福岡県の中心部にある田川郡糸田町。県内で2番目に小さい面積8㎢ほどの町に、1万人弱が暮らしています。JR博多駅から篠栗線と平成筑豊鉄道を乗り継ぎ、糸田駅までおよそ1時間半。新緑に彩られたのどかな風景を車窓から眺めていると、自然と心が安らぐ感覚がなんとも心地よい。そんな糸田町で明るく出迎えてくれたのはエネルギッシュな森下さんと、ゆったり穏やかな鶴我さん。今回は糸田町で初めて「地域おこし協力隊」を募集するということで、お話を伺ってきました。
−まずは糸田町について教えてください。
森下さん:糸田町は小さな町ですから…県内でもあまり知られていない存在かもしれません(笑)。でも、食・自然・歴史・加工品などの魅力がいっぱいで、住んでいる皆さんは穏やかで優しく、「糸田町にはいいものがあるんやき、都会に行く必要がないっちゃね」と口をそろえます。
糸田町は「いとよき田」(とてもよい田)が町名の由来とされるほど、弥生時代から稲作が盛んです。古くは炭鉱の地としても栄えました。今はお米や新鮮な野菜や果物、ホルモン、石炭ソフト、ダイヤの山羊羹などの名物があり、『道の駅いとだ』に行けば、地元のいいモノが集まっていますよ。
−森下さんは、糸田町のご出身ですか?
森下さん:はい、人生ウン十年、ずっとこの町で暮らしています。大学は北九州でしたが、実家から通っていましたし、大学を卒業後は役場に入りました。別に「糸田町が大好きだー!!」というタイプではなかったのですが、だんだん好きになっていますね(笑)。
−鶴我さんも糸田町のご出身ですか?
鶴我さん:いえ、私はお隣の田川市出身で、昨年から町役場で働き始めました。以前は近くの町の保育所に調理師として勤めていたのですが、幅広い仕事をしてみたいと思い、糸田町の職員になりました。職員になる前から糸田町の洋裁教室に通っていて、ここは町の雰囲気や人がいいなと思っていたし、住民の方と距離が近いことも魅力でした。
役場職員は全体の20~30%くらいが20代で、わきあいあいとして活気があります。とても優しくいい人ばかりで、楽しく働いています。
−働きやすそうな環境ですね。今回はなぜ、初めて地域おこし協力隊を募集されるのでしょうか?
森下さん:私たちのいる地域振興課では、地方創生の一環で、この4月に多目的施設『いとよーきた』をオープンしました。そこの運営をお任せできる方を2人募集したいと思っています。
募集しようと思ったきっかけは、人手が足りないということもありますが、私たちがまちおこしをするとき、実はちょっとやりにくさを感じることがあったからなんです。行政職員は何でも平等にしなければならず、大胆に采配を振るうことはできない。だから、私たちとは違う立場や視点で地域振興を考えてくれる人がいたらいいなと思い、仲間を募集することにしました。
では、実際に『いとよーきた』をご案内しましょう。
糸田町役場から歩いて5分ほどで到着する『いとよーきた』は、スタイリッシュな空気感と木のぬくもりがうまく融合した建物。目の前には小さな川と美しい田んぼが広がっています。
そこへスーツ姿の優しそうな男性が車でやってきて、森下さんと鶴我さんに声をかけました。その男性はなんと糸田町の町長・佐々木淳さん!偶然、自らの運転で弁当を買いに来ていました。「糸田町はいいところなんですよ」と私たちにも気さくに話をして、別れ際に「彼(森下さん)に何でも聞いてくださいね。私よりもよく知ってるから(笑)」と明るく笑いながら去っていきました。町のトップと職員が、信頼関係でしっかり結ばれているのだなと実感できる一幕でした。
−改めて、『いとよーきた』はどんな施設ですか?
森下さん:多世代交流の拠点・地域コミュニティの拠点として、今年4月にオープンしました。事前に子育て中の方などにアンケートを取り、外壁の色や授乳室がいるかどうか、どんな設備が欲しいかなどの意見を反映させました。授乳室やバリアフリーのトイレも備えています。壁の茶色や白い部分は、地域の子どもたちに塗ってもらったんですよ。
−へー、地域の皆さんの意見や協力をもとに完成したなんて、いいですね。『いとよーきた』はどんな意味ですか?
鶴我さん:「いと」は、「糸田町」のいとと、「とても」という意味のいとから。「よーきた」は「よく来た」という、こちらの方言です。
ここにはもともとプレハブがあって、日曜の午前中だけ、農産物や加工品を販売する「ふれあい市」が開かれていました。ひとつの建物はその「ふれあい市」の流れを受け継ぎ、地元の農産品や加工品、弁当、ハンバーガー、ホットドックなどを販売しています。テーブルとイスがあるので、こちらで食べることもできますよ。もっとメニューを充実させて、ゆくゆくはカフェのようにできるといいかなと思っています。
森下さん:もう一つの建物は多目的室で、基本的に貸しスペースになっています。この2つの建物を合わせた『いとよーきた』を統括してくれる人を募集しているというわけです。ふれあい市を長年仕切ってくださっている植髙泰子さんは、加工所も運営されるなど、いろいろなことができる素敵な女性です。ほかに、アルバイトの女性2人がメニュー開発などを担当されています。地域おこし協力隊の方には、彼女たちと協力して、『いとよーきた』をフル活用していただければと思っています。イベントを企画したり、新しいメニューを考えたり、SNSで情報発信したり。自由な発想で活動してもらえるといいですね。
※植髙さん
−どんな人に向いているでしょうか?
