訳なくて。本屋になろうと思っているわけじゃないし、本は本屋で買った方が楽しいと思っているので、雑誌はバックナンバーしか置いていません。逆にバックナンバーを売っているお店はなかなかないので、お客さまにも喜んでいただけてます」

−お客さまとの関わりの中で、自然とお店の幅が広がっているんですね。2店舗それぞれのさらなる展開が楽しみではありますが、最後にこれからの目標を教えてください。

「僕自身、これまでお店以外に何も続けてきたものがなかった分、「誰かのステータスになりたい」という気持ちがあるんです。先日お店に来てくれた22歳の男の子が、“お兄さんに会えてすごい良かったです”って言ってくれて。会えて良かった!って存在に感謝されたら、もうそれだけで生まれてきた意味があるじゃないですか。自分も親になったのでわかるんですけど、自分の子どもが誰かにそんな風に思われたら嬉しいので、父の誕生日に父に報告しました。自分の子どもがそんなん思われて嬉しいやろって(笑)。そこが究極の目標ではないけど、お客さまが「あのお店の常連だぞ」って自慢したくなるようなお店にしていきたいですね」

選び抜かれた文房具は、どれも日常をちょっと楽しく豊かにしてくれるものばかり。もちろん、歯に衣着せない物言いの店主の人柄もお店の大きな魅力のひとつです。ノート片手に自分と向き合いたい時、大切な人を思い浮かべて手紙をつづる時、自分にちょっとしたご褒美をしたい時…そんな時はぜひプレイズストアへ足を運んでみてくださいね。

【PLASE.STORE TORIKAI】
http://plase-store.com/
福岡県福岡市城南区鳥飼5.3.1
TEL:092-407-8087
営業時間:12:00-20:00
定休日:日曜

【PLASE.STORE OOKUSU】
福岡県福岡市南区大楠3-7-16
TEL:092.753.8275
営業時間:8:00-18:00
定休日:水曜

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