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【ぼくらが連れて行きたい店vol.11】三代続く和食店が提供する、手頃な価格帯の定食(割烹 みくに)

2016.11.24  

魅力的なお店、また行きたくなるお店って何だろう?
それは提供される商品(サービス)の質?もちろんそれもあると思います。でも“誰が手掛け、どんな想いやコンセプトでやっているのか。その人に会いたいから行く、その人が手掛けたお店だから行く”これが一番の動機になるのではないかと思うのです。
このコーナーでは単なるお店の紹介ではなく、“人”にフォーカスしてお店を紹介していきます。


飲食業はしないと決めていた

オフィス街赤坂に店を構える「割烹 みくに」戦後すぐにうどん屋として開業、その後前身である「みくに食堂」となり、30年ほど前からは現在の屋号で営んでいます。2階や3階には団体さんが宴会や勉強会で利用できるお座敷もあり、純和風の建物は格式高く感じます。一方で、昼も夜も「チキンカツ定食」「さんま塩焼き定食」などの定食を600円〜700円という手頃な価格帯で提供しています。その佇まいから少し緊張しながら伺ったところ、3代目店主の山内栄治郎さんが気さくに迎えてくれました。

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—山内さんは『割烹 みくに』の3代目店主ということで、ずっとご両親がお店を切り盛りする様子を見てこられたのですね。

「はい、幼い頃から住居兼店舗という家に住んでいて、下に降りればいつも父と母が仕事をしている場面に出くわすわけです。飲食業への興味も自然と出てきました。興味がある反面、両親が働いてる姿をずっと見てきてとてもハードな仕事だと感じていたので、将来は飲食業には進まないでおこうと決めていました」

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—それは意外です。では学校を卒業されてからは何の仕事をされていたのですか?

「全く畑ちがいのことをしていまして。もともと建築の道に進むつもりで大学に通い、卒業後は建築の仕事を3年ほどやっていたんです。ただ、実際に就職してみてから違和感を感じることがいろいろとあって、このまま建築の仕事を続けていくことに疑問を感じました。26歳や27歳ぐらいで将来について考えて方向転換される方は多いかと思いますが、僕も例に漏れずそういうことになったんですね。
そこで“結局どんな仕事も大変だし昔から興味のあった飲食をやってみよう”と思い、そこからお寿司屋さんで板前の修業を4年、さらにフグの知識を得るためフグ専門店で1年半働きました」

—将来的には実家であるこのお店を継ぐことを考えて修業されたのですか?

「ゆくゆくは自分で海鮮料理店を開業したくて、この店を継ぐつもりはなかったんです。ですがフグ専門店で働いていた31歳の頃に父が病気で倒れて、急遽戻って来いという話になりました。店を回す人間がいないからですね。
そうしてこの店に入って最初の2年は病気で辛いながらも父が指導してくれました。魚をおろしたり、ご飯を炊くにしてもお店それぞれのやり方があるので。料理の経験はあっても全然違う仕事をやっているような感じでしたね」

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—そうして10年以上お店を切り盛りされてるんですね。その間に何か変化は感じられましたか?

「僕がこの店に入ってきた当時は40代や50代の年配の方が多かったです。しばらくして僕の妻にもお店を手伝うようになってもらって、働く人が増えることでお店に活気も出てお客さんが増えてきました。そこから客層も変わりました。30代の若いサラリーマンのお客さんが増えて、当初は「魚の煮付け定食」を中心に魚のメニューしかなかったところを「チキンカツ定食」や「とり天定食」などお肉のメニューも追加しました。妻が黒板に手書きした可愛らしいメニュー表が店の入り口にあるおかげで、最近は若い女性の方も来店するようになりました」

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—重厚感のある店構えから敷居が高くも感じてしまいますが、メニューはお手頃な価格帯ですね。

「気に入ってくれたお客さんに何度も来てほしいので、財布に優しい値段設定にしています。お客さんも8割近くが常連さんで、中には週に5日も来られる方もいらっしゃいます」

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—お客さん第一にお店を営まれてきたのですね。最後に、今後どのようなお店にしていこうと考えられていますか?

「軸はもちろん和食ベースで変えませんが、お客さんのニーズに柔軟に対応してメニューをその都度見直していきたいですね。この辺りは古い建物がどんどん建て代わり、これから人口も増えていくでしょうし、人の流れも変わってくると思うんですね。そういった時代の流れにどう対応するかですね。
店内も少しずつ手を加えて、現在の雰囲気を大切にして行きたいと思います」

【割烹 みくに】
福岡県福岡市中央区赤坂1-9-23
TEL:092-712-8550
営業時間:12:00〜22:00
定休日:日・祝日

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栗山遼
熊本生まれ福岡育ち。
2016年4月に「働き方を変えた人たち」を特集したリトルプレス『HOWLAND』を創刊する。
ライターとしての活動の他に、イベントのディレクションや企業のブランディングにも携わっている。