【特別連載1/4】福岡で未来を創る!関西電力グループ・ソコナラが挑む新たな人材マッチング ~ 代表 三宅庸介氏、単独インタビュー

2024年7月、関西電力は福岡に人材マッチングサービス事業を行う関連会社、株式会社ソコナラを設立しました。事業内容は地域の企業経営層が、U / Iターン移住者を含む転職希望者と対面で意見交換できる場の提供と、企業の魅力を紹介する専用サイトの制作です。なぜ、関西の大手企業が九州で人材マッチングサービスに参入したのか、その経緯と理由を株式会社ソコナラ代表の三宅庸介氏に伺いました。今回の特集はソコナラの創業にちなんだ4回の連載企画。次回以降は福岡のスタートアップや老舗企業の経営層へのインタビューも掲載します。そちらもどうぞお楽しみに。

株式会社ソコナラの挑戦と未来 – 代表 三宅庸介氏インタビュー

— まずは株式会社ソコナラの会社設立おめでとうございます。今回の連載ではソコナラ設立までのストーリーを伺っていきますが、やはり気になるのが関西の大手企業が地方で中小企業向けの人材マッチング事業を立ち上げた理由です。背景にはどのようなことがあったのでしょうか。

三宅氏(以下敬称略):関西電力には社内起業制度があり、それに合格したことがきっかけです。元は自分が過去に福岡のバンドマンだったこともあって、音楽をする人を集めるアプリ制作から始まりました。そこからママ向けのキャリアアップアプリなどいろいろと企画していった結果、最終的に今の形態となりました。そうなったのは私が関西電力で法人営業としていろいろな中小企業を廻っていたというのも影響しているのかもしれません。

— 関西電力の営業職時代のことを聞かせてください。

三宅:法人営業時代には中小と大手の両方を担当していたのですが、中でも中小企業には面白い会社がたくさんあることに気づいたことが今の会社を立ち上げた原体験としてあります。関西電力には理系の営業職として入社しました。人見知りの自分がバンド時代にいろいろな人と出会って成長してきたので、多くの人と出会える営業職、大学で学んだ知識も活かせるということで技術営業職を選びました。その後ゼネコンへ出向して技術的なことを極めていきました。一方で、技術の人間がそれまでやらなかった、人がモチベーション高く仕事をしていくための新たな表彰制度を作ったり、インターンシップ制度を一から作ったりもしていました。そのような仕事にやりがいを感じて、自分は人のモチベーションを高めていくことを仕事にしたいんだということに気づいたんです。その思いと関西電力の成長を結びつけるという発想から株式会社ソコナラの事業アイデアは生まれました。

–「技術」から「人」への転換があったということですが、一つの会社の中で技術職から人事職への方向転換は実際にできるものなのでしょうか。

三宅:まずは学びの方向性を技術から人材開発へ転換させました。キャリアコンサルタントの資格をとり、ベンチャー企業と共に新しいビジネスモデルを立ち上げるなど、その知識を活かした企画を少しずつ引き寄せながら実現していました。その取り組みは社内でも評価してもらっていたのですが、技術部門にいるとどうしてもその枠を超えることができず、継続することができませんでした。私としては人に関わる仕事をしていきたいと思っていたので、自分のエネルギーはやりたいことに向かわせたいですし、同時に自分の地元、福岡にも還元したいと考えるようになっていきました。

— 福岡で我々と会ったのはちょうど1年前くらいでしょうか。どうして株式会社SALT・福岡移住計画にコンタクトをとってきてくださったのですか。

三宅:数年前から福岡移住計画のウェブサイトを見ていました。昨年秋に今宿のSALTに来る機会があり、ここでイベントをやってみたいという気持ちになりました。そのころ「越境学習」というキーワードが頭の中にありました。自分が置かれている場所じゃないところへ越境することによって学んだことが、地方活性化に活かされるという話なのですが、それをSALTでやってみようと思い、2023年12月に糸島と今宿で「福岡糸島越境キャリアワークショップ」という地域創生のイベントを開催しました。
福岡で試行錯誤しながら活動を続けていたら、次第にアイデアが浮かんでくるようになって、中小企業の経営層と人材をマッチングさせるという「ソコナラMEET」が誕生したというわけです。

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— ソコナラの事業アイデアが関西電力の起業チャレンジプログラムで合格した勝因は何だったのでしょうか。

