【F-LIFE SHIFT story vol.02】世界を転々とした後に選んだ大刀洗の“適度な暮らし方”

「F-LIFE SHIFT story」は福岡に移住してきて暮らしや働き方、考え方などをシフトした人たち(先輩移住者)のストーリーを追った特集です。福岡に来て何が変わったのか、これから福岡で暮らしていきたい・変えていきたいという人たちの参考になればと思います。

たまたまが運命的に

山梨・甲府の実家を18歳で飛び出してから、フランス・東京・インド・ハワイを経てたどり着いたまち大刀洗。今年の4月から地域おこし協力隊として着任したシーモア香さんがなぜ大刀洗を選び、どの様な生活を送っているのか。シーモアさんの生活を通じて見えてくる大刀洗の魅力に迫る。

−まずシーモアさんの経歴を教えてください。

「高校を卒業した3日後にフランスに飛びました(笑)。フランスではファッションを学ぶためにまず3年間学校に通い、その後3年間のインターンを経て仕事に就きました。フランスでの仕事は楽しかったのですが、30歳を手前にして日本に帰るなら今しかないという想いと、これから日本が来る!という直感的な感覚で帰国を決意しました。
帰国した東京でも外資のファッションブランドに勤めていましたが、結婚を機に旦那から“インドに行かない?”と勧められ次はインドに行きました。インドの生活は楽しかったのですが、なかなか過酷で(笑)。出産後の体調が優れなかったこともあり次の地を模索しました。当時、日本は東日本大震災が発生した直後であまり環境が良くないと聞いていたので、旦那が以前ハワイ大学の大学院を卒業していたこともありハワイに行きました。ハワイでは2人目の子どもを出産し家族4人一家団欒で生活していましたが、子どもの生活環境と今後の教育を考え日本への帰国を模索していました」

−すごい経歴ですね(笑)。そんな中でなぜ福岡・大刀洗が候補に出てきたのでしょうか。

「ハワイにいるときに北九州の知り合いと電話で話していたのですがもう地元愛がすごくて(笑)。旦那にも相談したのですが、僕はネットさえ繋がればどこでもいいよって言うんです。東京と比べて、福岡は自然も豊かで食べ物が美味しくて子どもを育てるにはいい環境かなと思っていた時に、たまたまフランスの知り合いから連絡があって。“今、こっちのテレビで日本の地域おこし協力隊の話をやってるけどめっちゃ良さそう。知ってる?”って聞かれて。もちろん知らないじゃないですか(笑)。でどんなもんなんだろうってネットで調べてたら、たまたまその時期に大刀洗で募集してるって情報を見つけたんです。じゃ面接を受けてみるかなって。それがきっかけです」

−偶然が重なってますね(笑)。面接はどうだったんでしょうか。

「実は福岡県の他のところも受けてたんです。でも、面接で受けた感じが他と全然違って。まみさん(隣にいる役場の方)もこんな感じだし、すごくフレンドリーで、あ、これだなと。それで大刀洗に決めました。

−え、ということは一度も大刀洗に来ないで決めたんですか。

「はい(笑)ま、私引っ越しの経験も多かったので。ある程度の情報はネットで見ていたし、何より皆さんと話した感じで大丈夫だろうと思って決めました」

−実際に来てみてどうでしたか。

「正直、もっと田舎だと思っていたので拍子抜けでした(笑)。でも、本当に皆さんに良くしていただいて。不動産屋さんもガス屋さんも呼んでないのに勝手に現れて手続きしてくれたり、保育園も温かく迎え入れてくれて。私たち家族を受け入れてもらいたいと思って移住してきたのでこれは本当に嬉しかったです」

−なるほど、さすが大刀洗ですね。他にはどんなところが良いと思いましたか。

「もう食べ物が本当に美味しくて。家族全員肥えました(笑)。野菜も、子どもたちはハワイにいるときは本当に食べなかったの。どんな手を使ってもポイって皿から退けて。それなのに大刀洗に来たら、保育園の初日のお弁当から完食で。今なんて“私はスナップエンドウが食べたい”とか“ブロッコリー無いの?”とか。ハワイではブロッコリーなんてポイっ!だったのに」


※ハワイ

−美味しさが良く伝わってきました。ところで、大刀洗での暮らしはどうですか?

「本当に住みやすいですよ。適度に田舎って言うか、福岡市とか久留米市にもアクセスしやすいじゃないですか。たまには美味しいレストランに行きたいとかおしゃれなカフェに行きたいってなってもすぐに行けるし。一方で、子どもを育てるには本当にいい環境で。生野菜なんて食べたこと無かったのに、納豆にネギ刻んで食べたりとかしてて、ありえない!
旦那も外国人ですけど、すっかりまちに溶け込んでて。この間も私に“旦那さんの連絡先教えて”って言ってくる人がいて。私じゃないのか!って思いましたけど(笑)。周りのひとたちが本当に温かく迎え入れてくれて、逆に色々拍子抜けしたくらいです」

−大刀洗の魅力が本当に良く伝わってきました。ところでシーモアさんは今大刀洗でどの様な仕事をしているのですか?

