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イベント ひと 告知

【福岡よかとこビジネスプランコンテスト開催企画】まずは「思いを伝えること」。仕事も暮らしも、環境は自分でつくろう/場づくり演出家・太田さんへのインタビュー

2016.8.23  

東京では空間プロデューサー。移住で「場づくり」対象が広がった

屋内外の音楽フェス、コンサート、企業のイベント演出やクリエイティブ企画を手がける華々しい仕事。『Laboratorium, Inc.(ラボラトリウム)』という会社での、空間プロデュースが太田さんの東京での仕事です。太田さんは子供ができたのをきっかけに「東京を子供の故郷にはしたくない」と、うきは市に移住。東京の仕事も続けながら、うきは市で新しい仕事をつくりだしています。

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この春、吉井町の白壁通りに事務所を借りて立ち上げた『うきはぷろだくしょんず』の仕事は、イベント企画の他に映像制作やビジネスコンサルティングなど幅広いもの。ですがその中心には“場をつくる”という軸があります。たとえば、うきはという「場」を伝えやすくするために風景や行事などの写真素材を撮影してアーカイブすることも“場づくり”だと太田さんは考えています。また事務所の1階では近々玩具屋を開こうと準備を進めています。セレクト玩具や著名イラストレーターによるオリジナルアイテム、アウトドアグッズを売りながら、そこで子供も大人も一緒に楽しめる場所にしようというのです。

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※改装前の事務所内(元は老舗の仕立屋さん)

さらに別に立ち上げ準備中の『NPO法人うきはのあん』では、地元農産加工商品の売り先を開拓するという“場づくり”も進めています。フェスやショップなどのコンテンツニーズを把握している太田さんだからこそ、そこに地元商品を売る場をつくりだせるのです。

こうして移住をきっかけに広く“場づくり”を捉えて取り組めるようになり、ワクワクしていると太田さんは言います。ですが実は、ここまですべて計算してきたのではないのだそう。「まずは思いを伝えて、キッカケを大切に行動してきた」という太田さんの移住エピソードから、移住起業のヒントを探ってみましょう。

住みたい場所で暮らしをつくる

−太田さんは移住しようと思ったきっかけと、うきは市を選んだ理由を教えていただけますか?

「まずは子供が育つ環境を考えて、東京を故郷にしたくないなと思ったんです。さらに東京の仕事では、お客さんとの距離感があって納品した後どうなるのかも、だれが喜んでくれたのかもわからない、つくったものが“消費さえもされず終わる”ように感じることが増えてきました。それで東京ではないところで仕事をしよう、と考えたのがきっかけです。

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そんな時に九州で仕事があって、久留米にいる友人に会った時に“九州いいなー、引っ越したいな”って軽く言ったんですね。そしたら“知り合いの家が空くから聞いてみる?”って教えてくれて、そんなご縁でうきは市に引っ越したんです。僕は山と川が好きなので、その自然環境が揃ったうきは市はストライクでした。“こういう場所に住みたいな”と描いていた風景が、ここにあったんですね。

当時、実際に仕事がここでできるかという自信があったわけではなくて、まずはとにかく“住みかを変えよう”と。移住してからは東京のスタッフやクライアントとの連携や調整に、1年かかりました」

−東京での仕事のやり方はどう変わったのですか?

「すぐに打ち合わせに行ったり対応したりが難しいので、大規模でスパンの長い仕事をじっくりやるスタイルにしたい、とクライアントにも意思表示をしました。そして時間をかけて理解をしてもらって。以前はすごいスピードでどんどん仕事を受けていて、中には自分で納得できない状態でもとにかく早く出すしかない、いう仕事もありました。それは双方に良くない結果になったりする訳で。でも今はこの状況で何ができるかということを主軸に考えることで、逆に仕事を選べるようになったんです。

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※「うきは市の創業支援と移住定住の窓口となる『U-BiC(Ukiha Business Cafe)』の音響と映像システムのプランニングも担当した」

大好きな風景の中で暮らすことで、ストレスも大きく減りました。考える時間も増えて、プランニングにじっくり時間をかけられるようになりました。そういうスタイルで丁寧に大きな仕事をやりたいと思って働きかけて、徐々にそれができてきました。

今は仕事環境もすごく気に入っています。だから東京の人たちにも、“うきはで企業合宿”というのを提案したいですね。自分がもしビジネスコンテストに出るなら、うきはで1週間集中できる合宿スペースの“場づくり”を提案しようかな。温泉もあるしね。脳も身体も柔らかくしてブレストができる(笑)」

−うきは市での仕事はどのようにつくっているのですか?