三宅:ソコナラMEETをきっかけに実際に企業に転職する人が現れたというのが一番大きかったと思います。ソコナラMEETも実証期間中の最初の頃は、転職ではなく地方創生という建付けで企業の経営層と仕事を見直したい参加者を集め、自己分析セミナーや副業マッチングなどで試行錯誤しながら開催していました。イベントがだんだんと盛り上がっていくにしたがって徐々に転職支援の方針へと転換させていった結果、実績につながりました。

— 一方で、克服してきた課題や障害などはありましたか。

三宅:社内の説得が一番難しかったですね。社内では論理的な根拠を示しながら確実に成果につながることを説明することが求められるのですが、実際にやってみないとわからない部分はたくさんあります。そこはひたすら行動して結果を出すことで突破してきました。

— 関西電力が福岡でグループ会社を立ち上げるという決断もかなり挑戦的ですよね。その点はどのように突破したのですか。

三宅:関西電力が福岡でサービスを立ち上げるということは、関西圏で一介の人材サービス会社をやるよりもかなりインパクトのある営業がしやすくなるという点、また地方で仕事を見つけるというハードルの高いことを、関電のブランドを使わずにサービスレベルを研ぎ澄ます事ができれば、この事業での全国展開も可能だという風にプレゼンしました。アウェイでやることは自分としてはしんどい事ですが、私の福岡への思いがそうさせたのだと思います(笑)。

ソコナラ代表 三宅庸介
▲株式会社ソコナラ代表 三宅庸介さん

— これからの話を聞かせてください。今後、ソコナラとして福岡でどのように事業展開をしていく計画でしょうか。

三宅:まずは目の前の人たちに満足してもらうことを大切にしていきたいです。イベントに参加してもらって、人生が変わった、気づきを得たと感じてもらうことがスタートです。企業の方にはソコナラのイベントを機に出会った人を採用したことで会社が発展したと思ってもらいたい。段階的に、県内、九州、全国へと展開していって、5年後には契約企業480社、売上3億円を目指しています。

— 人材・転職サービスが多くある中で、ソコナラ独自のメリットとは何でしょうか。

三宅:転職活動では知名度のある会社がまず選択肢に上がってくるため、中小企業はインターネットで検索してもなかなか引っかかってきません。自分のように、地元に帰ってきたいと考えているビジネスパーソンが、どこかの社長から一緒にやろうと口説いてもらえる場があれば変わってくるかもしれない。転職者にヒアリングしてみてもそのような出来事が偶然に起こった人たちは地元に戻れています。つまり、人工的にそういった場を作っていくことが必要で、出会いの場とその先の入社までを仕組み化することによって、シームレスに人生を切り拓いていく仕組みを作っていきます。そこは既存のサービスとは違うところですね。
また、一般的な面接だとどうしてもスキルマッチングに重点が置かれてしまいがちですが、会社をどうしていきたいかとか、自分自身はどうありたいのかなど、企業と人材がお互いの素顔や本音の部分も伝えあえるような場があってもいいと思います。「ソコナラMEET」はそれが叶う場にしていきたいですね。

— 最後の質問です。福岡移住計画の読者や、これからU / I ターンを考えている人へひとことお願いします。

三宅:一年前は、自分が福岡へ移住して起業しているなんて全く想像していませんでした。最初の一歩を踏み出すのかどうかで人生は大きく変わってきます。この記事を読んで少しでも気になった方は、まずは気軽にソコナラMEETに来ていただきたいです。ぜひご自身の人生を切り拓いていってください。私たちがサポートします。

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ソコナラMEET 2024.11.28(木)参加申込受付中!

三宅庸介氏プロフィール
福岡市出身。九州大学大学院卒業後、新採用枠「技術営業」の1名として関西電力へ。新表彰制度の企画&連続受賞、人事ソリューション整備、水素船関連特許、日中韓シンポジウムでの日本代表事例発表など活躍後、管理職から社内起業制度に合格し、2024年7月株式会社ソコナラを設立。学生時代は3ピースバンドのギターボーカルとして作詞・作曲を担当。2枚の音源リリース、全国流通、雑誌、ラジオ等への露出等経験後、下北沢シェルターでのライブを最後に大阪へ就職。

次回は『特別連載2/4「ソコナラMEET」〜未来を創る企業と人が出会う場所 』をお届けします。

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撮影:霜田広太郎
撮影協力:個室型シェアオフィス・レンタルオフィスMol.t(モル・ト)

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