【その後のストーリー】札幌市役所という安定職を辞め糸島移住。求めたのは自分らしいスタイル。

夢は、更新されてゆく

―実際に働きはじめて、どんなお仕事をされたのですか?

圭太さん:金、土、日は飲食店の『イタル』に入り、平日は塩の販売店『季節屋』のほうで事務の仕事をしていました。『イタル』ではホールで接客、あとは料理の提供と、デザートやドリンクの盛り付けなどがメイン。平日の事務仕事では、アナログで進めていたところを効率化できるよう、簡単なデジタル化を進めたりしていました。

―そこから『森とコーヒー。』として独立されるまでには、どのような背景があったのでしょう。

圭太さん:もともとの夢は「海辺でカフェ」という形だったので、料理の技術を身につけなければと思っていたんです。でも実際に飲食店で働くなかで、自分のやりたいことは料理じゃないな、と思うようになって。

沙織さん:わたしも移住後、別の飲食店で働きはじめていました。お互いに飲食店で働くという経験を経て、自分たちがやりたいのはカフェじゃないね、と気づいて。率直な話をすれば、カフェは売上と労働時間のバランスを考えると自分たちのライフスタイルにマッチしていないと思ったんです。もちろん、目の前で提供して、おいしいと言ってもらえることが幸せ、という方が多いと思うんです。
ただわたしたちの場合は、それが一番やりたいわけではなくて。自分たちのライフスタイルを大事にしたいという思いもあるし、もともとやっていた仕事の特性から考えても、場所ありきの飲食店より、Webも活用して売れるしくみを考える物販のほうが、やっていておもしろいなと。

―現在『森とコーヒー。』ではどんな事業をされているのでしょう?

圭太さん:2018年の1月からオンラインショップを開設して、豆の焙煎・販売をしています。あとはイベントと、小売ですね。以前働いていた『イタル』やその系列店である『Sumi Cafe』に加え、他にも数店舗扱ってもらっています。
それから、ぼくたちは“野外でのコーヒー”というのも提案していきたいなと思っていて。自分もサーフィンやキャンプなど、野外での活動が好きなんです。10月にも、野外喫茶のようなイベントを予定していますよ。

沙織さん:たとえばキャンプ場で、アウトドア用の椅子に座って、焚き火を見ながら、うちのコーヒーを飲んでいただく。そこで「こういう休みの過ごし方もあるんだ」と体感してもらう。そういった“スタイル”を提案するという感覚で、イベントを企画しています。体験を通して、商品に魅力を感じてもらえるようになれば嬉しいですね。

―プライベートの過ごし方では、移住前後で変化がありましたか?

圭太さん:働く業界が変わったので、正直にいえば、当初は仕事をしている時間が圧倒的に長くなりましたね。それまでは公務員で土日が必ず休みだったので。

沙織さん:飲食で働くと、やはり連休はなかなかないので。土日の2日休みに慣れていた人間としては、戸惑いもありました。でも独立したいま、夫はやっと遊びはじめているみたいです。今朝もサーフィンに行ってきて。海が近いので。そういう自然へのアクセスがよくなったのは間違いないですね。

※種子島旅行

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夢はさらに加速していく

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