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イベント レポート

【Rethink Booksイベントレポートvol.2】空き家を活用!MAD City寺井さんに聞く「あたらしいまちづくり」

2016.8.23  

今年6月に福岡の天神明治通り沿いに期間限定でオープンした『Rethink Books本とビールと焼酎と』では、私たち福岡移住計画では毎月第4水曜日にイベントを開催していくことになっております。

そして先日第2回目のイベントを開催しましたのでレポートにて報告します。タイトルは『古民家・空き家・空き地はまちのお宝だ!~HOTEL、レストラン、ゲストハウス、シェアオフィス…コトづくりの拠点をつくろう!~』。

今回のゲストは株式会社まちづクリエイティブの寺井さん。千葉県松戸市に仮想都市『MADCity(マッドシティ)』を立ち上げ、空き家などを活用してクリエイターやアーティストを皮切りに、多くの若い住人を呼び込んでいます。そして飛び込みゲストとして、糸島の古民家でシェアハウスを運営している畠山さんも登壇。それぞれの拠点づくりについてお話を伺いました。

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福岡移住計画からは運営中の5拠点(8月5日にSALT増床で6拠点になりました)のシェアスペースについて、不動産担当の鎌苅からあらためてご案内。さらにトークの最後には、『MADCity』と『福岡移住計画』がコラボするあたらしいプロジェクトについても紹介しました。

自分のまちをつくる

寺井さん:「僕はもともと、東京の代々木公園など、街なかでアートやスポーツ関係のイベントをやっていました。今は『つづく世界をつくる。』というメッセージを掲げて、まちづクリエイティブという会社をやっています。最近はいろんな人がいろんな見方で“まちづくり”を捉えていると思いますが、僕自身はいかにもな「まちづくり」をしたいというよりは“自分のまちがほしい”“自治区をつくるぞ”と思って取り組んでいる人間です。つまり、自分のまちをつくる、ということです。
事例としては、東京から電車で約30分の千葉県松戸市というところ。48万人位が住んでいる比較的大きなまちです。僕は松戸の生まれでもなく、実は今も住んでないんですね。他人のまちに勝手に行って“自治区にするんだ”と言っても当然できるわけはなくて、いろいろな試行錯誤をして自分たちなりのまちづくりの手法をつくってきました。

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具体的なことを一つ紹介すると、エリアを狭めて自分で決めるということ。松戸での取り組みは、この丸のところに『MAD City』という名前をつけて、自分の街のようにまちづくりするという活動です。このコアエリアは半径500mで、人口的には1万人位です。半径500mというのは、コンビニの商圏とほぼ同じ。夜12時過ぎてからジャージ姿とかでカジュアルにうろうろできる距離がちょうどこれくらいですよね。

僕は本当に街をつくりたいと思っています。端的に言ってしまえば、街を乗っ取ろうとしているのに近いですね。よそからやってきて“自分のまちをつくる”と言ってからは、市章とか国旗とかにあたる“まちのロゴマーク”をつくりました。信頼しているデザイナーにお願いした『MAD City』のロゴは、地図から着想を得てつくっています」

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まちのマイナスをプラスに変えて、人を呼び込む

寺井さん:「事務所も構えました。自治会神酒所を可能な範囲で、セルフでリノベーションして。神酒所というのは祭りの時に地元の人が集まってお酒を飲むような場所なんですけど、お祭りは年2回しかやらないので、残りは空いていたんですね。そこで空いている期間を事務所にさせてもらうかたちで始めました。今は別の建物に引っ越しているのですが、最初はそういった地元の人のコミュニティスペースになっているところを借りて立ち上げたんです。

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それからWebサイトを作って、SNSでまちの写真をアップして。そして知人のコピーライターにお願いして、一緒に街のビジョンも作りました。これは、賛否あるでしょうが、強烈に尖ったコンセプトが必要だと思って書きました。今になってみるとだいたい実現してきているので、我ながら驚いてます。

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それからまちの要らないものを集めようと思って、僕らが勝手に使われていないと認識した建物や部屋をマッピングしました。それから始めたのが不動産ビジネス。僕たちが入居者として借りて、さらに人に貸すというサブリースの業態を中心にしています。原状回復を無くして改装可能にしたり、通常の賃貸物件ではいろいろ規制されているところを“やっていいよ”と変えて付加価値をつけています。この『MADマンション』は、今では全部屋の75%を僕たちが借りています。

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マイナスを集めまくってプラスにするというやり方は、結構丁寧にやらなきゃいけなくて。尖ったことを言いつつも実はまじめに、まちづくりの仕組やインフラを作り続けています。リサーチやエリア設計、情報発信もそうですね。そういう準備をさんざんやった後に、やっと空き家を活用した不動産ビジネスに着手できるようになりました。

みんなでまちを使って、まちを変えていく

寺井さん:「この5年間で、48万人が住む松戸市全体で増えた人口は400人ですが、その中の20%くらいは僕たちの部屋に引っ越してくれた人たちなんです。結果的には松戸市の人口問題にも寄与している。さらに、その移住者たちの中にはアーティストや職人とかいろんな人がいて、『MAD City』だけでいろんなことが実現できるようになってきました。

