【ぼくらが連れて行きたい店vol.16】このままが一番。変わる街にも変わらないもの(すしハウス)

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
本コーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。

変わらずこのまま

平成29年秋の完成に向けて開発が進む福岡市中央区にある六本松エリア。
この六本松には地下鉄からあがりすぐの好立地に九州大学六本松キャンパスがありました。平成21年の伊都キャンパスへの移転とともに廃校となった跡地には科学館や分譲マンション、商業施設の建設が真っ最中で続いています。

その開発が進む跡地から道路を挟んで向かいにあるのが、今回取材させていただいた『すしハウス』です。
真新しい建物とは逆行したその佇まいにはどこか懐かしさも感じ、伺ってみると唐揚げを手に店主の津城さんが迎え入れてくれました。

「これ食べよ」と差し出してくれたアツアツ揚げたての唐揚げ。「味付けは目分量だから日によって味が変わるんよ(笑)」とにこやかに話してくれる津城さん。
この取材のためにわざわざ残しておいてくださった、安納芋で作った人気の大学芋をいただきながらお店のことを伺いました。


※大学芋

−外観だけ見ると“昔ながら”という雰囲気ですが、お店をオープンされて長いんですか?

「こっちに来て39年になる。お店をはじめた頃はこの裏路地の方に出してたけど、最初の2-3ヶ月だけそこでやって今のここに移ってきたんよ。不動産屋の紹介でね、いい立地だったから。昔は床屋さんだった場所らしい。それから39年ずっとここだね。『すしハウス』っていう店名は昔、寿司ばっかりやっていたんよ。いまでもそこ(カウンター下)にメニューが残してある。でもサイドメニューの方が人気で忙しくなってね、寿司は今やってないんよ。弁当と巻き寿司、大学芋がよく売れる。唐揚げは弁当に入れる用だったけど、お客さんの要望で単品で提供したりもしている。あと今の時期は季節限定だけど安納芋の焼き芋も人気だね。120円という値段設定はよそに比べたらめちゃくちゃ安いと思うよ。1/3とは半額くらいの値段じゃないかな」

−ここ数年で消費税も上がったりしてますが、この価格帯は昔からですか?

「いや、それは39年前と比べたら変わってますよ。でも消費税…それがねー、消費税取り損なってねー(笑)、お客さんからはもらってなくて、その分私たちが払っているんよ。でもまあお客さんはそれで喜んで来てくれるからね。いまの時間帯は暇なんだけど、これから夕方にかけてボチボチ増えてくるかな。だいたい10時から巻き寿司とかを売り出して、弁当は11時15分くらいから、夜は19時前後くらいまでやってるけど、材料が終わり次第だから18時で終わる時もあるね。従業員は私を含め5人で交互に入れ替わりで、みんな私と同じくらいの歳だけど元気でやってますよ」


※時間帯によっては次々にお客さんが並ぶ

−この取材中もどんどんとお客さんが出入りしていますが、お客さんとしてはどのような方が多いですか?

「お客さんの年代はまちまちやね。お母さんのお遣いで小さい子どもから年配の方まで。あっ、意外とね小さい子どもたちがうちの巻き寿司が好きみたいなんよ。お客さんのお母さんに話聞くけど、食べたら離さないって言うもんね。うちの商品は防腐剤とか化学調味料は一切使ってないから、食べたらわかるらしい。小さい子どもはまだ口がいろんな味を覚えていないじゃない。敏感なんだと思うよ。あとは九大(九州大学)があった頃は学食の時間に外れた生徒さんや先生・職員の人とか多かった、今は開発中だから工事現場の人たちが弁当を目当てによく来るようになったね。九大は無くなったけど、元生徒だったり先生だった人が近くまで来たんでということでくることも多い、そういうの嬉しいよね。小学校の社会科見学の場所としても受け入れしてたけど、毎年うちに見学に来たいという生徒が多いみたいで、じゃんけんになるらしい。お姉ちゃんお兄ちゃん世代から聞いているんじゃないかな、ここに来れば食べさせてもらえると。学校からは止められてるんだけどね(笑)。でも社会科見学だし、うちはお店だから味見をせんとねー(笑)。それが終わった後のお礼の手紙とかやっぱり嬉しいよね」


※人気の日替わり弁当490円

−開発も進みファミリー層も増えそうな六本松なので、子どもたちの来店も増えそうですね。

「そうね。この辺りは住みやすいもん。そんな大きな街ではない、ちょうど程よい!かつ田舎でもないからね。あと町内の人が良い人ばっかりだね。お世話好きの人が多い。交通の便もいいし、買い物も不自由じゃない。適当な距離に飲食店もスーパーもあるから、この開発でもっともっとすごくなるんじゃないかね六本松は。何か足り無いものを挙げるとすればビジネスホテルのような大きな宿泊施設かな。みんな天神や博多に流れていっているからね。ちなみにあそこのお店が移転するらしいから、ホテルにはあの位置とかちょうどいいと思う(笑)」

−いろいろ楽しみですね。今後やってみたい夢とかありますか?例えばお父さんがホテルを経営するとか。

「いやー無い無い(笑)現状維持だね!もう歳が歳だからね。このままでいいんよ。息子たちもサラリーマンだし、こんな小さいお店を引き継ごうなんて誰も思わないし建物も古いからね。ペンキを塗ったりちょっとした改装はできるけど、店は私の代で終わりだね。これからはただもくもくと、弁当の種類が毎日違うからそれを楽しみに毎日来てくれるお客さんもいる。そういった人たちのためにやっていければと思います」

終始笑顔で取材に応えていただいた店主の津城さん。辛かったことはありますか?との質問には、「いやー、無いねー。大体私は楽天家だから」と、するとスタッフの女性からも「トラブルあったー?無いよねー。無い無い(笑)」と厨房中に広がる明るい声が。


※太巻き430円

この包まれるような暖かい雰囲気から、ただ商品を買いに行くだけではなく店主の津城さんはじめお店の方を目的に何度も“会いに行きたくなる”。そんな表現がぴったりのお店でした。

「あんま宣伝せんでよかよー」とも言われましたが、すごく素敵だったのでたくさん宣伝したいと思います。笑

【すしハウス】
福岡県福岡市中央区六本松2-14-1
TEL:092-714-1910
営業時間:10:00〜19:00
定休日:日曜、祝日

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