“惚れられる人”に巻き込まれてみる
脇山:さて、今回のテーマは「まちのたまり場」ということなんですが、お二人が捉えているまちのたまり場ってどんなものですか?そしてそれをつくっていく上で、こだわりなんかはありますか?
おきなさん:例えば、軒先におばあちゃんが一人座っていたとして、それってもうそのおばあちゃんの居場所だと思うんですよね。だから当たり前に前を通った人はおばあちゃんに「こんにちは〜」って挨拶したり、話しかけたりして。おばあちゃんがいるということが、場をつくっているんじゃないかなと。そして、その居場所は、こっからここは私の居場所だから敷居をまたがないでねということではなくて、グラデーションのようにその居場所ができているんだと思います。それがまちのたまり場に通ずるんじゃないかなって思ってます。
脇山:なるほど。そのグラデーションが色んな人のものと交わっていくようなイメージですかね。
おきなさん:そうですね。複数人の居場所の重なり合いで、場をつくっているというのが思い描いているまちのたまり場です。
森重さん:僕は、デパートのトイレの個室が理想の場のかたちですね。
脇山:デパートのトイレの個室!
森重さん:はい、デパートのトイレの個室って、「人がいるんだけどひとり」じゃないですか。それがいいなと思っていて。人の気配はあるんだけど、ひとりで居られる、ひとりの空間があるという安心感が理想の場だなと思ったりします。
脇山:なるほど。分かりやすいですし、すごくいいですね。そんなお二人の理想の場に対して、現在の活動の中で工夫していることやこだわっていることはありますか?
おきなさん:「惚れられる人」と仕事をするようにしていることですね。色んな人と仕事をする機会があるんですけど、やっぱり「惚れられられない人」と仕事をすると、本当にスムーズに物事が進まなかったり、結局「あれ、これなんのためにやっているんだっけ?」と本質を見失ってしまうことがあるなと思います。だからこそ、惚れられるかどうかということを軸に人をちゃんと見ています。
森重さん:「惚れられる人」って大事ですよねー。博多南しごと荘でも、入居審査として入居して行う仕事について教えてもらうんですけど、その仕事は世に言う仕事ではなくて、「あなたが仕事だと思うことは全てしごと」としているんですよ。なので、学生が部活動のことを仕事だと思って活動をしているのであれば、それは仕事ですという基準で見ています。だから、ある意味「人」を見させてもらっていますね。多分一番重要なことですよね。
おきなさん:そうそう。あと、Mekurutoでは入居者さんと運営者とを分けて色んな仕組みを作ってガチガチにやるのではなくて、入居者さんも運営者も同じメンバーとして色んな意見を言い合って一緒に場を作ることをやっています。必ず全員でこれをやる!とかはなくて、やりたいことがある人はやるし、応援をしたい人は応援する。巻き込むと言うより、巻き込まれるという感じです。
だから、ご飯会をやるときも運営者の僕が「ごめん!ちょっと今回は忙しくて企画に手が回らないから助けて!」と入居者さんにヘルプを出すことだってありますよ(笑)。
森重さん:うわ〜それを聞いてすごく安心しました。僕だけじゃないんだって(笑)ある意味、職務放棄と言われるかもしれないけど、僕もあまりこちらから何かを企画したりとか、巻き込んだりすることはないですね。なんだったら、実は最近自分自身も博多南しごと荘に場所を借りました!もう入居者気分で一緒に場をつくっているっていう感覚です。
脇山:意外!!笑 巻き込み上手だし、経験もあるお二人だからきっと上手に巻き込んでいるのかと思ったら、実は巻き込まれてみることに「まちのたまり場」を存在させる価値があったのですね。すごく勉強になりました!ありがとうございました!
トーク終了後は、懇親会ということで、ご参加いただいた皆さんとゲストを交えた懇親会を行いながら、交流を深めました。
一見、巻き込み上手がまちのたまり場をはじめ、継続させることができるのかと思いがちですが、それぞれのまちのサイズや特徴に合わせて、巻き込まれ、巻き込み、たまり場を温めていらっしゃるんだなという学びになりました。
「はじめた人のはじめ方〜まちのたまり場編〜」がこれからはじめる方の背中をそっと押すような時間になっていたら嬉しいなと思います。
こちらのイベントは、来月も開催します!
来月は「はじめた人のはじめ方〜大企業からの転身編〜」
ご参加お待ちしてます!