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そうすると今度は街のいろんな場所を使いたくなるんですね。そこで街の町内会長たちを集めて“もともと地元を守っているのはみなさんなので、皆で街を変えるアクションをやりましょうよ!”といった呼びかけを松戸市の文化芸術事業に絡めて、地元住民の主導で公共空間の活用などいろんなことに取り組む組織を作りました。たとえば、ふだんあまり使われていない河川敷でアウトドアウェディングを実践する等、周囲のアーティストを巻き込んだ活動を行ってきました。

こうして僕たちはまず“まちに最初にエネルギーを与えてくれる人たちをどうやって集めるか?”を考えて、さらに“その人たちがいつまでも居てくれるようにするにはどうしたらいいか”と考えてまちづくりをしています。最近では、松戸以外でも、埼玉の埼京線沿線、佐賀県武雄市でも取り組みをしています。

福岡移住計画が運営するシェアスペース

鎌苅:「僕たちの『福岡移住不動産』って“移住者の住まいでしょ?”と言われがちなんですけど、実はそれだけではなくてオフィスとか、移住者が集まれるコミュニティ拠点とかイベントスペースも運営していて今は5拠点あります。(8月に『SALT 2』ができて6拠点になりました!)。いろんな地域の拠点をつくっていくなかで、その拠点をフルに使えるようなワークスタイルを提供しようと取り組んでいます。そして結果として、それぞれの地域でまちづくりができればなと考えています。さらに全ての拠点を使えるような商品もつくっているところで、近日中にリリースを予定しています。

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須賀:「福岡移住計画のスタッフは、主に今宿と天神を行き来しながら、時には下北沢や糸島芥屋も使ったりしていて仕事をしています。すると移動している間にアイデアが湧いたり、それぞれの地域でクリエイターと交流して気づきや刺激を得たりするんです。

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移動時間はある意味非合理なんですけど、その間に湧くクリエイションもあるよねと僕たちは考えています。そしてそれを形にしていこうということで取組んでいるプロジェクトを近々発表できると思います。これから地方にある場所をどんどん取り込んでいきながら、全国で働けるようにしていこうと考えています。

田舎の資源を使って仕事をつくる

畠山さん:「飛び入り参加の畠山です。『糸島シェアハウス』の運営をしています。新米猟師もしていて、今日はたまたま猟師免許の更新があって天神に来たら“しゃべらない?”みたいになりまして。

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私は3.11をきっかけに福岡に移住して、ただ消費するだけの暮らしから自分たちで生み出す暮らしに少しずつシフトしていこうと取り組んでいます。そして築80年位の古民家をシェアハウスにして食べ物、仕事、エネルギーの3つを自分たちで作っています。住人はみんな手に職を持った、職人みたいな人たちです。私は普段は自分たちの食糧を守るための狩猟ということで、イノシシを奪ったりしています。山の中なので、自分たちの生きて行く場所を自分たちで守らなきゃいけないんですね。

田舎から都会に通勤すると、せっかく田舎に集まった人材やお金が全部都会に吸い取られちゃって、地元には何も残らない。だから私たちは住んでいる場所にいる人と資源を使って、外から人を呼んでお金を落としてもらうことを心がけています。それを少しずつ仕事にしているんです。たとえば自分たちでお米を作っているのをワークショップにもしたりしています」

MADCity×福岡移住計画のコラボプロジェクトスタート!

寺井さん:「これからのことですが、佐賀県武雄市では、福岡移住計画と一緒にコラボしてプロジェクトを発足していきます」

名称未設定

寺井さん:「武雄市は、中心になっている武雄温泉駅の南北どちらにも実は温泉があって、南側には武雄温泉保養村という、いい感じのフィールド―山や池や公園―があるんです。その中にある宇宙科学館は年間30万人も集客しているんですけど、その周りのフィールドはあまりお客さんも行かなくて、利用されていないんです。なのでそこを上手く活用する事業を須賀さんとともに受託して、取り組むことになりました。今回は“一泊二日で帰る観光でも、生活基盤をそこに作る定住でもなく、まずは一週間ぐらい過ごして楽しめる”という「滞在」をキーワードにしたまちづくりを目指したいと思っているので、ぜひだまされたと思って来てください。

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武雄温泉保養村エリアは自然が豊かすぎるくらい豊かで。例えば、人が居ないからイノシシが出てきてしまったのですが、対策として電気柵を設置すると、見た目が物騒になる。それでさらに人を寄せ付けなくなってしまって、イノシシがさらに増えるなんていう、嘘みたいな話があるんです。こう書くと批判的に聞こえちゃうかもしれないですが、そういうマイナスを逆手にとってイノシシを獲ってジビエBBQとかもできるじゃないかと思うんですね。宇宙科学館があるので、星やアウトドアのワークショップもやれるかも。マイナスをプラスに変えるという手法は武雄でも十分活きると思っています。朝から晩までずっと楽しめるプランみたいなのをつくって仕掛けられるといいよねと、今話しているんです。秋に向けていろいろと準備をはじめていて、近いうちに詳細をアナウンスできると思いますので楽しみにしていただけたらなと思います」

鎌苅:地域のプレーヤーと一緒にフィールドを再生していく、というまちづくりをやっていきます。詳細はまたご案内しますので、ぜひお楽しみに!

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板村成道
山口県宇部市出身。
2011年に東京から移住。大分と熊本での暮らしを経て、2014年から福岡市在住。移住計画のライティングやWebディレクションに関わりながらソーシャルウェブマガジン『greenz.jp』などでもライターとして活動。