「ママとこどもの良い暮らし」は、“「子連れでお出かけ」をもっと楽しく!”するために活動する『ママリボン』と福岡移住計画の共同企画です。子連れママ&パパたちも福岡の街に自然に溶け込んで、みんなで多様性をもっと楽しんでいくためには?子連れでも過ごしやすいお店などを紹介しながら、暮らしやすい街の姿を連載で探っていきます。
作れるものは全て手作り
今回は、総菜や自家製の天然酵母パンなどを販売する『デリ・マシェリ』をご紹介します。2012年にオープンした舞鶴店に続き、2016年には渡辺通り店がオープンしました。
今回伺ったのは、天神から徒歩圏内の渡辺通り店。
壁にはカラフルなモザイクタイル。広々とした明るい店内に並ぶ色とりどりの料理は常時約20種類。一つ一つ違う作家物の大皿に盛り付けられています。
“ニンジンのくるみ白和え”“鯖のみぞれ煮”…。家庭で作るにはちょっと気おくれするような、手間のかかるメニューが並びます。どれも本当に美味しそう。OLさんやサラリーマンはもちろん、お料理上手の奥様方にも人気なのがうなずけるラインナップです。
※渡辺通り店はイートインコーナーも充実(8席)
“こんにちは”と迎えてくれたのは、『デリ・マシェリ』のオーナーで、料理を作るパク・スンリョンさん。テレビ番組の料理コーナーを担当した経験を持ち、福岡では料理研究家としても知られた存在です。今回は、2人のお子さんのママでもあるスンリョンさんにお話を伺いました。
−どれも美味しそうですね。 中でも気になったのが“ヤンニョムチキン”。看板メニューだそうですね。
「総菜メニューは週替わりですけど“ヤンニョムチキン”はいつもあります。見た目インパクトがあるでしょう?でも、辛くないんですよ。コチュジャンをベースに甘みのあるものなど数種類の調味料を使ったオリジナルのたれで味付けをしています。こどもさんから年配の方まで人気ですね」
※看板メニューの“ヤンニョムチキン”。一度食べると虜になる味と評判。
−『デリ・マシェリ』では、食材も全てスタッフが切るし、料理にあわせるタレまで、作れるものは全てお店で手作りされるそうですね。
「そうですね、それは本当にそうです。全て食材を切るところから始めますよ。買って来たものを使うっていうのは求められていない気がします。“自分がそれを食べたいかな?”ってやっぱり思いますし。“こどもに食べさせたいかな?”とか。スタッフも自分たちの分をよく買って帰るんですよ。私も家族用によく持って帰ります。お昼にも毎日食べていますし。自分が食べたいもの、大事な人に食べさせたいものを作っているんでしょうね」
安心して選べる“デリ”を作りたい
−以前は専業主婦だったスンリョンさん。どうしてお店をすることになったんですか?
「元々は自宅で料理教室をしていました。教室の日は生徒さんが家に来てくださるし、教室が休みの日は友達が食べに来ない日は無いくらい…とにかく毎日、家で誰かをもてなしていたんです。こどもが小さかったから、行く場所が無かったというのもあって。でも、それが楽しくて。もてなし好きだったんですかね。夫は、とにかくサービス精神旺盛。私の料理好きと2人のもてなし好きがこうじて、お店をすることになりました」
−どうして“デリ”だったんですか?
「夫が学生の頃、ニューヨークに住んでいた時期があったんです。その時にすごく“デリ”が好きだったみたいで、よくその話をしていました。それで、日本に来てデリスタイルのお店に行ってみたら、グラムで値段が決まっていて、しかもその値段の高さにびっくりしていて…。家族分やっぱり買えないですもんね。夫としては、学生時代にニューヨークで安心して選んでいた、あの時のデリがすごく好きで。だから、そんなお店を日本でやりたいっていうのがあったんです」
−『デリ・マシェリ』では、重さでは無く容器ごとに値段が決まっているんですよね。
「はい。容器と料理を選んでもらって、スタッフが詰めるスタイルです。重さを量らずに入るだけっていうと、ちょっとしか入れてもらえないんじゃないかって思われるかもしれないですけど、モリモリ入れるのが私たちなので(笑)。いつも“安心してください、さみしいことはしないので”って思いながら詰めていますよ。お客さまも、そんな私たちを見てニコッと笑ってくれます。大盛りもサービスですし、そこのところは気持ちよく…ね。量り売りはしないって言って、ケチケチはしたくないですもんね」
※渡辺通り店にはランチメニューも。こちらも好きな料理をモリモリ入れてくれる。
−そもそもスンリョンさんが料理に目覚めたのはいつ頃ですか?
