赤みを帯びた頬に、吸い込まれそうな美しい瞳。
主線を赤でかくそのイラストは、1度見ると忘れられないインパクトを残します。生まれ育った福岡で今も活動を続けるイラストレーター・アサノマイコさん。九州内に留まらず、活動の場を全国区に広げている彼女に、福岡で活動を続ける理由をうかがいました。
―全国的にご活躍ですが、最初からイラストレーターを目指されていたのでしょうか?経歴についてもお聞かせください。
実は専門学校を卒業した後、福岡市内で販売員をしていました。不思議なことに、そのころから何となく「いつかは絵を仕事にするのかも」って思っていたんです。自分でもよくわからないんですけど…幼い頃から女の子のイラストばかり描いていて。年頃になってからは1度イラストから距離を置いたんですけど、美術はずっと得意でした。それから、販売員をしている頃から写真の模写程度の絵をSNSにアップするようになって。するとそのタイミングで、よく行く居酒屋の店主さんがギャラリーのオーナーと知り合いで「よかったら展示してみたら?」とお誘いを受けたのを機に、イラストの道に進むべく本腰を入れて取り組むようになりました。
―人とのつながりがきっかけとは、福岡らしいですね!
そうなんです。福岡って本当に横のつながりを築きやすいですよね。そこがすごくいいところですし、フリーランスにとって活動しやすいポイントのひとつかもしれません。
―どういう場所で人とつながることが多いですか?
やっぱりお酒の場が多いですね。人との距離が近いので、先程の話のように単純に飲んでいて仲良くなることもあります。そのほかは、お店のイベントや周年パーティなどが多いですかね。ひとり間に挟めばだいたいみんなとつながってしまうくらいコミュニティが狭いので、自然とどんどんつながっていきます(笑)
コミュニティといえば、飲食店に行くと必ずといっていいほど、ほかの飲食店のショップカードが店頭に並んでいるんですけど、それも福岡ならではの光景だと聞いたことがあります。
―そういう“つながり”や“コミュニティ”という意味では福岡は活動しやすいですか?
すごくしやすいです!クリエイターに限らず、起業したりお店を持ったりさまざまなことにチャレンジしやすい場所だと思います。物価が安いのはもちろん、人とつながりやすい環境なので、人づてでお仕事をいただくことがすごく多いです。それから、福岡の情報を発信するローカルメディアも多いので、展示やイベントなどを開催すると話題になりやすいというのもポイントですね。以前は上京することも考えた時期があったんですが、「福岡でもできるじゃん!」ってわかってからはその思いはなくなりました。
―逆に福岡で活動するデメリットはありますか?
“ギャラリー”という名のつく場所は少ないかもしれませんが、カフェにギャラリーが併設していたり、イベントや展示がウェルカムなお店が多いので、展示場所にも困りませんし…。強いていえば、大きなギャラリーがないということくらいですかね。
―そういった環境の中でお仕事の幅はどのように広げていっているんですか?
実は東京のお仕事より九州内のお仕事が多いんです。「地元のクリエイターを使いたい」という気持ちが強い方が多く、フリーペーパーの表紙や、ショッピングモールのビジュアルなど、九州各地からお仕事をいただいています。応援してくれる人がすごく多くて励みになりますね。それから、インスタグラムの力もやっぱり大きいですね。「インスタグラムを見て…」とお仕事をくださる場合も多くて、SNS様様です(笑)。そうなってくるとますます場所は関係ないんだな、って思いますね。
―福岡のイラストレーターさんたちはパッと見て誰が描いたイラストかわかるような、個性が強い方が多いように思います。
イラストレーター同士で話していてすごく思うんですが、みんなとにかく熱いんですよ!表向きはそうでもないんですが、静かに燃えている感じがします。東京のように情報に溢れていない分、すごくマイペースに創作活動ができるというのもあるかもしれません。たぶん、自分が情報の海の中にいたらうっかり流されてしまうと思うんですが、福岡にいると距離が遠い分、冷静に見ることができるんですよね。だからそれぞれ自信を持って個を貫けるんじゃないかな。
―最後にこれからの夢を教えてください。
小説の表紙や、パッケージなど、お店に並ぶようなお仕事をもっともっとやりたいなって思っています。今も十分楽しいんですけど、もっと仕事が楽しめるようになりたいです。もちろんこの福岡の地で!
【アサノマイコ】
http://asanomaiko.tumblr.com
Instagram:https://www.instagram.com/asanomaiko_/