イギリスの雑誌『MONOCLE』に毎年掲載されている「世界で最も住みやすい25の都市」。今年は福岡が7位にランクイン。国際都市として海外からの観光客や留学生も多く、世界的にも近年注目されています。そこで、福岡在住で国籍の異なる(フランス、アメリカ)お2人に「海外から見た福岡」について話を聞いてみました。
今回話を聞いたのはこの2人。
5年前に留学生としてフランスから福岡へ。日本で社会人経験を積みたかったため、大学卒業後もそのまま福岡で働く。国際交流センターでのマーケティング職を経て、現在は観光案内や和文化体験のできる『SUiTO FUKUOKA』で通訳やイベント企画を行っている。
日本人の父とアメリカ人の母を持つ。アメリカで育ったが、祖父母が福間在住のため夏休みにはよく福岡に遊びに来ていた。4年前から福岡に移住し、学校でのALTやコーヒーショップでの勤務経験を経て、現在はゲストハウス『& AND HOSTEL』のダイニングラウンジに勤める。
◎仕事探しは難しい
−2人とも転職を経験しているとのことですが、仕事はどうやって探したのですか?
ビッキーさん:「福岡だとどうしても外国人を募集する会社が少なく、私の場合は知り合いに紹介してもらって決まりました」
アレックスさん:「僕も今の会社は、友達の友達がオーナーで、紹介してもらいました。つながりがなかったら、仕事探しは結構厳しいですよね」
ビッキーさん:「そうですね。『外国人が日本に来てから仕事を探すプラン』がよく紹介されていますが、やっぱり一番はネットワークが大事かと思います。あと日本の人は本当よく(長時間)働きますよね。そこの労働条件は今でもビックリします」
◎すぐ顔なじみになる
−仕事は友達からの紹介とのことですが、その友達はどこでつくっているのですか?
ビッキーさん:「赤坂の『アンスティチェ・フランセ九州』という場所で友人が増えました。フランス人と日本人両方とのつながりができます。そこではフランス語やフランス文化を教え、フランス人と日本人の交流スペースにもなっています」
−そのような場所で出会った人と親しくなるんですね。
ビッキーさん:「あとは音楽やスタートアップ、国際交流などのイベントで友達ができることも多いです。福岡は小さい街だから、みんなすぐ顔なじみになりますね。こういうところ大好きです」
◎福岡の味覚
−福岡で4〜5年生活されていますが、2人が感じる福岡の魅力を教えてください。
アレックスさん:「福岡はコーヒーが本当に美味しい。いろんなチャンピオンもいますし。カッピング技術を競う『ジャパンカップテイスターズチャンピオンシップ』では珈琲蘭館の田原照淳さんが2年前に優勝し、レックコーヒーの岩瀬由和さんはバリスタの競技大会である『ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ』で今年準優勝しましたね。
東京にもスペシャルティコーヒーを扱う美味しいコーヒーショップはたくさんあるけど、福岡は街が小さいからいろんなショップをまわりやすくて気に入ってます。僕は今、ダイニングラウンジでキッチン業務をやっていてとても楽しいけど、いつかまたコーヒー業界でも働きたいですね」
−やっぱり福岡でのコーヒー文化の盛り上がりを感じるんですね!ビッキーさんは福岡の名物などで好きなものがありますか?
ビッキーさん:「多くのフランス人が甘いもの好きで、私自身『博多通りもん』や『梅ヶ枝餅』が大好物です。甘さを抑えてないところがいいですよね」
◎コミュニケーション
−最後に、福岡で人と接していて何か感じることはありますか?
アレックスさん:「最近気づいたのは、少し冷たくされることです。仕事中に僕が店頭に立ってても、お客さんは日本人のスタッフにしか話しかけないことがあります。避けられているような感じですね」
ビッキーさん:「そういうことは私もよくあります。多分私たちが日本語話せないと思っているのかもしれません。もっとフレンドリーにコミュニケーションとりたいですね」
アレックスさん:「僕らは日本のお店で働いてるんだから、日本語はある程度話せます。日本人は失敗を恐れすぎている感じがします。もっと積極的にきてほしいですね」
これは福岡に限ったことではないかもしれませんが、国際都市として外国人を迎える福岡にとって、そして個々人としての接し方(コミュニケーション)は、今後の課題になりそうですね。
(撮影協力場所:SUiTO FUKUOKA)