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複業スタイルで起業
—赤司隆幸さん・衣美さんご夫婦は香春町に移住して6年目なんですよね。今は木工製品作りに、カフェ、カメラマンもされているそうですが、どうして移住先に香春町を選んだのでしょうか?
隆幸さん:「以前は近くの赤村という村に住んでいました。当時から木工とカメラマンはしていたのですが、小屋のような部屋に住んでいたので広い物件を探していて。香春町のこの採銅所地区あたりをよく通っていて、“このあたりがいいなあ”と思って知り合いに声をかけていたら、たまたまこの家が空いたのを教えてもらったんです」
—カメラマンのお仕事について教えて頂けますか?
隆幸さん:「大阪、広島、山口、福岡では小倉、と写真の仕事で3年ずつくらい転々としてきました。結婚式場カメラマンだったんです。その仕事を辞めてからも、スタジオとの契約とかカメラマン同士のつながりとかで仕事が入っています。大体土日はほぼ撮影で、北九州市とか福岡市とかに出かけています」
—香春町に来てカフェを始めたんですね。
隆幸さん:「はい。奥さんが料理関係の仕事をしていたので、カフェはいずれ始めようと思っていました。この『カフェ コノハ』では料理は彼女が担当で、飲み物とピザやかき氷とかは私が担当しています。
隆幸さん:「あれこれ忙しくするのが好きなので、仕事の掛け持ちは僕の性分に合っているんです。木工は木に向き合う仕事ですけど、写真やカフェは人に向き合う仕事で、気持ちも切り替えられていいですね。始める前には特に休みは要らないと思って始めたので、全部遊びで、全部仕事なんです」
—香春町への移住は、衣美さんは反対されなかったんですか?
隆幸さん:「反対すると思っていたんですけど、全然しなくて(笑)“生活がこう変わるけど、いいの?”って念を押したんですけどね、僕よりも奥さんの方がもっと“なんとかなる”と思ったらしくて」
衣美さん:「彼は赤村に住んでいて、私は北九州市に住んでいました。それで一緒に住む家を探していたんですけど、私がこの物件を見る前に旦那さんの中ではもう決まっていたんです(笑)“知り合いの紹介でいい家が見つかった”ってすごくキラキラして話すから、“じゃあ、いいんじゃない?”って。ここでの暮らしに自信があったというよりは、2人一緒だったら大丈夫かなって。
旦那さんとは小倉で同じ職場で出会って、彼はカメラマン、私はバンケットで食事を運ぶ仕事をしていました。その頃、彼は結構体調を崩していたんです。でも仕事を辞めて赤村に移ってからは、すごく元気になって。だからイナカ暮らしの方が合うのかなとも思っていました。
でも最初にこの家を見たら、“うわぁ〜”って思いました(笑)ほんとにひどかったんです」
衣美さん:「彼の赤村の家はすっごく狭かったけど、まだキレイでした。でも当時ここはボロボロだったし、トイレも行けそうにない状態だったし、コンビニも無くってすごく静かで、最初は“帰りたいな”って思いました。
それからお互いの両親とかが手伝ってくれて、空き家に残された家財とかの7トンを片付けました。やっと住めるようになって、そしたらだんだん気に入って周りの人もすごく良くしてくれて、それで慣れましたね。私たちの結婚式もこの家から式場に行ったんですよ。今は遊びに出て帰ってくると“やっぱり家が落ち着くね”となります。旦那さんが思い描いていた暮らしはこれだったんだって思いました。今は1歳半と5歳の2人の子供も一緒に、楽しく過ごしています」
考えすぎず、やってみる
—なんとかなる大丈夫、と香春町で二人暮らしが始まったんですね。移住先でお店も新しくスタートするのは、計算してうまくいきそうだったんですか?
隆幸さん:「計算したら始められないですね。いざ始めてみたら、結果的に遠くの方が口コミで来てくれる場所になりました。小倉方面とか八幡とか、最近は田川とか。それはただ“やれるんじゃないか”くらいで始めたんです」
衣美さん:「移住に向くのはあまり何も考えない人かな(笑)なんとかなるさくらいの人の方が、いいと思います。実際なんとかなります」
隆幸さん:「僕は写真の仕事があったから、何とかできたのかな。木工の木を仕入れている所も、赤村の時からつながりがあるところです。場所は変わりましたけど、元のネットワークは持ち込んだかたちになりました」
—衣美さんは元々調理の仕事をされていたそうですね?
衣美さん:「北九州市折尾の自宅から小倉に通って、フレンチ料理の厨房や和食居酒屋の調理接客でバイトをしていました。
今まではお店のマスターたちの味を求めてお客さんが来ていましたけど、お店を始めてからは私たちの料理と私たちに会いに来てくれる人たちが増えたので、うれしいですね。
どこででも食べられそうだけど、ここでしか食べられなくて、また食べに来たくなる料理を作りたいです。」
隆幸さん:「奥さんは料理の時には職人肌なんですよ。和食の板前みたいな感じで」
—イナカでお店を開いてよかったと思うのはどんな時ですか?
衣美さん:「お客さんがほんとうに素敵な方たちなんです。わっちゃわっちゃしていなくて、ゆったりされてます」
衣美さん:「都会でやった方が回転率が良くて儲かったりするんでしょうけど、たまたまフラっといらっしゃるお客さんはいなくて、私たちのお店目がけて来てくださるお客さんに支えられています。私たちが“こんなお客さんに来てもらいたい”と思うようなお客さんばかりです。
景観とか静かさも求めてこのカフェにいらっしゃるお客さんが、笑顔で帰っていくのを見れるのがいいですね」
—これからやりたいことや、予定していることはありますか?
隆幸さん:「最近、JAの粟崎さんに園芸部会に誘っていただいて、園芸部員になったんです。今自分たちの畑もあるんですけど、これからタケノコも掘ろうと思っています。仕事は増えますけど、なんとかなるかなと思っています。
あともし協力隊の村井さんが考えているゲストハウスができたら、カフェと相乗効果でいいですよね。今うきは市がそんな感じで、いろいろとできてつながっているじゃないですか。おしゃれなスポットが点々とあるみたいな。香春町もそんな感じになるといいなと思います。」
衣美さん:「これからやりたいことはいっぱいあるんですよ。まずお店をキレイにしたいですね。この古民家の雰囲気はそのままで、奥に隠れている土間のキッチンをカウンターキッチンにするとか」
香春町に暮らそうという方にメッセージを頂けますか?
隆幸さん:「都会で特に欲しいものがなくなった人には、香春町はいいと思います。ネットで買い物できるし全然不便はないです。
小倉で仕事がある人は通勤も全然苦にならないと思いますね。私も撮影でほぼ毎週行っています。小倉までの距離圏だったら全然大丈夫ですよ。
僕たちが移住してきた時には地域おこし協力隊のサポートとかなかったですけど、今は村井さんたちがいるからもっと安心じゃないですかね。子供の医療保険が小学校就学までに広がったりとかも、暮らしやすくなっています。
衣美さん:「香春町はイナカ過ぎず、ちょっと行けば小倉や福岡があります。去年コンビニもできたので、氷とかが急に必要になっても買いに行けるから便利ですね。
イナカで大変なのは虫が多いことですかね(笑)あと病院まですこし距離があります。最近は隣の田川市に小さな医院を見つけて、そこは早くて丁寧なので家族で通っています。
空き家の大掃除とかも大変でしたけど、今だったら地域おこし協力隊も片付けをサポートしてくれますよね。いいなあ!(笑)」