「ママとこどもの良い暮らし」は、“「子連れでお出かけ」をもっと楽しく!”するために活動する『ママリボン』と福岡移住計画の共同企画です。子連れママ&パパたちも福岡の街に自然に溶け込んで、みんなで多様性をもっと楽しんでいくためには?子連れでも過ごしやすいお店などを紹介しながら、暮らしやすい街の姿を連載で探っていきます。
今回は、福岡市南区長住にある、オシャレママのためのユーズドセレクトショップ『POST & POST(ポストアンドポスト)』をご紹介します。
2015年、博多区のショッピングセンターにオープンした『POST & POST』。こども服やベビー用品・おもちゃ・マタニティグッズまで幅広く揃うお店です。センスの良さと商品の質の高さで、またたくまに福岡ママの間で評判に。通称“ポスポス”と呼ばれ一躍人気者になったお店は2016年秋、4倍以上の規模(185坪!)に成長して、現在の南区長住に移転オープン。オープン初日は開店前から行列ができたとか。今回は、2歳の男の子のパパでもある、代表の吉田照喜さんにお話を伺いました。
大切な“物”を売りたくなる場所に
−いわゆる“こども服のリサイクルショップ”と聞いてイメージするお店とはかけ離れた雰囲気で驚きました!明るくてかわいくて!
「周りのママたちに色々聞いてみると、リサイクルって子育て中のママには嬉しいんだけど、実際に使えるお店ってのが意外に少ない…という声が聞こえてきて。“そりゃ何故?”って聞くと、“そもそもお店に入りにくいし、入っても清潔感とはほど遠い上に十分な品ぞろえも無い…”と。僕も色んなお店を周ってみたんですけど、確かにそうだなって。そういうお店に対して、たとえ使わなくなったものだったとしても、僕は息子の物は売れんなぁ…と思ったんです。子育てって使う服やグッズに、すごく思い入れがあるじゃないですか。だから、大切にしてきた物たちがちゃんと売れて、ちゃんと買える場所があれば、僕は少なくとも行くなぁと。それでこういう感じになりました」
−ベビー・キッズ向けのものだけかと思ったら、小学生向けの服やグッズもあるんですね。
「最近始めたんですよ。“小学生向けのリサイクルショップがあったらいいな”って思っているママが多いっていう話があったので“じゃあ小学生まで広げよう!”と。服だけじゃなくて、小学生と言えばやっぱり習い事が本格的に始まるので、習い事グッズも。スポーツウェアやスポーツ用品、ランドセル、習字道具、裁縫道具、スクール用品…。あとは、子供向けの自転車も始めようと思っています」
−これだけたくさんの商品が並んでいても、すごく買い物がしやすいですね。表示がとにかく細かい!例えばズボンだと“ウエストゴム”とか“調整ゴム”とか。お店の配慮が感じられて嬉しくなりました。
「“子育ての専門店でありたい”って常に思っているんです。だから子育てママが使うアイテムのカテゴリーをどれだけ見せられるか、提案できるかっていうのはいつも考えています。だからカテゴリーも結構細かく作っているんですよね。そこにママが使う言葉だったり、選ぶ基準をどれだけ入れられるか。実際にママの声を聞いたりママが読む雑誌を読んだりして、常に情報をキャッチしながら作っています」
−これだけの広さの売り場を作り上げるのは大変だったでしょう?
「そうですね~。これ全部自分たちでやったんですよ、お金がなかったんで(笑)。床のペンキ塗りも。前はね、紫色だったんです。それを全部、白に塗り替えて。陳列棚も組み立てて…。あ、でも、すでにオープンした時の姿は無いですけどね(笑)」
−常に変わっているんですね。
「売り場はもう何十回も変えています。どうしたら買い物しやすいかなぁって思いながら…。ベビー用品が特に人気だったので、奥を工事して売り場を広げたりとか」
100年後って、そんなに遠い未来じゃない。
−そもそもどうして、こういうお店を作ろうと思ったんですか?