「地域おこし協力隊として地域振興課に所属して、宅配野菜『大刀洗おいしかぁ~便』、移動マルシェ『さくら市場』など地元の方が作った商品の販促・Webサイトの構築をしています。あとは地域の皆さんと楽しく筑後弁の勉強をしています。娘たちは早くも覚えてしまっています(笑)あとは、まちの人たちと一緒にまちの人たちのための、英会話クラスを提供していきたいなって思います」

−ちなみに、大刀洗のここが良くなればみたいなところはありますか?

「うーん、黄砂とPM2.5のアレルギー持ちなんで思ってたより辛かったかな。あとは夏が暑いかが心配。それくらいです!

−大刀洗の人と人の距離感はどうですか?お話を聞くかぎり近すぎないですか?

「もう全く問題ないですね。ハワイも凄く近かった、インドなんてドア閉めてたら怒られるぐらいの密着型でしたので!(笑)。ずっとそういう環境だったので、もっともっとみたいな(笑)」

−なるほど。では、地域おこし協力隊の任期が終わった後そのまま定住するご予定ですか?

「そうですね。後は、私の収入源と子どもたちをどうするかを3年間で考えていこうかなって感じです。でもすごく好きです。うちの旦那も本当に良いって言ってるので。
子どものことで言うと、公園が大刀洗公園以外にも、近場にたくさんあって、大きな公園が車で20分くらいで行けるのがすごくいいなと。で、都会にも出やすいし、でもせかせかしてないし。
大刀洗に来る前に東京に行ったんですけど、子どもがいると移動するのも大変で。エレベーターにも乗れないし子どもは泣いちゃうし。その時に自分たちは改めて東京ではなくて、大刀洗を選んでよかったなと。人それぞれですけど、今の私たちのライフスタイルにはちょうど合ってるなって確信しました」

※ここで取材に同席いただいた大刀洗町役場の村田まみさんにも伺いました。

−村田さんから見た地域おこし協力隊のシーモアさんはいかがですか?

村田さん:「私が思うのは制度自体のこと。来たことも無いのにいきなり定住を決めろなんて言うのがナンセンスなんじゃないかと。これからは人が色々流れていくことになると思うし、そもそも人が帰ってこないから地域おこし協力隊の政策ができたのに、来てすぐ定住しろなんて言うことが違うと思う。こうやって来てくれただけでありがたいとよ」

シーモアさん:「いえいえ、受け入れてくれてありがとうございます。そもそも私は面接のときにまみさんを見て決めたので(笑)」

村田さん:「面接の時、あなたはお酒飲めますか?とか質問しとるけんね(笑)」


※大刀洗町役場/村田さん(左)

シーモアさん:「もうあの時に、これは「私が来るようなまちだ」って思いました(笑)」

村田さん:「旦那もね。必ず言うよね「僕は下戸でつまらない男なんですって」(笑)」

シーモアさん:「もし良かったら旦那にも取材しませんか?彼も面白い男なんで。ちょっと夫婦喧嘩中なんですけど(笑)」

ということで、ご自宅に場所を移し、旦那ダニエルさんも取材させていただくことに。

−まず、大刀洗についての印象を教えていただけますか?

ダニエルさん:「こんにちは、ダニエルです。宜しくお願いします。大刀洗の印象ですか?とにかくご飯が美味しいです。麻薬です(笑)お米の美味しさはもちろん、野菜もですね。味がするんですよ。ハワイの野菜は味が無かった」

−奥さまと全く同じ回答ですね(笑)。他にはどうですか?

ダニエルさん:「とにかく好印象ですよ。ハワイの時は忙しくて子どもとの時間も取れなかった。でもこっちは静かで仕事(現在、翻訳のお仕事をなさっています)が捗るし、まわりの人たちが優しいし着飾らない素敵な人たちばかり。子育ての面でも公園の設備が整っています。ハワイの時は公園はたくさんありますが、どこも同じ遊具ばかり。整備も日本のようにしっかりされていないところが多い。だからビーチに連れて行くしか無かったけど、それはそれで常に監視していないと危ないじゃないですか。でも大刀洗の公園は広いし、しっかりと設備が整備されていて充実している。子どもたちを安心して遊ばせることができて、私たち夫婦も喜んでいます。何より子どもたちにルーツを作ってやりたいんです。帰ってくる場所っていうんですか。寂しい想いだけはさせたくないので」

−お二人とも子育てに対しての温かい想いが溢れていますね。では最後にお二人から移住についてアドバイスをいただけませんでしょうか。

シーモアさん:「大刀洗は家族で来るには本当にいいと思いますよ。キッズフレンドリーだし人がいい。だって子どもが騒いでいてもうるさいって言われないんですよ。ハワイでも言われたのに。仕事の問題はありますが、子育て世代には是非お勧めしたいと思います!」

お二人にとって「たまたま」が重なって訪れたまち大刀洗。しかしお話を聞いているうちに「たまたま」ではなく「運命」だったのではないかと感じさせられた。
子どもたちへの「愛」、住んでいる人・まちへの「愛」、様々な「愛」を持った二人が運命に導かれる様に移り住んだまちで、自分たち以上の「愛」を大刀洗というまちで受けることに・・
こんな「愛」に満ち溢れ、そして美味しいごはんが待っているまち大刀洗。あなたも是非行ってみてはどうでしょうか?

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