鶴我さん:ありきたりですが、明るく前向きな方がいいんじゃないでしょうか。私も新しい職員でこちらの担当になったので、新しい施設と新しいスタッフで、これから一緒に成長していけるといいなと思っています。
森下さん:基本的にはフットワークが軽い人で、カフェやサービス業などの経験があれば生かせるかもしれません。若い女性に向いているかなという気がしています。でも、全く当てはまらない人でも、この地域に縁もゆかりもない人でも、まずは気軽にお問合せいただければうれしいです。
−ちなみに、移住してくるとなると、暮らしの環境が気になるところです。
森下さん:糸田町は、あの井上陽水さんが小中学生時代を過ごした町です(笑)。ほどよく田舎でコンビニはないけど、ほどよく都会に近い。福岡市にも北九州市にも車で1時間ほどで行けるし、近隣には緑豊かな公園やプール、テニスコート、天然温泉があったり、美術館やフランス料理店、美味しいお菓子屋さんもある。緩やかに人口が減少しているので、移住定住政策として、アパートの家賃補助や通勤通学費の補助、分譲地にも手厚い特典があります。それで最近、縁もゆかりもない人も移住して来てくれています。
鶴我さん:地元のイベントやボランティア活動に、皆さんが喜んで参加している印象があります。それに、人口が少ないわりに町立の施設が整っています。だから、私も町の職員になる前から来る機会が多かったんですよね。「隣保館」や「町民会館」でいろんな講座が開かれていたり、「保健センター」にトレーニングジムがあったり。子育て支援室に来られる人の半分くらいは、町外の人です。小学校と中学校が一つずつ、町立の病院もあり、医療費は中学校卒業まで無料です。
森下さん:僕は生まれてからずっとここに住んでますが、居心地が良くて、外に出ようと思ったことがないんですよね…。とても暮らしやすい町ですし、気のいい職員たちと面白い仕事が待っていますので、少しでも気になったら、ぜひご連絡ください。
※(注)今回は当サイトへのご応募は必要ございません。 糸田町役場への直接の書類送付もしくはご持参で応募完了となります。 下記内容をご確認の上、直接お申し込みください。
会社名 | 糸田町役場 |
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募集期間 | 〜7月15日(日) |
募集職種 | 地域おこし協力隊 |
採用人数 | 2名 |
雇用形態 | 糸田町の非常勤職員(一般職) |
勤務地 | 糸田町多目的施設いとよーきた |
勤務時間 | 8:30から17:15の週休2日制 ただし、活動実績等を踏まえ1年ごとに更新し、最長で任用の日から3年まで延長します。 |
給与 | ・賃金:月額20万円 ・家賃補助:家賃の半分(最大2万円/月、24か月) ・活動経費:活動助成金として予算の範囲内で支給します。 (町への申請手続きが必要です。対象経費は担当者との打ち合わせのうえ決定します。) |
福利厚生 | ・社会保険(厚生年金・健康保険・雇用保険)に加入。 ・住居につきましては町に相談してください。家賃補助あり。 ・活動用の車両経費(リース料、燃料費等)については、活動助成金の対象となります。 ・隊員が兼業を希望する場合は、町長への届け出により認められることがあります。 |
休日休暇 | 週休2日 |
仕事内容 | (1)新設された『いとよーきた』のコミュニティ・マネージャー
(2)地域の人々の「やってみたい」を応援できる場づくり、仕掛けづくりが最初の仕事。 (3)2年目以降は、小商いの拠点として空き家・空き店舗の活用も。 (4)その他『いとよーきた』に関わる業務全般を担当していただきます。 |
応募資格 | (1)年齢:平成30年4月1日現在でおおむね18歳以上45歳未満の方
(2)性別:問いません (3)住所: (4)資格等:普通自動車運転免許(必須ではありません) (5)その他 |
選考プロセス | STEP-1.書類審査
※(注)今回は当サイトへのご応募は必要ございません。
糸田町役場への直接の書類送付もしくはご持参で応募完了となります。
下記内容をご確認の上、直接お申し込みください。 【申込先】 STEP-2.面接 |
備考 | 《見学・相談について》 文章だけでは、糸田町の魅力や担当者の熱意は十分に伝わらない部分も多いと思います。応募の前後に関わらず、町内の見学希望や活動についてのご相談などについて、出来る限り対応します。詳しくは、お問い合わせください。 |