「中学生くらいで、まずはお菓子作りに夢中になりました。それが、結婚して夫の晩ご飯を作る時になって、今度は料理に夢中になったんです。毎日、早く晩ご飯を作りたくて仕方なくて!料理本をどっさり積み上げては、それを読むのが幸せの時間でした。あれも作りたいこれも作りたい…って。365日、同じもの作ったことないって夫が言っていたんですけど、本当にそうかもしれないです(笑)」
親子でゆっくりできる“居場所”になれれば
−2歳の息子とイートインコーナーでお弁当を食べようとすると、こども用のお皿やカトラリー、座布団まで持ってきてくれました!本当に居心地がいいお店ですね。
「やっぱりお子さま連れだと、色んな場所で居心地の悪い思いをしているだろうなって。だから、そうじゃなくありたいんですよね、やっぱり。ベビーカーで来られたら走ってでも扉を開けるとか、そういうのが嬉しいかなって。自分もそうされたら嬉しいですし。できる限りのことは全部してさしあげたいとは、本当に思いますね。それは全ての方にそうですけど、やっぱりお子さま連れの方って大変ですから。“ゆっくりしていいんだ”って感じて欲しいんです」
−本当に幅広い世代のお客さんが利用されていますよね。小さなこどもと一緒に来店するママやパパも多いですか?
「お子さま連れのお客さまは、すごく多いです。抱っこひもで赤ちゃんを抱えて…とか。そういう方にも、是非利用して欲しいです。“今、本当に大変な時期だろうから…”って思うので。誰かが作ったものを食べたいって思う気持ちも分かるし。」
−でも、なかなか食べに行けないし…。
「小さなお子さま連れの方が来られるのを見ると“そうだよな~、この時期って食べに行く所、無かったもんな~”と思い出します。だから、うちの料理で少しでも心を満たしてもらえたらなって。パンも、卵を使っていないものもたくさんあるし、粉や材料にもすごくこだわっているので、離乳食とか色々食べ始めのお子さんにも、安心して食べさせてあげて欲しいです」
※自家製天然酵母パン。人気は「あんマフィン」。
料理で“喜び”と“安心”を届けたい
−2人のお子さんのママでもあるスンリョンさん。お店を始めるのに不安はなかったですか?
「始めるまでは不安の塊でした。以前は、お店をするなんて考えられなかったですし、まさか自分がフルタイムで働くなんて想像もしていませんでした。お店を始めてからも、ずっと仕事が終わらなくて、夜まで保育園にお迎えに行けない日があったり…。こどもたちに悪いなって思うこともありました。でも周りに助けてもらいながら何とかやってきて、今はこどもたち、お店のことが大好きなんですよ。料理も大好きで。それを見ていると、こどもって親が思っている心配と全然違うんですね。こういう風に育つんだなぁって思います」
−スンリョンさんにとって“料理”とはどんなものですか?
「食べるって毎日のことだから、私の料理が色んな場面で、皆さんの役に立てていたら嬉しいなって思います。私の料理で喜んでもらいたいし、安心してもらいたい。手抜きできる時はどうか手抜きしてくださいね」
お話をしていると、心のコリみたいなものが、ほろほろっとほぐれていく。スンリョンさんは、まるで桜の花のような人。そんなスンリョンさんが作る料理を食べると、日々の疲れも吹き飛んで、さぁ育児がんばるぞと思えるから不思議!OLさんやサラリーマン、年配のご夫婦や赤ちゃん連れのパパ・ママ…たくさんの人の心をつかむのも納得の、味と優しさなのです。全ての人を温かく迎えてくれるこの場所で、疲れた心と体…ひと息つきませんか?
【デリ・マシェリ】
『渡辺通り店』
福岡県福岡市中央区高砂1-3-1 1階
TEL:092-534-7311
営業時間:10:30-20:30
定休日:日曜『舞鶴店』
福岡県福岡市中央区舞鶴2-8-29 1階
TEL:092-714-1017
営業時間:11:00-19:30
定休日:日曜