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【ぼくらが連れて行きたい店vol.18】お客さんとともにつくる箱崎の憩いの場(Buenos)

2017.3.22  

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
このコーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

個人商店が立ち並び、情緒あふれる箱崎商店街。その一角に、サーフテイストの外観が目を引くお店『Buenos(ブエノス)』があります。今回は箱崎住民にとっての憩いの場にもなっているこのお店のオーナー、田中さんにお話を伺ってきました。

−すごく落ち着く雰囲気ですね。この場所にお店をオープンしたきっかけは何だったのですか?

「僕は元々ADをやってたんです。ゆくゆくはディレクターになって映像を作る仕事に就くというのが一般的かと思いますが、ADの時にすごく忙しくて、このままディレクターになるとさらに忙しくなって、人と接する時間とかほんと無くなるんじゃないかと感じていました。
その時期に、カフェブームがきていて、おしゃれな空間とかインテリアに憧れて楽しそうだな、こういう仕事だったらいろんな人と話して、接客できるし、人とつながれるかなと漠然と思っていました。なので明確な目標として、将来はお店をやろうなんて全然考えていませんでした。

しかし、今から5年前になるんですけれど、『Buenos』の前のオーナーのお兄さんが僕の高校の同級生だったんですよ。ラーメン屋を弟さんとお父さんが2人で改築して『Buenos』というお店を作ったみたいで。そのお兄さんから「弟がお店を辞めてお店を閉めるからよかったらやってみない?」って言われたのがきっかけで、軽い気持ちでやろうかなと思って。気がついたらここに立っていたっていう感じになりますね(笑)」

−未経験から自分のお店を持って、困ることはありませんでしたか?

「お店を始めたすぐの時はフードが全く作れなくて、ドリンクもお酒を少し覚えているくらいの状態で。経営のやり方も全く分からなかった。正直、一旦閉めてちゃんと勉強し直してから開けようかなとも考えてました。なのでお店を始めた時の無知さが一番きつかったのかな。

そんなスタートだったのでお店のコンセプトも特にないんですよね。自由にやっているので、オープン当初は失礼もあったかもしれません。しかし『Buenos』のお客さんである箱崎の方ってみんな温かいんですよね。料理とかドリンクとかじゃなくて、居心地のいい雰囲気を見て来てくれている感じがします。そんな状態でも温かく受け入れてくれるんです。振り返れば箱崎のお客さんあっての『Buenos』だと思いますね。
ここに来ると、こたつに入ってくつろいでいるような感じでゆっくり時間が流る雰囲気を作っていきたいですね。

お客さんも自由にやってくれているので、僕も接客しながらお酒飲んだりして会話を楽しんだりしてますし、みんなで仲良くやれたらいいかなって。『Buenos』に来るお客さんは、ほとんど箱崎の方ばっかりで明るくて気さくな方が多いです。一人で来られてカウンターに座ってても、隣にもしお客さんがいたら、気軽に話しかけてくれると思うし、僕もそれでお手伝いして、一緒に会話を楽しんだりとか。みんなでどんどんつながっていく感じですね」

−地域に密着しているという感じですね。田中さんから見て箱崎はどんな街ですか?

「箱崎は下町の風情が残っていて、懐かしい雰囲気が残っていますよね。個人店や昔からやっているお店も多いので、落ち着く雰囲気の店も多いんじゃないんですかね。いい意味でお互いの距離感を保っていて、それぞれのお店が自分たちの個性を出してアピールしてるっていうのが、箱崎の街には合っているのかな。だから僕も刺激をもらっています。
『Buenos』ではライブなどを開催して個性を出していっていますが、そのきっかけというのも、たまたまお客さんで来てくれていた方がプロのミュージシャンをやってるってことだったんで、自然な会話の流れから“ここでライブやってみますか?”ってなったことがきっかけでしたね。今ではミュージシャンの方からオファーを頂くことがあります。ここの空間が海岸沿いにあるカフェみたいな雰囲気があるから好きだって言ってくださって。そういうのが自然発生的に起こることがいいなと思います。
あとはお客さんのノリがいい。ディープな人ばっかりなんで(笑)。たぶんそういうのが好きな人たちが箱崎にはたくさんいるから、やっぱりアーティストさんも使いたいと言ってくださるのかな。それが『Buenos』にとってもいい宣伝効果になっていてありがたいです」

−Buenosをお客さんと一緒に作っているという感じですね。今後の目標などはありますか?

「そうですね。僕は自由にやらせてもらっているので、接客の仕方とかもしかすると間違ったやり方をしてるかもしれないですけど。前来てくれたお客さんとかだったら“いつもありがとうございます”って一言添えたりして。来てくれたお客さんはちゃんと出口まで見送るっていうルールも自分の中で作ってやってますね。どんなに忙しくても。
そうやってお客さんとのコミュニティをつくっていけたらと思います。

目標としては、今年が『Buenos』の5周年になるんですけど、九州大学の箱崎キャンパスにある六角堂でライブしたいなって思ってるんですよ。実は3周年記念もそこでやらせてもらって、お客さんにすごい喜んでもらえて、またやってくださいっていう声が結構あったので。六角堂も来年には無くなるということだったので、最後にあそこでやれたらすごく嬉しいなって思いますね。

あとは、カウンターに来てくれるお客さんは本当に近所の人達ばっかりで、ここを好きで通い詰めてきてくれるので、そういう人たちをどんどん取り囲んで、店の外でも一緒に楽しめるようなコミュニティをどんどん増やしていきたいなって思います。箱崎は人の温かさというか、なんか他と違うんですよね。濃いんですよね、みんな。僕はそういう人たちが好きなんで、大事にしていきたいです」

お客さんを大切に、そして丁寧に接することへの思いが伝わってきました。
ここに来ればほっとする。そんなお店をお客さんと一緒に作っていく『Buenos』の良さが感じられました。

【Buenos】
https://www.facebook.com/CasualbarBuenos/?fref=ts
福岡県福岡市東区箱崎1-27-11
TEL:080-3997-1842
営業時間:19:00〜2:00
定休日:日曜

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千葉 美穂(インターン)
広島県府中町出身。
九州大学経済学部在学中。
大学入学をきっかけに福岡へ。広島と福岡の違いを体感しながら、福岡の良さをもっと知りたいと思いインターンに参加。アートとまちづくりに興味がある。