「東京との仕事のスタイルを1年調整して、年間で大型イベントのスケジュールや予算が見えてきたので、今年に入ってからは地元でも動けるようになって、事務所を春頃に借りました。

それから始めたのは、たとえばうきは市が推進している創業支援サイトののプランニングです。そうすると写真素材が揃っていなくて、困ったんですね。その経験から、地元での経験やネットワークが浅い自分ができることとして、うきは市での出来事をリアルタイムに記録してアーカイブをつくることにしました。もう少し撮りためたらアーカイブを閲覧できるサイトを立ち上げて、ゆくゆくは地元の人たちが自分達でアーカイブをつくれるようにしたり、新しい地域アーカイブの作り方を提案していきたいですね。

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それから、うきは市は果樹生産が盛んなので、その支援を始めます。音楽フェスなどにうきはのフルーツをプロモーションして、伝え方まで組んでアウトプットしていくんです。農家の方達はフルーツの一次加工や二次加工まではされていらっしゃるのですが、どこにどのように売っていくかまではなかなか手が回らない。僕はニーズや情報を持ってこられるのでを、売るためのもう一歩をつくれる。。そうしたアウトプット先をつくるのも“場づくり”だと思って取り組んでいます。それには企業よりもNPOでやったらいい、と行政の方からアドバイスをもらって、『NPO法人うきはのあん』の立ち上げを申請中なんです。今後は地域おこしとして博多にも無いようなイベントを招聘したり企画したいなと考えています。まずは、うきは市の人たちに喜んでもらえることが大切だと考えています。

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もし博多で事業をやっていたら、東京でやっていることをそのまま持ってこようというだけだったと思うんです。でもうきはだからこそ、自分の軸である“場づくり”に広がりが生まれてきたと思います。うきは市って、荒らされていないというか、高度経済成長の後のさびれた感じがないんです。新しく何かをはじめるには、それがすごくよくて。それに合併して市政10年の若いまちだから、みんなが土台を一生懸命つくっていて、自分も一緒に5年後10年後のうきは市をつくりあげていけるんじゃないかと感じたんです」

−移住起業を考える人にメッセージをいただけますか?

「移住を考えるというのは、環境を自分でどうつくるかというだけだと思うんですよ。仕事も事前に探すのか、行ってから探すのか、自分がやりたいようにすればいいと思います。それも自分のためだったり、家族のためだったり。移住をして“自分の環境をどうつくりたいか”って、広めに考えてみたらどうでしょうか。

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そうしたらまずは、考えたり感じていることをだれかに伝えることです。それをしないと、進まないと思います。僕もまわりに言ってきたから“一緒にやろうよ”と言ってくれる人がいたんです。パブリックな場所で宣言する前に、まずは身近な人に口にしてみることからでもいいし。たとえば“コンテストにこのアイデアを出したい”という思いを伝えてみたら、プレゼンが得意で手伝ってくれる誰かにつながるかもしれないし。ぜんぶ自分でやる必要はない、と思います。なんでも自分で抱え込んでしまわないで。特に九州では、何か伝えた後に、その後のつながりがとても早いです。人を紹介してもらえたり、懐が広いんですよね。だからとにかく伝えることです。

地域資源については、地域に深く入り込んで、はじめて扱わせてもらえるものだと思います。だから“地域資源を活用!”とかって、僕自身は簡単には言えないなと感じているんです。地域のものを扱わせてもらうのであれば、そこに合わせて自分が変わっていくことも必要です。たとえば、僕の名刺はつくるたびに毎回書き換えているんです。いろんな人に会って伝えてみて、その反応で内容や伝える言葉も変えて。そうやって柔軟になって臨機応変に自分を変えていきながら地域に入っていって、ようやく地域のものを扱わせてもらえる。だから地域資源で起業するにも、まずその地域に行ってみることは大事かなと思います」

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住む場所をまず変えてみて、それまでの仕事のスタイルを変えたり、新しい仕事を生み出している太田さん。おじいさんになっても仕事を楽しもうとおもちゃ屋さんを企画したり、ワクワクする暮らしをつくっていました。みなさんはどんなところに住みたいですか?そしてあなたらしい軸で、そこで何ができるでしょう?

【福岡よかとこビジネスプランコンテスト】

福岡県が主催となって、県内各地の地域資源を活かした新しいビジネスを創出するためのビジネスプランコンテストです。このコンテストは、地域資源と福岡県内において創業を希望する方のアイデアやノウハウを掛け合わせ、地域経済の活性化を図ることを目的に実施するものです。

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応募された方は、市町村、商工会議所・商工会、金融機関等地域の支援機関のサポートを受けながらビジネスプランをブラッシュアップし、創業の準備をすることができます。
また、県内27市町村から独自にテーマを定めた賞が授与されます 。
http://fukuoka-yokatoko.biz
上記の『福岡よかとこビジネスプランコンテスト』に先駆けた東京イベントが9月3日(土)に開催され、太田さんも登壇されます!

【東京イベント】

《概要》
独自の「地域発ビジネス」を展開する起業家2人が、起業の経緯や福岡県の魅力・可能性を語ります。
さらに福岡県の地域資源から具体的なビジネスを発想するアイデアソンを行います。

▽詳しいタイムスケジュールや内容、お申込みはこちらから
http://fukuoka-yokatoko.biz/tokyo-event/

日時:28年9月3日(土)13:00〜17:20
場所:東京都千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル 北館
定員:50名(定員に達し次第締切り)
申込み期限:8月31日(水)

福岡での仕事づくりに関心のある方は是非ご参加ください。

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板村成道
山口県宇部市出身。
2011年に東京から移住。大分と熊本での暮らしを経て、2014年から福岡市在住。移住計画のライティングやWebディレクションに関わりながらソーシャルウェブマガジン『greenz.jp』などでもライターとして活動。