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【ぼくらが連れて行きたい店 Vol.19】 対話を大切に。生産者の想いをいただける(クロマニヨン)

2017.4.6  

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
このコーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

一人一人の個性

『クロマニヨン』は、大濠公園に近い福岡市中央区大手門の路地にひっそりと佇む自然派ワインと料理のお店です。今回は、この店のオーナーの市村大輔さん・仁美さんご夫妻にお話をお伺いしました。

−私自身、移住直後にお店に連れて来てもらいました。知る人ぞ知るお店という雰囲気ですね。この場所にお店をオープンしたきっかけは何ですか?

大輔さん:「十数年、神戸で料理の修行をしていました。出身が北九州で、独立を考えていたので福岡を見てみようかと。準備している間に東日本大震災が起きたタイミングでいろいろと考えることはありましたが、自分たちなりにできることをやろうと2011年5月にオープンしました。大手門は、大きな公園や港があるのが神戸に雰囲気が似ていました。小さな路地まで歩き回って。その時はまだ飲食店が少ない街だったけれど、苗を育む場所として大手門をとても気に入りました。知り合いもいなかったのですが、地道にコツコツと経営する中で、色々な人に助けてもらって今に至ります」

−お店のコンセプトは何でしょうか?

大輔さん:「うーん…特にないと言いますか、生産者、お客さん、スタッフ、自分も含めて人を大切にしています。名前のない人なんていない。一人一人の個性を大事にしたいと思っています」

仁美さん:「お客さんとのコミュニケーションを大切にしています。メニューやワイン1本を選ぶにも、話しながら決めていくことも多いです」

大輔さん:「それは食材に対しても同じで、対話が大切だと思っています。取引先は大きな括りで言うと九州が多いですが、選ぶ基準というのは技術より人柄を重視しています。南阿蘇、鹿児島、糸島などご縁のある生産者と取引させていただいてます」

−1本のワインを選定するにも対話に重点を置かれているんですね。

仁美さん:「はい。できるだけ生産者と会うようにしています。ストックは1,000本ぐらい。酵母が生きていてそれぞれバイオリズムがあるので、美味しく飲めるタイミングが違います。なので増えちゃうんです(笑)。
生産者から直に食材を買い、生産者を知るというのは、ワインの生産者から教えてもらったことです。哲学や想いを持って1本1本作っていて、昔“あなたが好きなのはこれ”と私だけの1本を選んでくれたことには感動しましたね」

↓市村さんご夫妻の人生を変えた生産者のワインをご紹介いただきました。

(左)南フランス・ルイジュリアンさんの1本。村の人が飲むために作られている生活に根付いたワイン。
(中央)山梨県・岡本英史さんの1本。「グラス1杯のワインで地球が変わる。」という哲学で作る生産者。
(右)スイスとフランスの国境近くの町・ジュラに住む“自然派ワインの神様” オヴェルノアさんの1本

感性と豊かさと

−クロマニヨンの名前の由来は何ですか?

大輔さん:「大学の歴史学の先生が少数であったクロマニヨン人が残ったのは感性の芽生えがあったからじゃないかと書いていて。絵を描いたり、仲間の死を悲しんだり、美しいものを美しいと捉える感性。料理とワインも感性で自分がどう感じるかを楽しんでほしいという想いをクロマニヨンという名前に込めました。
習ってきたのはフランス料理だけど、ジャンルはないです。食べてどう感じるか、感性を大事にしてほしいです。


※店内

−お店をやっていて嬉しかったこと、大変なことはありますか?

大輔さん:「毎日嬉しいです。“良かった”と言われるのも、“ちょっと違った”と言われることも素の言葉を聞けるのは嬉しいです。生産者がふらっとお店に来てくれることもあるので、それも嬉しいですね。
大変なことも毎日(笑)。こんなにお店の人が話しかけてくるなんて!とお客さんから驚かれることがあります。卒のないサービスを求められた時にどうしようとなるけれど、帰るまでに一つでも何か持って帰ってもらいたいなと思っています。

−新しい取り組みや将来の目標はいかがでしょうか?

大輔さん:「生産者をヒーローにしたいと思っています。クロマニヨンの空間だけでは皆に知ってもらうことはできません。なので知ってもらうアプローチとして、生産者が前に出て、その食材で飲食店がその場で調理をする『ナチュラルピクニック』というイベントや、衣食など遊べる体感型の展示会を試みています。あとは、みんなが来れるようなお店もやってみたいですけれどこれは巡り合わせですね。
将来の夢は山で一つの集落を作りたいです。自分たちで全ての循環ができるような」

仁美さん:「自分たちで生きていける力をつけたいです。一人だとできないこともみんなで集まればできることがあります。目指す方向が同じ人たちがそれぞれの得意分野を生かして、一つのコミュニティを作りたいです。

大輔さん:「豊かさとは何かをいつも自問自答しています。お金はそれ自体ではなく、お金から生み出されるサービスに価値があると思うので、サービスのバリエーションを持っていたいと思います。

“時間をかけて丁寧に生活をすることがすごく豊か。人が人の生き方を変えるんだから自分達も人を大事にしたいと思っています”と話す市村さんご夫妻。
この想いが提供する料理とワインにも表現され、多くの人を惹きつけるのかもしれません。

【クロマニヨン】
http://www.wine-cro.jp/
福岡県福岡市中央区大手門1丁目9-31-1F奥
TEL 092-406-7487
営業時間:18:00〜24:00 定休日:月曜日

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牧野真希子
東京都出身。
京都での暮らしを経て、2015年に夫婦で福岡・今宿に移住。フリーライターとして美容や健康、料理や暮らしなど女性が輝く情報を発信。ベリーダンサーとしても活動中。元臨床心理士。人の話を聴くことが好き。