「僕、以前は妊産婦さん向けのハーブティーを企画・販売していたんです。その時に、“ママになること”って消費の変化や価値観の変化が起こるタイミングなんだなぁっていうのを実感して。面白い存在だなって思ったんです。変化の時だから、いい方に変われたらいいんだなぁって」
※赤ちゃんの頃の息子さんと吉田さん。今一番の楽しみは、現在2歳の息子さんと週末に公園で遊ぶことだとか。
「それと僕自身、2015年に息子が生まれて、出産にも立ち会ったんですけど、その時“この子のために何かしてあげたい”って強く思ったんですよね。それまでは自分のことしか考えていなかったから、来年のことくらいしか見ていなかったけど、こどもができたら、その子が生きる50年後の世界だったり、その子が親になってまたそのこども…って考えたら、100年とかっていうスパンは結構身近だなって思えたんです。そうすると、今のままの“大量生産・大量消費”でいっていたら、地球はどうなってしまうんだろうって。だから、その“環境問題”っていうところと“ママ”をくっつけられたら、すごくいいなぁと思ったんです」
ママが明るく変わっていけるように
−『ポスポス』は“高く買い取ってくれる”っていう評判も聞きました。
「それはよく言われますね。リサイクルの役割として一つ“換金”っていうのがあって、そこのお金が高くないと、持って行く気すらおこらないじゃないですか。だから“高値で”っていうのは大切にしているポイントですね。あとは、ノンブランドの服たちも、うちでは買い取ります。だから全体的に買取り金額が高くなるんじゃないですかね」
※季節性に合ったものだと、買い取り価格がより高くなるとか。
−ママのため、こどもたちのため、環境のため…。このお店に溢れているのはとことん優しい気持ち。儲け主義ではこういうお店にならないんでしょうね。
「正直、儲からないですからね…間違いなく…(笑)。僕らは目的が違うので。“ママ”という習慣や価値観が変わるタイミングに、その人たちが明るく変わっていける場所になれたらって思っているんです。そういうモデルになりたいっていう前提でやってるんで。一回一回入ってくるお金はちっちゃいかもしれないけど、一度ファンになってくれたらベビーから小学生まで長いお付き合いになるんですよ。妊娠中に来られる方も多くて、おっきなお腹で来てくれて、2~3ヵ月後に戻ってきて“産まれたんですよ”って報告してくれて…。そこから長い付き合いが続いていくっていうのが、なんかステキな絵だなぁって。お店をやっていて一番嬉しい瞬間なんです」
環境へ向き合う、新しい仕組み作りを
−これからはどんなお店になりたいって思いますか?
「ここに来たら、“あ、こういう環境への取り組み方・向き合い方があるんだ”っていうことを感じてもらいたくて。それを、メッセージだけじゃなくて仕組みとして取り入れていけたら面白いなと思っています。『ポスポス』の“ショップバッグ”ってないんですよ。お客さんに、いらなくなった紙袋を持ってきてもらって、枚数に応じてショップポイントが貯まるっていう形を作りました。で、買った人がそれに入れて帰って、また持ってきてもらう。皆さん結構持ってきてくれるんですよ。今、考えているのは、“ポスポスシール”。保育園や幼稚園に通い始めると、服に名前書かないといけないでしょ?でも、直接書いちゃうとリサイクルする時に高く売れない…。だから、シールを作ってそこに名前を書いて服に貼って使ってもらう…とか。」
−それ嬉しいです!!
「そういうことこそ僕らがやる一番の仕事だと思うから。そこは、やらんといけんって思ってます!」
こどもの物って一つ一つに思い出が詰まっているから、使わなくなっても捨てられなくて、増える一方…。でも、それが誰かの役に立って、未来のこの子のためになるなら、喜んで手放せそう。ポスポスは、思いが詰まったものを安心して売ったり買ったりできるだけじゃなくて、環境への新しい向き合い方を教えてくれる場所。優しい気持ちが溢れていて、買い物しながら癒される不思議な空間です。100年後の未来のために私ができることって、日々の生活に溢れている。ひとまず!溢れかえった息子の赤ちゃん服…持っていこうかな。
【POST & POST】
http://post-post.jp/
福岡県福岡市南区長住5-15
TEL:092-408-2740
営業時間:10:00am-6:00pm(査定受付5:00pmまで)
定休日:年末年始、お盆(8月中旬)
駐車場:12台