このコーナーでは、これまで「福岡クリエイティブキャンプ(以下、FCC)」を通じて移住転職された方の現在のリアルなストーリーを紹介するものです。
生まれも育ちも東京。生粋の“都会っ子”である時田さん。結婚、出産を経て二児の母となった今、なぜ福岡に転職・移住することになったのでしょうか?
「楽しそうだったから」移住!
−さっそくですが、なぜ福岡に住もうと思ったんですか?
簡単にいうと「楽しそうだったから!」です(笑)。東京で生まれ育ち、親兄弟・親戚もみんな近くにいるような環境の中、結婚と出産を経験し、当たり前のように東京に住んでいました。でも、なんとなく「東京しか知らないのはもったいないな」という思いが頭の片隅にあったんです。
しかし、そのふんわりとしていた移住願望が決定的なものに変わったきっかけが、東日本大震災でした。首都直下型に対する不安、食材に対する不安…幼い子どもを抱える私にとってはとてもショッキングな出来事でした。震災後は、「上の子が小学校に入るまでに移住する!」と決めて、移住候補場所として考えていた岡山や沖縄などに、2週間〜1ヶ月ほど暮らしているつもりで滞在し、自分と家族にフィットする土地を探したんです。そして、ここだ!と思ったのが福岡でした。
−福岡のどういうところにピンと来たんですか?
私も子どもたちも東京しか知らなかったので、環境がガラッと変わりすぎてしまうと正直不安がありました。福岡だったら都会も自然もすぐそばにある環境ですし、食べ物がおいしいというのも魅力的でした。子どもたちも「福岡、食べ物おいしいね!」って口をそろえていってましたから(笑)。
−転職先を探す時に、なぜFCCを活用されたんですか?
ぼんやり移住を考えていたころから、まわりに「移住する宣言」をしていたんですね。すると、自然と様々な情報が舞い込むようになり、FCCのことも知人経由で知りました。そしてFCCに参加したのが2013年の10月。当時は、東京のマイナビ本社でイベントが行われたのですが、ベント自体は、福岡にゆかりのある方による、福岡の良いところ悪いところについてのパネルディスカッションと、受け入れ企業として登録している企業の方々数名による会社紹介、あとはマイナビの担当の方による受け入れ企業の紹介でした。(一般的にある就活イベントのように企業ブースが出ていてそこに話を聞きに行く、というシステムではなかったです。)
イベントの終わりに、参加したい旨をマイナビの方にお伝えし、別日に履歴書・職務経歴書とともにマイナビ本社にて担当の方と面談。そこで自分の希望や条件をお伝えし、マッチングしていただいた2社とSkype面接をしました。1社は条件が合わず、ブランコはめでたく内定をいただきました。
※ブランコ株式会社(求人募集ページはこちら)
−トントン拍子ですね…!
そうなんです!マイナビの方が、企業側にも私の条件やスキルなどを事前に伝えてくださっていたので、面接もリラックスして楽しく行えました。それから12月に引っ越したので、本当に目まぐるしかったです。
−数ある企業の中からブランコを選んだのはどういう理由だったんですか?
当時、FCCに参加されている企業さんの割合は、圧倒的にIT系が多かったので、デザイン事務所であるブランコはとても目立っていました。私はデザイナー志望だったこと、オフィスにブランコがあったのもポイントです(笑)。
−実際に入社されてからはいかがでしたか?
当初はWebデザイナーとして入社したんですが、私が子どものお迎えなどで時間の制約があったので、もっと適した役職があるんじゃないか…と、代表のヤイブさん(山田ヤスヒロさん)をはじめ、みなさん真剣に私と向き合ってくださって。今まで経験してきたアパレルブランドのプレス業や、メディアでのライティングなど、私の経験をすべて活かせる「広報」という役職をつくってくださいました。まずは制作実績の更新やSNSを活用した社内風景の発信。そして、デザインの楽しさを伝える『Swings』というオウンドメディアを立ち上げました。
※『Swings』
−そうやって広報の仕事が確立されていったわけですね。
『Swings』に関しては、平日は毎日更新していたので、通常の広報業務に加えて、ネタ探しに取材にと毎日がドタバタでした。大変な日々ではあったのですが、『Swings』を通して様々な場所に取材に行ったり、人と触れ合ったりする機会が増えて、アッという間に福岡にも友人・知人が増えて“ホーム”と感じるようになりました。
さらに「なりたい自分へ」と
−転職してからFCCのフォローはありましたか?
実は、内定をもらってからというもの、家探しの相談にのっていただいたり、マイナビの方には感謝しっぱなしで(笑)。実際に福岡に来てからも、同じタイミングでFCCを活用し、転職・移住した仲間たちとの交流会を月1ペースで主催してくださり、不動産関係の方をゲストに福岡の歴史や特徴を教えていただいたり、糸島ツアーを企画していただいたりしました。同期は10名くらいいるのですが、今でもそれぞれが色んな分野で活躍しています。
−充実のフォローアップ体制は、移住者にとってはとても心強いですよね。現在は、ブランコからさらに転職されたとうかがいました。
そうなんです。福岡で新たに挑戦したいことがどんどん膨らんで来て「本当にやりたいことって何だろう」と、考えてみたんです。そしてたどり着いた答えが「色んな人に会う仕事がしたい」ということだったんです。例えばそのひとつの形として、取材をして原稿をかいて、いいものを人に伝えるライターという仕事。そして、いつかお店をやりたいなという希望もあり、その条件にぴったり合ったのが、現在勤務している、文具・雑貨メーカーの『ハイタイド』だったんです。
前々からハイタイドの文房具が好きで、よく使っていたんです。というよりも「ハイタイドだから」買っていたわけではなく、買った後で、実はあれもこれも「ハイタイドだった」という感じ。まさかその文具メーカーが福岡に本社を構えているとは思ってもみなかったので、運命めいたものを感じずにはいられませんでした。
−福岡に来てさらに夢が広がるってステキですね。
タイミングもとてもよかったんです。ハイタイドの本社ビルの1階にちょうど路面店をオープンさせるタイミングで。スタッフを募集しているっていう話を聞いて、すぐにとびこんだという感じです。今は、店舗と本社半々くらいの割合の勤務形態で、販売員・広報・イベント企画などを任せてもらっています。後は、副業申請をさせていただいて、ライター業も継続してやらせてもらっています。
私、博多の女になりました!(笑)
−福岡に来て、暮らしにはどういう変化がありましたか?
ぶっちゃけてしまうと、今の方がいい暮らしをしています!給料の相場は東京よりも下がるけれど、それ以上に家賃など、毎月かかるランニングコストがガクッと下がります。さらに「近くに山や海などの自然を感じられる環境」「食べ物がおいしい」など、心を満たしてくれる要素がいっぱいあるんです。今は完全に博多の女になろうと、方言も積極的に使っています!
−移住・転職に迷われている方にメッセージはありますか?
自分がまわりに「移住する宣言」をしていた時にも感じたんですが、まわりが異常なほど驚くんですよね。でも私からすれば「え?引っ越しだよ?」っていう感じで。たしかに大きな決断ではあるんですけど、移住によって自分の人生が決まるわけじゃなく通過点のひとつ。そんなに重く考えなくていいんじゃないかなって思うんです。新たにたくさんの出会いがあって、好きな場所も好きな人も増えて、それっていいこと尽くめじゃないかと。私のモットーでもあるんですけど、何かで迷ったら楽しそうな方を選ぶ!ということを伝えたいと思います。